歌を唄う猫の夢
定期更新ネットゲーム『Sicx Lives』の、 日記・雑記・メモ等が保管されていくのかもしれません。 昔は『False Island』のことを書いてました。
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[ Third person -NEXT Encounter- ]
――勝負は一瞬で決まった。
ふざけ半分に、もてあました力を無造作に行使するペリケペルカ。
だが、制御されていない能力に付け入ることは、容易い。
――勝負は一瞬で決まった。
ふざけ半分に、もてあました力を無造作に行使するペリケペルカ。
だが、制御されていない能力に付け入ることは、容易い。
光の檻に捕らえたペリケペルカに、リズの魔術が直撃する。
不条理な拘束に不条理な追撃。少年――あるいは少女――は、癇癪気味に腕を振り回した。
無茶苦茶な軌道から迸るのは、疫毒に侵された負の術式。檻を一瞬で破壊するほどの。
いや、術という形状を成しているのかどうかは疑わしい。
その姿はまるで子供の我侭を見ているかのようで。とても、痛々しい。
計画通り、ふれあが敷いた反閇の陣にペリケペルカの力は容易く弾かれた。
結界の内、ラズが正確に組み上げた三つの魔法陣が、轟音を蹴立てて解き放たれる。
まさにその時、勝敗は決したのだった。
「あやぁ? あたしどうしちまったんだぁ?」
深い森林は、魔力の波涛で円錐状に抉られている。
最中に在って、ペリケペルカは何事も無かったかのように平然と立っていた。
ラズを筆頭に、三人に緊張の色が浮かぶ。
しかし、ペリケペルカはガクンと、自らに起きた事情を把握できないまま崩れ落ちた。
朽ちた赤色の髪が、じわりと緑色に染まっていく。
嗅覚の鋭いふれあが、思わずアルワンの毛並みに顔を突っ伏してうずめた。
ペリケペルカが、髪色の変化とともに放った酷い腐臭のせいだ。
吐瀉物を撒き散らしながら、彼は、定まらぬ足取りでふらふらと歩きだした。
虚ろな瞳に、だらしなく開いた口元。
顔を背けたくなるほどに、哀しくも、惨めな姿。
藪をかきわけ、転び、起き上がっては転び、土くれを口内で噛み砕き。
ぐにゃりと姿形の輪郭を歪ませ。
ドロリと地面に溶けて、染みになった。
「………」
出逢った際に感じた、凶悪にして危険な気配はすでに無い。
子供がそこにいた、ということすら夢であったかのように。
ラズは、ペリケペルカの消えた場所に暗い緑色の宝玉を見つけた。
地の宝玉。
捜し求めていた、四つ目の宝玉。
「あれ」
ふと、リズが声をあげた。
「こっちにも宝玉が落ちてるよ?」
見ればリズが、汚臭に表情を歪めながらも、吐瀉物の中から何かを拾い上げようとしている。
「「拾うな!」」
叱責は二重に響く。
短い単語で明瞭な指図は、二人から放たれていた。
魔術師の少女は、もうひとりの声の主であるアルワンをちらりと見てから、リズへ歩み寄る。
リズは固まったように動かなかった。怒られたことにびっくりしていたのかも知れない。
鼻を突く異臭も薄れ、ふれあが顔をあげた。
地面に四重の魔法陣が敷かれているのが見える。封印の術式。それも相当に厳重な。
その中央に見えたものに、首を傾げる。
「黒い宝玉?」
ブラックと評するより、ダークと評するのがふさわしいか。
ガラス質の球体の中で、とぐろを巻いてうねっている闇色の炎。
地の宝玉より、ひと回り小さい。宝玉というよりは、宝石と称すべきだろう。
ラズが詠唱を紡ぐ。
黒い宝石へ、不可視の結界を幾重にも巻いていく。慎重に、慎重に。
緑の宝玉に対する扱いとは、あまりにも差があった。
爆発物を取り扱うがごとく、丁寧に、一分の無駄も隙もみせず、魔力の絹布で宝石を包む。
「これでいい?」
「――ああ」
ひと段落ついて。ラズの問いかけに、アルワンはひどく疲れた様子で返した。
+小++小+ -小--小-
