歌を唄う猫の夢
定期更新ネットゲーム『Sicx Lives』の、 日記・雑記・メモ等が保管されていくのかもしれません。 昔は『False Island』のことを書いてました。
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「この種、うまいです!」
「不思議な味だ…、しかし記憶に引っかかる。確か、何処かで…?」
「オイオイ。あんま食べ過ぎンなよ? 俺の分は取っとけ?」
「ジェイは食べないです?」
「俺は美味しいものは後で食べる主義なの」
「ふふっ、用心深い性格も困りものだな?」
「不思議な味だ…、しかし記憶に引っかかる。確か、何処かで…?」
「オイオイ。あんま食べ過ぎンなよ? 俺の分は取っとけ?」
「ジェイは食べないです?」
「俺は美味しいものは後で食べる主義なの」
「ふふっ、用心深い性格も困りものだな?」
遠景に怪物や原生動物の姿もなく、穏やかな空気が取り巻いている。
葉擦れの音が感じさせるは風の流れ。山あいに色づく茜色は、秋の到来を示していた。
感情へ波立つ刺激もなく、一行は先へ進む。
油断などしているはずもない。
この先に立ちはだかる者達のことを彼らは知っている。濃密な魔力の気配は、精神を針の如く刺激する。
だが――。
それは、突然遭遇した。
立ち並ぶ煉瓦の壁が不意に途切れた瞬間、奴等に遭遇するのは運命が女神の配剤か。
「はっはっはっ、見つけたぞ煙草男」
「諦めた方がいいよ、お師匠様には敵わない」
最初に視線を惹いたのは、眩い純白のウェディングドレスを身にまとった水色の髪の魔法使い。
次いで、隆々と荒ぶる筋肉を下半身ごと顕わにみせる全裸の男。
サニー、そしてサバス。かつてB4Fで死闘をまじえた変態コンビだ。
「全く、しつこいなお前ら…。あまり構わないでくれると助かるんだが…」
「残念ながらそうもいかないのだよ」
サバスは整った顎鬚を撫で付けながら言う。
「お前に抱かれているが故に目を閉じ辛そうにしているそこの可愛こちゃんを
居心地の良い私の胸の中に保護する必要があるのだ。……さぁ、渡したまえ」
「……このド変態が」
その意見には同意する。
と、気が付く。サバスは誰かと言い争っているようであった。
盛り上がる肩甲骨越しに見ると、何者かが口に銜えた煙草の紫煙を揺らしていた。
黒いスーツに身を包んだ男。黒い髪に黒い瞳を持ち、彫りの深い顔で眉根をひそめている。
「あの男、――強い」
カリアが呟く。
先に剣戟を交えたラザレスも決して弱くはなかったが、圧倒的な力量差を感じる。
膨れあがる殺気が、一瞬の身震いを招く。
だが、その次の瞬間、サバスにうっとり視線を送っていたメルトがビクッと反応した。
「…ククッ! お困りのようですかなッ?」
不意に出現した気配。
煙草の男と同じく黒いスーツをまとった、もうひとりの男。
黒髪は同じだがオールバックにまとめ、ニヤニヤといやらしい笑顔を浮かべている。
何より印象深いのは、氷のように冷えた蒼い瞳。
「……えらく懐かしい顔だな、…榊か」
「会えると思っていましたよ、神崎さん。貴方だけ私の手元に無かったのでね」
榊と呼ばれた男は、神崎と呼んだ男が抱える少女を道化的な仕草で覗き込む。
「…ほほぅッ! これが主の娘というやつですかッ!! これまた可愛らしい子ですねぇ!
いやいや安心しましたよォ、我々の守るべき娘さんに対して私が愛着を持てなかったら
大変なことになっていたかもしれません! …ヒヒッ!」
「そりゃぁ良かった。……で? …どうする」
「お任せくださいッ!! 主よりエージェントをたくさん貸していただいておりますからッ!
