歌を唄う猫の夢
定期更新ネットゲーム『Sicx Lives』の、 日記・雑記・メモ等が保管されていくのかもしれません。 昔は『False Island』のことを書いてました。
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希望でもなく愉悦でもなく。
カーナルドの放つ、魂を磨り潰して響く慟哭の名は"絶望"と呼ばれるものだった。
狂気の騎士はアリッサとロディッサという二人の偽葉を引き連れている。
双子の片割れ、宝玉の守護者。ベルクレア第三隊の、小さな災厄。
組み合わせの意図はわからない。恐らく、ユグドラシルの、カエダの気まぐれでしかないのだろう。
誰でも問題はなかった。どの葉も、一様に危険な相手だからだ。
カーナルドの放つ、魂を磨り潰して響く慟哭の名は"絶望"と呼ばれるものだった。
狂気の騎士はアリッサとロディッサという二人の偽葉を引き連れている。
双子の片割れ、宝玉の守護者。ベルクレア第三隊の、小さな災厄。
組み合わせの意図はわからない。恐らく、ユグドラシルの、カエダの気まぐれでしかないのだろう。
誰でも問題はなかった。どの葉も、一様に危険な相手だからだ。
天空に手を差し述べたジェイが、黒い雷と共に悪魔の尖兵を召喚する。
大地に剣を突き立てたカリアが、詠唱と共に偽葉のマナを削り奪った。
メルトは弓を引き絞る。まずは、脇を固める者の排除が最優先。
『+斜+Estingue con l'ira di Dio, Sei arco e freccia spumante-斜-』
放つ一矢を、皓色の神術陣が波紋を招いて増強する。
複撃の聖砲がアリッサに備わるマナの葉脈を蹴散らした。だが、倒すまでには至らない。
「堅いです!?」
「あれを受けて、笑っていられるのか!」
アリッサは恍惚の笑みを浮かべていた。
彼女もまた、偽葉を代表する者の一人。カーナルドに比べて殺気が薄いと油断していた。
識者がいれば「彼女はマゾだからな」の一言で片付くのだが、あいにくメルト達には初対面である。
『+斜+La potenza di Dio, Cinque, rotolo su pressione-斜-』
ならば何度でも撃ち込むだけです、と呟き、メルトは更なる攻撃を加えた。
集束した銀色の光矢が残像を曳いて駆ける。
ロディッサが、片手に携えていたペットボトルの中身を振りまいた。
錆びた青銅色の霧が揺蕩う。偽葉には加護を与え、敵に苦毒を与える反転の蒸気。
カリアは、メルトの攻撃に合わせて飛び込む瞬間を狙われた。
怯みをみせた隙を突き、カーナルドが吼える。
「アアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアァァァッ!!!!」
目標を定めない、直感に任せた乱撃。
見事なな太刀筋。元は高潔な騎士であっただろうに、正気を無くして気配しか残らない。
削ったマナがアリッサに降り注ぐ。彼女は震えて、かすかに喘ぎ声を漏らした。
奪い取ったはずの力を奪い返されて、カリアは舌打ちをした。
「力を奪う能力か、やってくれる!」
妖精騎士たる矜持。流血する肢体を引きずって、カリアはカーナルドから闇を奪う。
その力を、ジェイが召喚したアークデーモンへ叩き込む。
仲間に余波が飛び、傷口が広がるがそこは甘受してもらおう。
悪魔が闇に癒され、万全の調子をもって魔に満ちた破滅の瘴気を浴びせかけた。
「アアアアアアァァァ!」
だが、カーナルドはその間隙を縫って反撃に転じた。恐ろしいほどに鍛え上げられた本能。
ジェイは、両手に産みだした魔法陣を大気に叩きつける。
バハムート。魔界の暴竜を二匹同時召喚し、追撃を仕掛けた。