+小++小+System -Algol Execution-小--小- +小++小+Lost Sorcery of Strict prohibition-小--小-
「これは、黒禍の契碑。――禁呪指定の遺失魔法。 +小++小+Geass spell-小--小- +小++小+Materialise-小--小-
結んだ盟約に対し、限界を超えた契約執行を求める、強制魔術の結晶体。
……簡単に言えば、借金返済のために銀行を襲わせることができる契約書」
ぽかんと拝聴するリズとふれあを素通りし、魔術師の少女はアルワンへ視線を止めた。
「どうして知ってる?」
-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-
島全体に仕掛けられた自己修復の魔法。
破壊された景観を寸分違わず復元させる、再構築のシステムが発動している。
超常の魔力に薙ぎ倒された木々が、計画的手順に従って魔的な気配に満ちた密林に回帰する。
その様は、どこかしら矛盾を感じさせずにはいられない。
「へぇ」
彼は、かすれた高音域で深い感嘆を呟いた。
「やってくれるじゃないかね?」
散逸する魔力の残滓の解析は、難航していた。
すでに大気の成分も、魔力濃度も、大部分が元の構成状態を取り戻しつつあるからだ。
しかしそんな中、楔のように突き刺さり、自浄作用に抵抗している魔力がある。
エーテル構成は、たいしたものではない。
強力な破壊系魔術が使用された際に視られる、典型的な重合反応組成。
だが、島の復元力に分解されていないというのが気にかかる。
挑戦状。あるいは挑発だろうか。
失策。
別の計画に利用するため忍ばせておいた結晶体も、裏目を招いたか。
罠を仕掛けようにも、先行できねば意味はない。
潰した術式に安堵している隙に、一歩も二歩も先を往かれたか。
「面白い。面白いねぇ、まったく?」
彼は振り返る。
プラチナに輝く硬質の構成結界の中で、朽ちた赤髪の子供が再形成されていた。
伸ばした指先にバチリと電光が弾け、白手袋が無惨に炭化する。
触れることは許されない。
如何なる者も。たとえ彼であれ、その復元プロセスに介入は出来ない。
「ちゃんと消化してれば、あの子と同じものが造れたかもしれなかったのにね?」
ククッと喉の奥で笑みを漏らし、彼は――道化師は、その場を後にした。
不条理な拘束に不条理な追撃。少年――あるいは少女――は、癇癪気味に腕を振り回した。
無茶苦茶な軌道から迸るのは、疫毒に侵された負の術式。檻を一瞬で破壊するほどの。
いや、術という形状を成しているのかどうかは疑わしい。
その姿はまるで子供の我侭を見ているかのようで。とても、痛々しい。
計画通り、ふれあが敷いた反閇の陣にペリケペルカの力は容易く弾かれた。
結界の内、ラズが正確に組み上げた三つの魔法陣が、轟音を蹴立てて解き放たれる。
まさにその時、勝敗は決したのだった。
「あやぁ? あたしどうしちまったんだぁ?」
深い森林は、魔力の波涛で円錐状に抉られている。
最中に在って、ペリケペルカは何事も無かったかのように平然と立っていた。
ラズを筆頭に、三人に緊張の色が浮かぶ。
しかし、ペリケペルカはガクンと、自らに起きた事情を把握できないまま崩れ落ちた。
朽ちた赤色の髪が、じわりと緑色に染まっていく。
嗅覚の鋭いふれあが、思わずアルワンの毛並みに顔を突っ伏してうずめた。
ペリケペルカが、髪色の変化とともに放った酷い腐臭のせいだ。
吐瀉物を撒き散らしながら、彼は、定まらぬ足取りでふらふらと歩きだした。
虚ろな瞳に、だらしなく開いた口元。
顔を背けたくなるほどに、哀しくも、惨めな姿。
藪をかきわけ、転び、起き上がっては転び、土くれを口内で噛み砕き。
ぐにゃりと姿形の輪郭を歪ませ。
ドロリと地面に溶けて、染みになった。
「………」
出逢った際に感じた、凶悪にして危険な気配はすでに無い。
子供がそこにいた、ということすら夢であったかのように。
ラズは、ペリケペルカの消えた場所に暗い緑色の宝玉を見つけた。