…お出でなさい。ニギア、スギンディム」
パチンと軽快な音が鳴り響く。
呼応するが如く、朽ち果てた廃墟に更なる気配が増える。
「よっしきたッ!!僕に任せてよ、榊」
「……眩しい」
彼ら同様に黒いスーツを着た男女。
神崎は呆れ気味に嘆息しながら、軽薄な声をあげたニギアという方へ少女を渡す。
「娘を連れて先に行け」
「りょぉぉぉぅかいっ!!」
二人はザッと踵を返し、遺跡の奥へと走っていく。
「あっ、待……」
「お師匠様、僕が追いますッ!!」
ジェイの掛け声を遮り、サニーが叫んだ。
ドレスに風をはらませながら飛び出す魔法使いに、だが、榊が鋭く掌を開いて遮る。
「…ヒヒッ! 私がココに残る意味を分かっていただけませんかねぇッ!!」
閃く銀光はナイフ。曇りなく磨かれた凶刃がサニーの喉を襲う。
――が、
「……ッ!!」
榊はナイフを取り落した。口端がニイッと引きあげられる。
サバスが何かをしたのだろう。投擲の残身を取っているが、何を投げたかはカリアにすらわからない。
「2人を追えッ!! 逃がしたら楽しい罰ゲームの時間が待っているぞッ!!」
応えはない。サニーは顔を真っ赤に染めながら、はるか天空へ宙返りを打って飛び去った。
「…勝手なことをしないでくれないか、あれは私に絶対服従の誰かの新妻だ」
「……。クククククッ!! これはこれはッ! おもしろいですねえぇッ!!!」
親指を眉間に押し付けながら睨みつけるサバスに、榊が哄笑を返す。
その傍らで、二人のやり取りを他人事のように諦観する神崎がいた。
彼は最初の煙草を床に落とし、革靴の踵で踏みにじる。
胸元のシガレットケースから、新たな紙巻を取り出して火をつけた。
「……ふぅ、ようやく気兼ねなく吸える」
深呼吸に似た吐息に混じった煙が、空へ灰色をまき散らし。
「さて神崎さん? 敵は複数です。…ここはひとつ共同戦線といきましょうかねぇッ!!」
「…好きにしてくれ、俺も好きにやらせてもらう。」
退屈そうに神崎は応える。榊が、凶器にも似た喜の表情を浮かべた。
「えぇ、それではそうしましょう! ……ヒヒッ!!」
サバスがやれやれと肩をすくめた。
「…っという訳だ、残念だがそちらも既に巻き込まれている。
足手纏いにならぬ程度に、まぁ頑張りたまえッ!」
全裸で荒々しく決めるポージング。
カリアは耐えている。これを美しいとは認めたくなくて耐えている。
暴れだしたくなる感情を帯剣に込めて、抜刀した。
ジェイは苦笑しながら、サバスの隣に立った。
彼は同じ召喚使いとして認めているのだ、サバスという漢の実力を。
――そして、天使は微笑んでいた。
慈愛に満ちた、あるいは、すべてを睥睨した神域の悦びで。
「今は、榊と名乗るです?」
静かな問いに顔をあげた榊の視線に、ギッと力が籠った。
「これはこれは! …知ってますよォ? 覚えてますよォ!?
今度は貴方というわけですか、狂い咲きの"VOLUPTAS"!」
榊は嗤う。さも楽しげに、縺れた運命の糸へ唾棄して嘲笑する。
メルトは告げる。御使いは、傷む契約を心に神の敵を憐笑した。
「おめでとうです! 神様は、やっとお許しになられたです。
だからもう、――死んでもいいですよ?」
葉擦れの音が感じさせるは風の流れ。山あいに色づく茜色は、秋の到来を示していた。
感情へ波立つ刺激もなく、一行は先へ進む。
油断などしているはずもない。
この先に立ちはだかる者達のことを彼らは知っている。濃密な魔力の気配は、精神を針の如く刺激する。
だが――。
それは、突然遭遇した。
立ち並ぶ煉瓦の壁が不意に途切れた瞬間、奴等に遭遇するのは運命が女神の配剤か。
「はっはっはっ、見つけたぞ煙草男」
「諦めた方がいいよ、お師匠様には敵わない」
最初に視線を惹いたのは、眩い純白のウェディングドレスを身にまとった水色の髪の魔法使い。
次いで、隆々と荒ぶる筋肉を下半身ごと顕わにみせる全裸の男。
サニー、そしてサバス。かつてB4Fで死闘をまじえた変態コンビだ。
「全く、しつこいなお前ら…。あまり構わないでくれると助かるんだが…」
「残念ながらそうもいかないのだよ」
サバスは整った顎鬚を撫で付けながら言う。
「お前に抱かれているが故に目を閉じ辛そうにしているそこの可愛こちゃんを
居心地の良い私の胸の中に保護する必要があるのだ。……さぁ、渡したまえ」
「……このド変態が」
その意見には同意する。
と、気が付く。サバスは誰かと言い争っているようであった。
盛り上がる肩甲骨越しに見ると、何者かが口に銜えた煙草の紫煙を揺らしていた。
黒いスーツに身を包んだ男。黒い髪に黒い瞳を持ち、彫りの深い顔で眉根をひそめている。
「あの男、――強い」
カリアが呟く。
先に剣戟を交えたラザレスも決して弱くはなかったが、圧倒的な力量差を感じる。
膨れあがる殺気が、一瞬の身震いを招く。
だが、その次の瞬間、サバスにうっとり視線を送っていたメルトがビクッと反応した。
「…ククッ! お困りのようですかなッ?」
不意に出現した気配。
煙草の男と同じく黒いスーツをまとった、もうひとりの男。
黒髪は同じだがオールバックにまとめ、ニヤニヤといやらしい笑顔を浮かべている。
何より印象深いのは、氷のように冷えた蒼い瞳。
「……えらく懐かしい顔だな、…榊か」
「会えると思っていましたよ、神崎さん。貴方だけ私の手元に無かったのでね」
榊と呼ばれた男は、神崎と呼んだ男が抱える少女を道化的な仕草で覗き込む。
「…ほほぅッ! これが主の娘というやつですかッ!! これまた可愛らしい子ですねぇ!
