2012/02/19 (Sun) 焔の月12日目＠アンジニティ日記

　タルタスに戻ってきて、数日の刻が過ぎた。
　初日にPKに狙われた以外は、おおむね快適な日々を過ごしている。
　町人は正直目つきからして怪しい者ばかりだが、アンジニティに流れてきた咎人――あるいは漂流者たちは、礼儀正しくも気のいい奴等が多い。
　たとえば、3人の料理人に日々の食糧を依頼したところ、こんなものを作ってくれた。

　小倉トースト。名古屋名物だな！ 名古屋ってどこか俺様はよく知らないけど朝はコーヒー一杯で食べられる香りがする。
　あぶないクスクス。アフリカ名物だな！ 穀類かパスタ類かは分類が難しい処だ。…ところで。これ、食べるの危ねぇのかよ！
　血の色をした謎の塊。アンジニティ名物だな！ ってコラ！？ もはや料理とかそういう一線を越えてねぇかコレ！？？

2012/02/19 (Sun) 焔の月11日目＠アンジニティ日記

　アンジニティには天敵がいる。
　夜を覆う翼、闇を穿つ嘴、影を貫く瞳。コノハズクの恵まれた神体を持ってして、強敵と認識する存在。

　それは、肉だ。

　しかもただの肉じゃない。奴らは逃げる。
　追いかければ遠のくくせに、遠のけば追いかけてくる。
　時代に名を残す賢人達は、彼らをして生物の定義をした。

2012/01/24 (Tue) 焔の月10日目＠アンジニティ日記

　アンジニティ、この呪われた地に更なる災いあれ！
　神様がこんなことを叫ぶと、通常、己の言葉に呪われて祟り神になる。
　でも、神位を追われている俺様にそんな力はない。だからいくら叫んでも大丈夫なのだ。

2012/01/12 (Thu) 焔の月 9日目＠アンジニティ日記

　Christmas――。
　次元に数多く存在する分割世界の一地方"ナザレ"に生を受けた、偉大なる預言者の降誕日だ。

　"彼"自身は"神"ではない。
　"神の子"とは三位一体における第二位格であり、"父なる神"、"聖霊"と本質を同じくする。
　故に、"彼"自身も"神"と同一の存在であるとされていた。

2011/12/21 (Wed) 焔の月 8日目＠アンジニティ日記

　満月を染める薄影は、老人に喰わせるため自ら火中に飛び込んだ霊兎の姿影らしい。
　仏族天部衆の偉いさんが、部下の本心を信じられずにしでかした行為の因果だ。
　霊兎が思いつめていたことに気づいてやれなかったのかと、昔の俺様は若く憤ったもんさ。

　今日、二匹目のブラックタイガーが天麩羅になった。

　香ばしかった。涙が塩味を効かせて、素材本来の旨味が引き立てられている。
　俺様は生涯忘れないだろう。霊梟を助けるために海老天と化した、彼の尊い犠牲を。

　トラウマで。