「…ジュース切れた。帰る」
「あああぁあァァッ♪ 満足したわ…」
謎の台詞を呟いて、ロディッサとアリッサの偽葉が消滅した。
オリジナルの心を一瞬取り戻せたのかのかもしれない、とメルトは感じたが、彼女らに祈ってやる時間はない。
「ヒャハハハハッ! 力が漲らァッ!! こりゃ愉快だぜえぇぇッ!!」
混沌としていたカーナルドが、不意に言葉を口にする。
――いや。喋っていたのは彼の下、地面に落ちていた影だった。
カーナルドが天を仰ぐように膝を折り、倒れる。同時に、影から突き出た怪腕が、彼を闇に引きずり込んだ。
それはまるで、黒い水たまりに呑まれてしまったかのよう。
怪腕はそのまま大地に指をかけ、自分の本体を、影であった躰を現実世界へ引き抜く。
「ヒハハ……、寄越せェェェ!!」
ガクンと、ジェイは自分の力が抉り取られたことを悟る。
視線を送ると、カリアが頷いた。この感覚は以前味わったことがある。サンドラという少女の力と同じ。
強制強奪。
「ヒャハハハハハハハハッ!!」
瞬きの弱くなった天使の羽に、メルトは涙目になる。
「ひ、ひどいですー…」
だがカーナルド・シャドウは容赦がない。
理知的な瞳光を戻した分だけ会話の余地もあるかと感じた心は、油断に繋がった。
メルト、カリア、ジェイだけでなく、召喚竜や悪魔からもマナを強奪し、実体以上の力を身に着けた具現影。
影は哄笑と共に、大瀑布の勢いでスコールの如き乱撃を仕掛けてきたのだ。
爆音。激震。鳴動。耳障りな音響を覆う土煙がゆっくりと晴れた先。
そこに残るは、打ち据えられ、力なく倒れ伏す仲間達がいた。
何が起きたのか、理解が追いつかない。
リディアーヌよりも強い、純粋にして圧倒的な轟撃は、戦いの意志すらも容赦なく奪いつくす。
「それを、何とかするのが、……妖精だ!」
ただ一人、カリアが立ち上がる。
剣を撫で、白い輝きを生む。先刻、悪魔を癒した時のように、仲間へ容赦なく突き刺した。
介錯――ではない。妖精であるカリアが使える癒しの力。
とはいえ、得手ではない回復の力だ。生存からして、賭けであることは否めない。
かすかな奇跡を手に入れて、メルトが立ち上がる。
「これが恋の苦しみというやつですかー!?」
脳が揺さぶられ過ぎて上手く神力を集中できない中、命数を代償に黄金弓を創造する。
つがえるは炎。熾天使の証明、全能神への純粋な愛慕。
「聖なるかな、聖なるかな、聖なるであることは、主の御許に来ちゃうこともできるです」
讃美の言葉と共に解き放たれた聖霊の火矢が、カーナルド・シャドウの身体を撃ち貫く。
胸筋に空いた風穴からひび割れていく影の鎧。
「くそったれがあぁぁぁッ!!」
やっと世界に出てこれたのに――。
痛恨の怒りをぶちまけながら、狂気の影は跡形もなく消失した。
白き少女が訊ねる。
「……まだ、やる気?」
「…ヒヒッ……まだまだ、ですよ……」
黒き男は、かすかに嫌そうな顔で応えた。
偽葉の猛攻に耐えられず、鮮血を撒いて倒れる探索者たち。
無惨にして無謬なる光景に、やがて、彼が出現した。
「外の世界に、興味はあるかい…?」
焦茶色のテンガロンハットに銀色の長髪を揺らす、青い瞳の青年。
背中に背負うは大きな弦楽器。
名前はジョシュア。冒険初日、遺跡外から続く階段の麓で演奏していた男だ。
滑らかな指先に爪弾かれる音楽に誘われて、倒れたはずの探索者が、ひとり、ふたりと立ち上がる。
「この世界もそろそろ終わる頃だ、外を覗いても害は―――――無いだろう?」
ジョシュアは謡う。
ハーメルンの子守歌は、力尽きた探索者をユグドラシルの外へ連れ出していく。
「進む方向は分かるね、でも先は迷い道だ。どうしようもなく…どうしようもなく…」