地の宝玉。
捜し求めていた、四つ目の宝玉。
「あれ」
ふと、リズが声をあげた。
「こっちにも宝玉が落ちてるよ?」
見ればリズが、汚臭に表情を歪めながらも、吐瀉物の中から何かを拾い上げようとしている。
「「拾うな!」」
叱責は二重に響く。
短い単語で明瞭な指図は、二人から放たれていた。
魔術師の少女は、もうひとりの声の主であるアルワンをちらりと見てから、リズへ歩み寄る。
リズは固まったように動かなかった。怒られたことにびっくりしていたのかも知れない。
鼻を突く異臭も薄れ、ふれあが顔をあげた。
地面に四重の魔法陣が敷かれているのが見える。封印の術式。それも相当に厳重な。
その中央に見えたものに、首を傾げる。
「黒い宝玉?」
ブラックと評するより、ダークと評するのがふさわしいか。
ガラス質の球体の中で、とぐろを巻いてうねっている闇色の炎。
地の宝玉より、ひと回り小さい。宝玉というよりは、宝石と称すべきだろう。
ラズが詠唱を紡ぐ。
黒い宝石へ、不可視の結界を幾重にも巻いていく。慎重に、慎重に。
緑の宝玉に対する扱いとは、あまりにも差があった。
爆発物を取り扱うがごとく、丁寧に、一分の無駄も隙もみせず、魔力の絹布で宝石を包む。
「これでいい?」
「――ああ」
ひと段落ついて。ラズの問いかけに、アルワンはひどく疲れた様子で返した。
+小++小+ -小--小-
+小++小+System -Algol Execution-小--小- +小++小+Lost Sorcery of Strict prohibition-小--小-
「これは、黒禍の契碑。――禁呪指定の遺失魔法。 +小++小+Geass spell-小--小- +小++小+Materialise-小--小-
結んだ盟約に対し、限界を超えた契約執行を求める、強制魔術の結晶体。
……簡単に言えば、借金返済のために銀行を襲わせることができる契約書」
ぽかんと拝聴するリズとふれあを素通りし、魔術師の少女はアルワンへ視線を止めた。
「どうして知ってる?」
-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-
島全体に仕掛けられた自己修復の魔法。
破壊された景観を寸分違わず復元させる、再構築のシステムが発動している。
超常の魔力に薙ぎ倒された木々が、計画的手順に従って魔的な気配に満ちた密林に回帰する。
その様は、どこかしら矛盾を感じさせずにはいられない。
「へぇ」
彼は、かすれた高音域で深い感嘆を呟いた。
「やってくれるじゃないかね?」
散逸する魔力の残滓の解析は、難航していた。
すでに大気の成分も、魔力濃度も、大部分が元の構成状態を取り戻しつつあるからだ。
しかしそんな中、楔のように突き刺さり、自浄作用に抵抗している魔力がある。
エーテル構成は、たいしたものではない。
強力な破壊系魔術が使用された際に視られる、典型的な重合反応組成。
だが、島の復元力に分解されていないというのが気にかかる。
挑戦状。あるいは挑発だろうか。
失策。
別の計画に利用するため忍ばせておいた結晶体も、裏目を招いたか。
罠を仕掛けようにも、先行できねば意味はない。
潰した術式に安堵している隙に、一歩も二歩も先を往かれたか。
「面白い。面白いねぇ、まったく?」
彼は振り返る。
プラチナに輝く硬質の構成結界の中で、朽ちた赤髪の子供が再形成されていた。
伸ばした指先にバチリと電光が弾け、白手袋が無惨に炭化する。
触れることは許されない。
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ENo.106 梟霊アルワン
Sicx LivesのPLのひとり。
ふらふらと漂う木片。
つれづれなるまま、
書き綴ってます。
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