歌を唄う猫の夢
定期更新ネットゲーム『Sicx Lives』の、 日記・雑記・メモ等が保管されていくのかもしれません。 昔は『False Island』のことを書いてました。
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「調子はどうだ?」
呼びかけに、妖精騎士は腕をまわし、幾つかの運動を試したあとで告げた。
「悪くない」
前日の、謎の女性による施術が効いたのだろう。
意識不明で昏倒していたわりに、わずか1日で快復するとは感嘆するほかない。
カリアは面頬の奥で苦渋の表情を浮かべた。直接礼を言えなかったことを悔やんでいるのだ。
「あのぅ。メルトはすっごく調子悪いですよー?」
呼びかけに、妖精騎士は腕をまわし、幾つかの運動を試したあとで告げた。
「悪くない」
前日の、謎の女性による施術が効いたのだろう。
意識不明で昏倒していたわりに、わずか1日で快復するとは感嘆するほかない。
カリアは面頬の奥で苦渋の表情を浮かべた。直接礼を言えなかったことを悔やんでいるのだ。
「あのぅ。メルトはすっごく調子悪いですよー?」
一方、相変わらず縄に縛られて逆さ吊りのまま同行している天使に、仲間は一瞥もくれない。
あれほど超特急で医者を探してこいと厳命しておいたのに、数時間も遅れた挙句、寝巻きの医者を拉致って連れきた天使に同情の余地はなかった。
地下4階だというのに、相変わらず空には太陽の輝きがあふれている。
細かな砂粒が敷き詰められた川辺は、陽光を照り返してきらきらと美しい色に煌いていた。
「こういう処には、可愛い女の子と一緒に来たいよなぁ」
「………」
「こら待てェそんなに走るなよぉ。おほほほほ捕まえてごらんなさぁーい」
「……………」
「……なにか?」
「地下4階に素人を連れてきても、魔獣に食い散らかされるだけだ」
憮然とした感情を乗せて、カリアが呟いた。
相変わらず堅いよなぁと、言葉のキャッチボールは否定して、気の無い呟きを重ねるジェイ。
「だいたい、女の子ならここに2人もいるです」
メルトが元気良く何事かを口走ったが、黒髪の召喚術士は酷く低い声で反駁した。
「はァ?」
「ひ、ひどいです! 乙女のはーとにヒビが入ったのです! カリアもそう思うです!?」
「………私は、女だと言ったつもりはない」
「えっ、あれ? カリア、もしかして男だったのか!?」
「男だと言ったつもりもない!」
どっちだよと苦笑するジェイが、遠く砂浜の狭橋に人影を見つけて口をつぐむ。
「やっと追いついたようだな」
-+-+-+-+-+-+-
「なんか疲れたなぁ…」
「サニーニーサン! そんな日は脱ぐんですっ!
服を脱ぐことでより規制のない自然に近いアクションが可能にっ!」
「……。師匠みたいなこと言うなよ」
「ううぅっ! ひとがアドバイスしてるのになんて言い方ですかムキィーッ!」
「…キミ、なんかノリ変わってないか?」
空中をふよふよ、重力を無視して浮かんでいる二人の魔法使い。
以前、遭遇と同時にがしゃ髑髏をプレゼントしてくれた、迷惑極まりない謎の放浪者たちだ。
「……あ、前に会った人だ。これはこれは、無事でなにより」
サニーと呼ばれた水色の長髪を三つ編みにまとめた術者が、振り返って言った。
感情に抑揚はなく、近づいてきていることは先刻承知といった風情だ。
「あの時は世話になったな。お蔭で大変だったぜ?」
皮肉まじりに言葉をぶつけるジェイ。
サニーは素顔に無関心を貼り付けたまま、わたわた慌てる仲間の頭を軽く小突きながら告げる。
「喜んでもらえたようでなにより。
でもこっち来ちゃ駄目だってば。また邪魔しないといけな……んん?」
突然、サニーの口調が歪む。
目前の空気が歪み、ぐにゃりと不気味な断層を描きはじめたのだ。
カリアが前に進み出る。どうやら魔法使いの仕業ではないようだが、警戒を下げる理由にはならない。
歪みの正体は、転送魔術のようなものだったのだろうか。
裸体の人影が三つ、誰もいなかったはずの空間に出現していた。
「これは……造られしものか」
サニーは、驚きを隠さずに呟いた。
「造られしもの?」
「遺跡の守護者へのなりそこね……ちょっと面倒だなぁ」
人影は、どうやら精巧に作られた人形であるらしい。
関節部の機巧構造、焦点の合わない瞳、輪郭部が時折ラジオノイズのように歪むのは如何なる仕掛けか。
いぶかしむ両者の間で、人形が、口も開かずに言葉を告げた。
+斜+『敵影確認―――――ユグドラシルの命に従い、排除します』-斜-
砂塵を巻き起こすこともなく、滑らかな駆動で人形が動きをみせる。
一様に向く視線はカリアに、背後に控えるジェイに、無常にぶら下がっているメルトに向けられていた。