いやいや安心しましたよォ、我々の守るべき娘さんに対して私が愛着を持てなかったら
大変なことになっていたかもしれません! …ヒヒッ!」
「そりゃぁ良かった。……で? …どうする」
「お任せくださいッ!! 主よりエージェントをたくさん貸していただいておりますからッ!
…お出でなさい。ニギア、スギンディム」
パチンと軽快な音が鳴り響く。
呼応するが如く、朽ち果てた廃墟に更なる気配が増える。
「よっしきたッ!!僕に任せてよ、榊」
「……眩しい」
彼ら同様に黒いスーツを着た男女。
神崎は呆れ気味に嘆息しながら、軽薄な声をあげたニギアという方へ少女を渡す。
「娘を連れて先に行け」
「りょぉぉぉぅかいっ!!」
二人はザッと踵を返し、遺跡の奥へと走っていく。
「あっ、待……」
「お師匠様、僕が追いますッ!!」
ジェイの掛け声を遮り、サニーが叫んだ。
ドレスに風をはらませながら飛び出す魔法使いに、だが、榊が鋭く掌を開いて遮る。
「…ヒヒッ! 私がココに残る意味を分かっていただけませんかねぇッ!!」
閃く銀光はナイフ。曇りなく磨かれた凶刃がサニーの喉を襲う。
――が、
「……ッ!!」
榊はナイフを取り落した。口端がニイッと引きあげられる。
サバスが何かをしたのだろう。投擲の残身を取っているが、何を投げたかはカリアにすらわからない。
「2人を追えッ!! 逃がしたら楽しい罰ゲームの時間が待っているぞッ!!」
応えはない。サニーは顔を真っ赤に染めながら、はるか天空へ宙返りを打って飛び去った。
「…勝手なことをしないでくれないか、あれは私に絶対服従の誰かの新妻だ」
「……。クククククッ!! これはこれはッ! おもしろいですねえぇッ!!!」
親指を眉間に押し付けながら睨みつけるサバスに、榊が哄笑を返す。
その傍らで、二人のやり取りを他人事のように諦観する神崎がいた。
彼は最初の煙草を床に落とし、革靴の踵で踏みにじる。
胸元のシガレットケースから、新たな紙巻を取り出して火をつけた。
「……ふぅ、ようやく気兼ねなく吸える」
深呼吸に似た吐息に混じった煙が、空へ灰色をまき散らし。
「さて神崎さん? 敵は複数です。…ここはひとつ共同戦線といきましょうかねぇッ!!」
「…好きにしてくれ、俺も好きにやらせてもらう。」
退屈そうに神崎は応える。榊が、凶器にも似た喜の表情を浮かべた。
「えぇ、それではそうしましょう! ……ヒヒッ!!」
サバスがやれやれと肩をすくめた。
「…っという訳だ、残念だがそちらも既に巻き込まれている。
足手纏いにならぬ程度に、まぁ頑張りたまえッ!」
全裸で荒々しく決めるポージング。
カリアは耐えている。これを美しいとは認めたくなくて耐えている。
暴れだしたくなる感情を帯剣に込めて、抜刀した。
ジェイは苦笑しながら、サバスの隣に立った。
彼は同じ召喚使いとして認めているのだ、サバスという漢の実力を。
――そして、天使は微笑んでいた。
慈愛に満ちた、あるいは、すべてを睥睨した神域の悦びで。
「今は、榊と名乗るです?」
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「これはこれは! …知ってますよォ? 覚えてますよォ!?
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つれづれなるまま、
書き綴ってます。
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