いま思えば、彼はマナを知り、エキュオスを語っていた。
彼もまた、偽葉の一葉であるのかもしれない。
メルトは顔をあげる。カエダの周囲に浮かぶ宝玉のひとつを見定めて、さらなる偽葉を待ち受ける。
鎮座する水晶球の奥に愛しきキュービッドの姿を見て、金星の姫と呼ばれし女神が微笑んだ。
「迷い子め、ようやく己の道を見つけおった」
「苦労した甲斐がありましたね」
応じて告げるは孔雀の君。不敵に微笑む、六枚羽の大天使。
女神は言う。艶やかな唇に挑発のルージュを載せて。
「粛清の証拠であるしの?」
「もちろん。私にとっては、それが最優先ですから」
大天使は動じずに、女神の誘いへ頷く。
「赤髪の小精霊――彼女は大法院が下級天使を捨て駒に使ったという、証拠となりうる。
ユグドラシルの機能に巻き込み、隠滅できたと考えていた法院の狐共は今頃慌てふためいている頃でしょう」
「だが、もう解放された契印は封じられん。
宰相の印璽は創造神の許可に等しいからの。どうだ、メタトロンの馬鹿には貸しを造れそうか?」
「ええ、彼もそろそろ気づいた頃です。お膳立てに乗れぬようであれば、宰相の資格はない」
「くく。厳しいの、ミカエル卿は」
「アフロディテ様ほどではありませんよ。
まさか、孫を天使に"改竄"するとはね。アモール様に知られれば、叱られるどころでは済みませんよ?」
「知るか。プシュケにうつつをぬかし、妾を放置するのが悪い」
女神のツンとした可愛らしい仕草に、大天使は苦笑する。
幾許かの本気も入っているだろうが、嫉妬で政治を疎かにする御前ではない。
証拠さえ抑えれば、天界の執政を独善的に左右してきた大法院を一気に掃除できる。
つまり、全能神様の御為という名目で、恐怖政治寄りの施策を実行してきた官僚天使達を取り締まれるということだ。
天界を脅かすシステムへの対応。現地執行者メルトの熾天使能力限定解放と同時に手に入れた、"宰相"の印璽。
正式な手続きで手に入れた"神威の代行者の勅令"があらば、天軍総司令の職責をもって妨害工作を封じることも出来る。
否。すでに命令は遂行されている。神の意に沿わぬ危険思想の天使の粛清は、孔雀の君たる者の役目。
あとは――、
「我が孫ヴォルプタス……、いや、天使メルト。
そろそろ奏でるがよいわ。
ノエルの、――いや、腐った馬鹿共の犠牲になった、か弱き天使達の讃美歌をの」
金星の姫は、水晶へグラジオラスの花を向ける。
餞たる花言葉は、"情熱的な恋"、あるいは、"勝利"という――。
大地に剣を突き立てたカリアが、詠唱と共に偽葉のマナを削り奪った。
メルトは弓を引き絞る。まずは、脇を固める者の排除が最優先。
『+斜+Estingue con l'ira di Dio, Sei arco e freccia spumante-斜-』
放つ一矢を、皓色の神術陣が波紋を招いて増強する。
複撃の聖砲がアリッサに備わるマナの葉脈を蹴散らした。だが、倒すまでには至らない。
「堅いです!?」
「あれを受けて、笑っていられるのか!」
アリッサは恍惚の笑みを浮かべていた。
彼女もまた、偽葉を代表する者の一人。カーナルドに比べて殺気が薄いと油断していた。
識者がいれば「彼女はマゾだからな」の一言で片付くのだが、あいにくメルト達には初対面である。
『+斜+La potenza di Dio, Cinque, rotolo su pressione-斜-』
ならば何度でも撃ち込むだけです、と呟き、メルトは更なる攻撃を加えた。
集束した銀色の光矢が残像を曳いて駆ける。
ロディッサが、片手に携えていたペットボトルの中身を振りまいた。
錆びた青銅色の霧が揺蕩う。偽葉には加護を与え、敵に苦毒を与える反転の蒸気。