「こらーっ! はやくメルトの縄をとくですー!?」
「うるさいそれどころじゃない!」
「それどころですー!」
「…あれぇ?」
混乱する敵対者を前に、サニーは首をかしげた。
「……まぁいいか。これは……好都合だね♪」
微笑を浮かべ。
「僕もお邪魔させてもらうよ」
銀眼の魔法使いが重厚な本を開くと、周囲に幾重もの魔法陣が展開する。
戦闘は避けられそうになかった。
あれほど超特急で医者を探してこいと厳命しておいたのに、数時間も遅れた挙句、寝巻きの医者を拉致って連れきた天使に同情の余地はなかった。
地下4階だというのに、相変わらず空には太陽の輝きがあふれている。
細かな砂粒が敷き詰められた川辺は、陽光を照り返してきらきらと美しい色に煌いていた。
「こういう処には、可愛い女の子と一緒に来たいよなぁ」
「………」
「こら待てェそんなに走るなよぉ。おほほほほ捕まえてごらんなさぁーい」
「……………」
「……なにか?」
「地下4階に素人を連れてきても、魔獣に食い散らかされるだけだ」
憮然とした感情を乗せて、カリアが呟いた。
相変わらず堅いよなぁと、言葉のキャッチボールは否定して、気の無い呟きを重ねるジェイ。
「だいたい、女の子ならここに2人もいるです」
メルトが元気良く何事かを口走ったが、黒髪の召喚術士は酷く低い声で反駁した。
「はァ?」
「ひ、ひどいです! 乙女のはーとにヒビが入ったのです! カリアもそう思うです!?」
「………私は、女だと言ったつもりはない」
「えっ、あれ? カリア、もしかして男だったのか!?」
「男だと言ったつもりもない!」
どっちだよと苦笑するジェイが、遠く砂浜の狭橋に人影を見つけて口をつぐむ。
「やっと追いついたようだな」
-+-+-+-+-+-+-
「なんか疲れたなぁ…」
「サニーニーサン! そんな日は脱ぐんですっ!
服を脱ぐことでより規制のない自然に近いアクションが可能にっ!」
「……。師匠みたいなこと言うなよ」
「ううぅっ! ひとがアドバイスしてるのになんて言い方ですかムキィーッ!」
「…キミ、なんかノリ変わってないか?」
空中をふよふよ、重力を無視して浮かんでいる二人の魔法使い。
以前、遭遇と同時にがしゃ髑髏をプレゼントしてくれた、迷惑極まりない謎の放浪者たちだ。
「……あ、前に会った人だ。これはこれは、無事でなにより」
サニーと呼ばれた水色の長髪を三つ編みにまとめた術者が、振り返って言った。
感情に抑揚はなく、近づいてきていることは先刻承知といった風情だ。
「あの時は世話になったな。お蔭で大変だったぜ?」
皮肉まじりに言葉をぶつけるジェイ。
サニーは素顔に無関心を貼り付けたまま、わたわた慌てる仲間の頭を軽く小突きながら告げる。
「喜んでもらえたようでなにより。
でもこっち来ちゃ駄目だってば。また邪魔しないといけな……んん?」
突然、サニーの口調が歪む。
目前の空気が歪み、ぐにゃりと不気味な断層を描きはじめたのだ。
カリアが前に進み出る。どうやら魔法使いの仕業ではないようだが、警戒を下げる理由にはならない。
歪みの正体は、転送魔術のようなものだったのだろうか。
裸体の人影が三つ、誰もいなかったはずの空間に出現していた。
「これは……造られしものか」
サニーは、驚きを隠さずに呟いた。
「造られしもの?」
「遺跡の守護者へのなりそこね……ちょっと面倒だなぁ」
人影は、どうやら精巧に作られた人形であるらしい。
関節部の機巧構造、焦点の合わない瞳、輪郭部が時折ラジオノイズのように歪むのは如何なる仕掛けか。
いぶかしむ両者の間で、人形が、口も開かずに言葉を告げた。
+斜+『敵影確認―――――ユグドラシルの命に従い、排除します』-斜-
砂塵を巻き起こすこともなく、滑らかな駆動で人形が動きをみせる。
一様に向く視線はカリアに、背後に控えるジェイに、無常にぶら下がっているメルトに向けられていた。
「こらーっ! はやくメルトの縄をとくですー!?」
「うるさいそれどころじゃない!」
「それどころですー!」
「…あれぇ?」
混乱する敵対者を前に、サニーは首をかしげた。
「……まぁいいか。これは……好都合だね♪」
微笑を浮かべ。
「僕もお邪魔させてもらうよ」
銀眼の魔法使いが重厚な本を開くと、周囲に幾重もの魔法陣が展開する。
戦闘は避けられそうになかった。
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つれづれなるまま、
書き綴ってます。
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