歌を唄う猫の夢
定期更新ネットゲーム『Sicx Lives』の、 日記・雑記・メモ等が保管されていくのかもしれません。 昔は『False Island』のことを書いてました。
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伏して散らばるはベルクレアの兵士達。意識なく昏倒する姿は、物悲しいほどに滑稽で。
「あぁーららぁー」
ギルは、メルトの矢に肩を射抜かれて動けない。動けないまま、不敵に口端を吊り上げている。
カリアの閃光に似た連撃が、シズクの態勢を崩した。
呻き声をあげて半歩退くエルタの少女に、ジェイが絶望を乗せて号令を発す。
召喚により具現した異界の竜王が、身体から強烈な輝きを迸らせ。
――勝敗が決するのに、時間はかからなかった。
「あぁーららぁー」
ギルは、メルトの矢に肩を射抜かれて動けない。動けないまま、不敵に口端を吊り上げている。
カリアの閃光に似た連撃が、シズクの態勢を崩した。
呻き声をあげて半歩退くエルタの少女に、ジェイが絶望を乗せて号令を発す。
召喚により具現した異界の竜王が、身体から強烈な輝きを迸らせ。
――勝敗が決するのに、時間はかからなかった。
「無茶、というやつですね」
片膝を屈したシズクに、ギルが自らの惨状を省みず痛快な笑い声をあげた。
「ハハッ! しっかり負けちまったなぁ? エキュオスちゃんよぉ」
「…シズクです。現状、話すのも疲れますからやめてください」
その言葉が限界だったのか、少女はふらりと姿勢を崩し、砂床に倒れこんだ。
ギルは、そんな仲間達の様相を横目に捉えながら、どこか楽しそうに声を弾ませて言う。
「あぁそうそう、俺を負かした冒険者さんよ。……この島の秘密を知りたくねぇか?」
「秘密だと?」
ジェイが本能的に聞き返した。
慎重になるべき場面で、敵の誘い水に引き込まれたことに気づき舌打ちする。
「……ギル、貴方何を」
「いいじゃねぇか、勝者にはとことん勝者になってもらうってことでよぉ!」
だがジェイの思惑と裏腹に、ベルクレア第15隊隊長には駆け引きといった意識は無いようだった。
絶句するシズクに対して、ギルは淡々と言葉を続ける。
「宝玉。あれな、揃えると財宝がどうこうじゃねぇーんだわ。
あれを揃えてどっかに持ってくと、なんとなぁ~……」
ニヤリと、笑みを浮かべて。
「過去を操れるんだってよッ」
その言葉にカリアが、ぴくりと反応した。
「つまりそれがあれば、昨日食べたプリンをもう一度ゆっくり楽しめると、そういうことですか!」
「黙れ」
切羽詰まった本気顔で問い詰めようとするメルトの首筋に、遠慮なく手刀を叩き込むカリア。
「過去を操る秘蹟など在り得ない」
「おい、カリア? 何をそんなにムキになって」
ジェイが制そうとするも、カリアの勢いは停まらない。
矢継ぎ早に詰問を繰り出そうとする妖精。しかし、ギルは取り合わなかった。
「うちのベルクレアのヘッドは、それでとんでもねぇことをするつもりなんだろうなっ、と!」
海老反りに勢いつけて立ち上がると、青年は、自隊の副隊長へ手を差し伸べる。
「ほらいつまで寝てんだエキュオスちゃん。
動かねぇと給料出ねぇぜぇ? 好きなもん食えねぇぜぇぇ?」
「…………ばなな」
頬をかすかに赤らめながら、隊長の手を取って立ち上がるシズク。
ジェイが気の抜けた溜め息をついた。悪態の取り様から仲が悪いものと想像していたが、そうでもないようだ。
「お前らもノンビリしている余裕はないぜ? ほら、アッチに新しいお客さんが参上だ」
教えられて振り返る。
砂丘とは正反対、鬱蒼と生い茂る深緑のほとりに、紅い薔薇を髪に飾る黒衣の少女が立っていた。
「あらこんにちは、私サンドラ」
少女はドレスの裾を気にしながら、ゆっくりと近づいてくる。
「知り合いです?」
「顔見知りではあるな。安心しとけよ、増援でもなんでも無ぇ。どっちかっていうと、敵か?」
尋ねるメルトに、肩をすくめてみせるギル。
ジェイがシズクとサンドラを見比べて、今度は誰にでもはっきりとわかる強い溜め息をついた。
「どうせ戦うなら、もう少しナイスバディの方が楽しめるのに。どうして俺の周りはみんな…」
「そ、それはメルトがせくしーじゃないと言いたいですか!」
「聞き捨てならないぞ、ジェイ! 認識を改めろ!」
少女サンドラも、その言葉にはムッとしたらしい。
「本当はもっとグラマーなのよ? 今はいろいろと足りないだけ」
無表情のまま、グラビア写真のように胸を強調するポーズを取ろうとする。相当怒っているらしい。
「それで、何の御用です?」
メルトが問いかけると、サンドラは本来の目的を思い出したのかハッとして上擦った言葉を返した。
「とあるおじさんの命令でね、遺跡の奥に行く道を守ってるの」
鼻をひくつかせて、匂いを嗅ぐ。
もしかして臭うですかー? と、不安気に自分の体臭を気にする駄天使には取り合わず、呟く。
「…結構吸ってるみたいね、マナ。
おねーさんが吸ってあげる、…身体に良くないから」
急激に。ざわりと、空気がふるえた。
異質な空気。粘つくように増していく気配の濃度に、ジェイは半ば反射的に召喚の扉を展開させた。
「はい勝者は行った行った! 第二回戦の始まり始まりィ」
ギルは、どこまでも楽しげに煽り立てる。
しかし、ジェイには、カリアには、その軽口に対応するだけの余裕がない。
急激に抜けていく体力。朦朧とする意識。弛緩しゆく筋肉。
目前の少女に何か攻撃らしきものを受けていることだけは、理解できているというのに!