カリアは、メルトの攻撃に合わせて飛び込む瞬間を狙われた。
怯みをみせた隙を突き、カーナルドが吼える。
「アアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアァァァッ!!!!」
目標を定めない、直感に任せた乱撃。
見事なな太刀筋。元は高潔な騎士であっただろうに、正気を無くして気配しか残らない。
削ったマナがアリッサに降り注ぐ。彼女は震えて、かすかに喘ぎ声を漏らした。
奪い取ったはずの力を奪い返されて、カリアは舌打ちをした。
「力を奪う能力か、やってくれる!」
妖精騎士たる矜持。流血する肢体を引きずって、カリアはカーナルドから闇を奪う。
その力を、ジェイが召喚したアークデーモンへ叩き込む。
仲間に余波が飛び、傷口が広がるがそこは甘受してもらおう。
悪魔が闇に癒され、万全の調子をもって魔に満ちた破滅の瘴気を浴びせかけた。
「アアアアアアァァァ!」
だが、カーナルドはその間隙を縫って反撃に転じた。恐ろしいほどに鍛え上げられた本能。
ジェイは、両手に産みだした魔法陣を大気に叩きつける。
バハムート。魔界の暴竜を二匹同時召喚し、追撃を仕掛けた。
「…ジュース切れた。帰る」
「あああぁあァァッ♪ 満足したわ…」
謎の台詞を呟いて、ロディッサとアリッサの偽葉が消滅した。
オリジナルの心を一瞬取り戻せたのかのかもしれない、とメルトは感じたが、彼女らに祈ってやる時間はない。
「ヒャハハハハッ! 力が漲らァッ!! こりゃ愉快だぜえぇぇッ!!」
混沌としていたカーナルドが、不意に言葉を口にする。
――いや。喋っていたのは彼の下、地面に落ちていた影だった。
カーナルドが天を仰ぐように膝を折り、倒れる。同時に、影から突き出た怪腕が、彼を闇に引きずり込んだ。
それはまるで、黒い水たまりに呑まれてしまったかのよう。
怪腕はそのまま大地に指をかけ、自分の本体を、影であった躰を現実世界へ引き抜く。
「ヒハハ……、寄越せェェェ!!」
ガクンと、ジェイは自分の力が抉り取られたことを悟る。
視線を送ると、カリアが頷いた。この感覚は以前味わったことがある。サンドラという少女の力と同じ。
強制強奪。
「ヒャハハハハハハハハッ!!」
瞬きの弱くなった天使の羽に、メルトは涙目になる。
「ひ、ひどいですー…」
だがカーナルド・シャドウは容赦がない。
理知的な瞳光を戻した分だけ会話の余地もあるかと感じた心は、油断に繋がった。
メルト、カリア、ジェイだけでなく、召喚竜や悪魔からもマナを強奪し、実体以上の力を身に着けた具現影。
影は哄笑と共に、大瀑布の勢いでスコールの如き乱撃を仕掛けてきたのだ。
爆音。激震。鳴動。耳障りな音響を覆う土煙がゆっくりと晴れた先。
そこに残るは、打ち据えられ、力なく倒れ伏す仲間達がいた。
何が起きたのか、理解が追いつかない。
リディアーヌよりも強い、純粋にして圧倒的な轟撃は、戦いの意志すらも容赦なく奪いつくす。
「それを、何とかするのが、……妖精だ!」
ただ一人、カリアが立ち上がる。
剣を撫で、白い輝きを生む。先刻、悪魔を癒した時のように、仲間へ容赦なく突き刺した。
介錯――ではない。妖精であるカリアが使える癒しの力。
とはいえ、得手ではない回復の力だ。生存からして、賭けであることは否めない。
かすかな奇跡を手に入れて、メルトが立ち上がる。
「これが恋の苦しみというやつですかー!?」
脳が揺さぶられ過ぎて上手く神力を集中できない中、命数を代償に黄金弓を創造する。
つがえるは炎。熾天使の証明、全能神への純粋な愛慕。
「聖なるかな、聖なるかな、聖なるであることは、主の御許に来ちゃうこともできるです」
