歌を唄う猫の夢
定期更新ネットゲーム『Sicx Lives』の、 日記・雑記・メモ等が保管されていくのかもしれません。 昔は『False Island』のことを書いてました。
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ジェイは1人、悩んでいた。
「いいか、油断するにゃー?」
「斥候の天使メルトに、それは愚問ですわん!」
とても、悩んでいた。
「樹木の生長度合いが変わってきたにゃあ」
「くんくん。お日様の匂いがしてきたですわん!」
すごく、すごく悩んでいた。
「なぁ。いつからこのパーティは動物園になっちまったんだ…?」
痩せた草木が生い茂る密林は、やがて、広くて太い葉身を持つ木々の群れへ姿を変えていく。
微細な変化を読み取れるのは、自然に生きる妖精ならではの知覚か。
陽光を受けて瑞々しく幹を伸ばす樹木が増えてきたということは、この先に開けた空間があるということだ。
期待を胸に、獣道をかきわけて進む。
予想が現実と重なるとき、彼らの緊張は一瞬で臨界に達した。
「……やぁ、やっぱり来たね」
片手に重そうな魔導書を抱えた魔法使いが、告げる。
サニー。銀眼の少年魔法使い。幾度となく一行の旅路を妨害してきた――、敵。
彼は密集した森林に囲まれた、瑞々しい草原にひとりたたずんでいる。
だがどこか様子がおかしい。悄然、あるいは呆然とした口調。魂が抜けたかのうような姿に、違和感を覚える。
「ベッド、です?」
水色の髪を風に揺らすサニーの後ろには、天蓋付きの豪奢なベッドが在った。
草原の真ん中に王侯貴族が使っているような寝具があるという奇妙な風景。どう考えても、違和感しか得られない。
「…遅かったみたいだよ」
サニーを遠巻きに警戒しながら、ベッドの反対側へ回る。
ジェイが慎重に、天蓋から釣り下がるレースを掻き分けて中を覗きこむ。
寝乱れた白いシーツ、後頭部の形に歪んだピロウ。場所にそぐわぬ清潔さはあるものの、誰かが使っていた形跡が読み取れた。
素手で触れてみる。
――冷たい。体温のぬくもりは、とうに消えているようだ。
「娘さんとやらはもう、どこかに連れてかれちゃってるね。…煙草の嫌な臭いがする、あの神崎って奴だ…」
サニーが悔しそうに吐き捨てた。
神崎という名前には聞き覚えがある。エドという少年が告げた言葉が、ふと脳裏に甦った。
(そういえば、島の核に行ってどうするのぉー? あそこってこの島の管理人さんがいるところでしょ?
確か眠っててまだ起きてないんだっけ。あれ? 起きたんだっけ? ……うーん、よくわかんないなぁ。
かわいい女の子だってことは聞いたよ! 神崎おじさんロッリコーン! あはー)
ロリコンはいただけない。速やかに鏖殺すべきだ。
「この島の主なら師匠の行方の手掛かりになると思ったのに……」
魔法使いの少年はかなり落ち込んでいるようで、うつむき、ギリッと唇を噛み締めている。
彼にも旅を続ける理由はあったのだ。敵対したこともあるが、ここは水に流そうとジェイが口を開く。
「……というわけだからさぁ」
だが、発声はサニーの方が早かった。
フードの奥から覗く視線が、静かな怒りに染まっている。
「もう…消えてくれない? だって…これ以上、邪魔されたくないものっ!!」
バラララッと魔導書が凄まじい勢いでめくれる。
魔法使いの詠唱が大気をふるわせ、天空に巨大な魔法陣が出現した――。
「斥候の天使メルトに、それは愚問ですわん!」
とても、悩んでいた。
「樹木の生長度合いが変わってきたにゃあ」
「くんくん。お日様の匂いがしてきたですわん!」
すごく、すごく悩んでいた。
「なぁ。いつからこのパーティは動物園になっちまったんだ…?」
痩せた草木が生い茂る密林は、やがて、広くて太い葉身を持つ木々の群れへ姿を変えていく。
微細な変化を読み取れるのは、自然に生きる妖精ならではの知覚か。
陽光を受けて瑞々しく幹を伸ばす樹木が増えてきたということは、この先に開けた空間があるということだ。
期待を胸に、獣道をかきわけて進む。
予想が現実と重なるとき、彼らの緊張は一瞬で臨界に達した。
「……やぁ、やっぱり来たね」
片手に重そうな魔導書を抱えた魔法使いが、告げる。
サニー。銀眼の少年魔法使い。幾度となく一行の旅路を妨害してきた――、敵。
彼は密集した森林に囲まれた、瑞々しい草原にひとりたたずんでいる。
だがどこか様子がおかしい。悄然、あるいは呆然とした口調。魂が抜けたかのうような姿に、違和感を覚える。
「ベッド、です?」
水色の髪を風に揺らすサニーの後ろには、天蓋付きの豪奢なベッドが在った。
草原の真ん中に王侯貴族が使っているような寝具があるという奇妙な風景。どう考えても、違和感しか得られない。
「…遅かったみたいだよ」
サニーを遠巻きに警戒しながら、ベッドの反対側へ回る。
ジェイが慎重に、天蓋から釣り下がるレースを掻き分けて中を覗きこむ。
寝乱れた白いシーツ、後頭部の形に歪んだピロウ。場所にそぐわぬ清潔さはあるものの、誰かが使っていた形跡が読み取れた。
素手で触れてみる。
――冷たい。体温のぬくもりは、とうに消えているようだ。
「娘さんとやらはもう、どこかに連れてかれちゃってるね。…煙草の嫌な臭いがする、あの神崎って奴だ…」
サニーが悔しそうに吐き捨てた。
神崎という名前には聞き覚えがある。エドという少年が告げた言葉が、ふと脳裏に甦った。
(そういえば、島の核に行ってどうするのぉー? あそこってこの島の管理人さんがいるところでしょ?
確か眠っててまだ起きてないんだっけ。あれ? 起きたんだっけ? ……うーん、よくわかんないなぁ。
かわいい女の子だってことは聞いたよ! 神崎おじさんロッリコーン! あはー)
ロリコンはいただけない。速やかに鏖殺すべきだ。
「この島の主なら師匠の行方の手掛かりになると思ったのに……」
魔法使いの少年はかなり落ち込んでいるようで、うつむき、ギリッと唇を噛み締めている。
彼にも旅を続ける理由はあったのだ。敵対したこともあるが、ここは水に流そうとジェイが口を開く。
「……というわけだからさぁ」
だが、発声はサニーの方が早かった。
フードの奥から覗く視線が、静かな怒りに染まっている。
「もう…消えてくれない? だって…これ以上、邪魔されたくないものっ!!」
バラララッと魔導書が凄まじい勢いでめくれる。
魔法使いの詠唱が大気をふるわせ、天空に巨大な魔法陣が出現した――。
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