「シズクを早く逃がすといいです」
メルトが静かに告げた。
ギルは目を細め、天使によく似た何かに視線を送る。
心に生じた疑念を確めようと口を開きかけたが、蒼白な顔色で脱力するシズクに気づき、口をつぐむ。
「てめぇらがどうするか、楽しみにしてるぜ」
捨て台詞のように。
シズクを背負い、兵士とともに撤退するベルクレアの精兵達。
誰も彼らを追わない。戦いのステージは、すでに違う場所へ移っていたのだ。
片膝を屈したシズクに、ギルが自らの惨状を省みず痛快な笑い声をあげた。
「ハハッ! しっかり負けちまったなぁ? エキュオスちゃんよぉ」
「…シズクです。現状、話すのも疲れますからやめてください」
その言葉が限界だったのか、少女はふらりと姿勢を崩し、砂床に倒れこんだ。
ギルは、そんな仲間達の様相を横目に捉えながら、どこか楽しそうに声を弾ませて言う。
「あぁそうそう、俺を負かした冒険者さんよ。……この島の秘密を知りたくねぇか?」
「秘密だと?」
ジェイが本能的に聞き返した。
慎重になるべき場面で、敵の誘い水に引き込まれたことに気づき舌打ちする。
「……ギル、貴方何を」
「いいじゃねぇか、勝者にはとことん勝者になってもらうってことでよぉ!」
だがジェイの思惑と裏腹に、ベルクレア第15隊隊長には駆け引きといった意識は無いようだった。
絶句するシズクに対して、ギルは淡々と言葉を続ける。
「宝玉。あれな、揃えると財宝がどうこうじゃねぇーんだわ。
あれを揃えてどっかに持ってくと、なんとなぁ~……」
ニヤリと、笑みを浮かべて。
「過去を操れるんだってよッ」
その言葉にカリアが、ぴくりと反応した。
「つまりそれがあれば、昨日食べたプリンをもう一度ゆっくり楽しめると、そういうことですか!」
「黙れ」
切羽詰まった本気顔で問い詰めようとするメルトの首筋に、遠慮なく手刀を叩き込むカリア。
「過去を操る秘蹟など在り得ない」
「おい、カリア? 何をそんなにムキになって」
ジェイが制そうとするも、カリアの勢いは停まらない。
矢継ぎ早に詰問を繰り出そうとする妖精。しかし、ギルは取り合わなかった。
「うちのベルクレアのヘッドは、それでとんでもねぇことをするつもりなんだろうなっ、と!」
海老反りに勢いつけて立ち上がると、青年は、自隊の副隊長へ手を差し伸べる。
「ほらいつまで寝てんだエキュオスちゃん。
動かねぇと給料出ねぇぜぇ? 好きなもん食えねぇぜぇぇ?」
「…………ばなな」
頬をかすかに赤らめながら、隊長の手を取って立ち上がるシズク。
ジェイが気の抜けた溜め息をついた。悪態の取り様から仲が悪いものと想像していたが、そうでもないようだ。
「お前らもノンビリしている余裕はないぜ? ほら、アッチに新しいお客さんが参上だ」
教えられて振り返る。
砂丘とは正反対、鬱蒼と生い茂る深緑のほとりに、紅い薔薇を髪に飾る黒衣の少女が立っていた。
「あらこんにちは、私サンドラ」
少女はドレスの裾を気にしながら、ゆっくりと近づいてくる。
「知り合いです?」
「顔見知りではあるな。安心しとけよ、増援でもなんでも無ぇ。どっちかっていうと、敵か?」
尋ねるメルトに、肩をすくめてみせるギル。
ジェイがシズクとサンドラを見比べて、今度は誰にでもはっきりとわかる強い溜め息をついた。
「どうせ戦うなら、もう少しナイスバディの方が楽しめるのに。どうして俺の周りはみんな…」
「そ、それはメルトがせくしーじゃないと言いたいですか!」
「聞き捨てならないぞ、ジェイ! 認識を改めろ!」
少女サンドラも、その言葉にはムッとしたらしい。
「本当はもっとグラマーなのよ? 今はいろいろと足りないだけ」
無表情のまま、グラビア写真のように胸を強調するポーズを取ろうとする。相当怒っているらしい。
「それで、何の御用です?」
メルトが問いかけると、サンドラは本来の目的を思い出したのかハッとして上擦った言葉を返した。
「とあるおじさんの命令でね、遺跡の奥に行く道を守ってるの」
鼻をひくつかせて、匂いを嗅ぐ。
もしかして臭うですかー? と、不安気に自分の体臭を気にする駄天使には取り合わず、呟く。
「…結構吸ってるみたいね、マナ。
おねーさんが吸ってあげる、…身体に良くないから」
急激に。ざわりと、空気がふるえた。
異質な空気。粘つくように増していく気配の濃度に、ジェイは半ば反射的に召喚の扉を展開させた。
「はい勝者は行った行った! 第二回戦の始まり始まりィ」
ギルは、どこまでも楽しげに煽り立てる。
しかし、ジェイには、カリアには、その軽口に対応するだけの余裕がない。
急激に抜けていく体力。朦朧とする意識。弛緩しゆく筋肉。
目前の少女に何か攻撃らしきものを受けていることだけは、理解できているというのに!
「シズクを早く逃がすといいです」
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ギルは目を細め、天使によく似た何かに視線を送る。
心に生じた疑念を確めようと口を開きかけたが、蒼白な顔色で脱力するシズクに気づき、口をつぐむ。
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つれづれなるまま、
書き綴ってます。
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