讃美の言葉と共に解き放たれた聖霊の火矢が、カーナルド・シャドウの身体を撃ち貫く。
胸筋に空いた風穴からひび割れていく影の鎧。
「くそったれがあぁぁぁッ!!」
やっと世界に出てこれたのに――。
痛恨の怒りをぶちまけながら、狂気の影は跡形もなく消失した。
白き少女が訊ねる。
「……まだ、やる気?」
「…ヒヒッ……まだまだ、ですよ……」
黒き男は、かすかに嫌そうな顔で応えた。
偽葉の猛攻に耐えられず、鮮血を撒いて倒れる探索者たち。
無惨にして無謬なる光景に、やがて、彼が出現した。
「外の世界に、興味はあるかい…?」
焦茶色のテンガロンハットに銀色の長髪を揺らす、青い瞳の青年。
背中に背負うは大きな弦楽器。
名前はジョシュア。冒険初日、遺跡外から続く階段の麓で演奏していた男だ。
滑らかな指先に爪弾かれる音楽に誘われて、倒れたはずの探索者が、ひとり、ふたりと立ち上がる。
「この世界もそろそろ終わる頃だ、外を覗いても害は―――――無いだろう?」
ジョシュアは謡う。
ハーメルンの子守歌は、力尽きた探索者をユグドラシルの外へ連れ出していく。
「進む方向は分かるね、でも先は迷い道だ。どうしようもなく…どうしようもなく…」
いま思えば、彼はマナを知り、エキュオスを語っていた。
彼もまた、偽葉の一葉であるのかもしれない。
メルトは顔をあげる。カエダの周囲に浮かぶ宝玉のひとつを見定めて、さらなる偽葉を待ち受ける。
鎮座する水晶球の奥に愛しきキュービッドの姿を見て、金星の姫と呼ばれし女神が微笑んだ。
「迷い子め、ようやく己の道を見つけおった」
「苦労した甲斐がありましたね」
応じて告げるは孔雀の君。不敵に微笑む、六枚羽の大天使。
女神は言う。艶やかな唇に挑発のルージュを載せて。
「粛清の証拠であるしの?」
「もちろん。私にとっては、それが最優先ですから」
大天使は動じずに、女神の誘いへ頷く。
「赤髪の小精霊――彼女は大法院が下級天使を捨て駒に使ったという、証拠となりうる。
ユグドラシルの機能に巻き込み、隠滅できたと考えていた法院の狐共は今頃慌てふためいている頃でしょう」
「だが、もう解放された契印は封じられん。
宰相の印璽は創造神の許可に等しいからの。どうだ、メタトロンの馬鹿には貸しを造れそうか?」
「ええ、彼もそろそろ気づいた頃です。お膳立てに乗れぬようであれば、宰相の資格はない」
「くく。厳しいの、ミカエル卿は」
「アフロディテ様ほどではありませんよ。
まさか、孫を天使に"改竄"するとはね。アモール様に知られれば、叱られるどころでは済みませんよ?」
「知るか。プシュケにうつつをぬかし、妾を放置するのが悪い」
女神のツンとした可愛らしい仕草に、大天使は苦笑する。
幾許かの本気も入っているだろうが、嫉妬で政治を疎かにする御前ではない。
証拠さえ抑えれば、天界の執政を独善的に左右してきた大法院を一気に掃除できる。
つまり、全能神様の御為という名目で、恐怖政治寄りの施策を実行してきた官僚天使達を取り締まれるということだ。
天界を脅かすシステムへの対応。現地執行者メルトの熾天使能力限定解放と同時に手に入れた、"宰相"の印璽。
正式な手続きで手に入れた"神威の代行者の勅令"があらば、天軍総司令の職責をもって妨害工作を封じることも出来る。
否。すでに命令は遂行されている。神の意に沿わぬ危険思想の天使の粛清は、孔雀の君たる者の役目。
あとは――、
「我が孫ヴォルプタス……、いや、天使メルト。
そろそろ奏でるがよいわ。
ノエルの、――いや、腐った馬鹿共の犠牲になった、か弱き天使達の讃美歌をの」
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