歌を唄う猫の夢
定期更新ネットゲーム『Sicx Lives』の、 日記・雑記・メモ等が保管されていくのかもしれません。 昔は『False Island』のことを書いてました。
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神秘の光翼を拘束され、頭上の光輪を封印された大法院の熾天使達。
更迭されゆく彼らの表情は暗く、疲れ果てていた。
「………」
輝かしい大理石の神床を穢すは緋色の鮮血。
抵抗の証拠。遺骸は浄炎に灼かれ、跡形も残さず焼失した。
紫金に装飾されし天空の王座に座す、真紅の法衣纏いし大天使が不機嫌な顔で情景を見守る。
大天使の目前に、もう一人の大天使。纏うは深紅の天鎧、掲げるは十字の儀剣。
彼は上官たる宰相に控えることなく、厳つい顔で指揮を執っていた。
更迭されゆく彼らの表情は暗く、疲れ果てていた。
「………」
輝かしい大理石の神床を穢すは緋色の鮮血。
抵抗の証拠。遺骸は浄炎に灼かれ、跡形も残さず焼失した。
紫金に装飾されし天空の王座に座す、真紅の法衣纏いし大天使が不機嫌な顔で情景を見守る。
大天使の目前に、もう一人の大天使。纏うは深紅の天鎧、掲げるは十字の儀剣。
彼は上官たる宰相に控えることなく、厳つい顔で指揮を執っていた。
「宰相閣下、ご協力に感謝する」
「説明はあるのだろうな、カマエル卿?」
「ミカエルに聞け。本件において、貴殿も私も脇役にしか過ぎん」
赤豹と異名を結ぶ大天使は、慇懃に告げると美しい蒼翼を翻して歩み去る。
特務長官の職務は宰相の直下に付くものながら、その会話は同列の如く容赦がない。
「…私は見逃されたということか」
天界の枢軸、宰相位を担う大天使メタトロンは、カマエルの退出を見届けると、王座へもたれて深く息をついた。
大法院専横の責は最高位たる彼に還る。しかしミカエルは、ミカエルの命を受けた赤豹は彼に剣を向けなかった。
確かにメタトロン自身は、大法院の『下級天使を使い捨てにする』という行き過ぎた施策に関わってはいない。
それでも監督不行き届きには違いなく、大法院の暴走を赦していたのは彼に他ならなかった。
「借りを作ったか」
創造神に王座を任されし熾天使の王は呟く。
天界は本件を持って浄化された――わけではない。
暗部の一翼が粛清され、天軍総司令の発言力が増すという状況に切り替わったに過ぎない。
文官と武官の天秤が片方に傾くことを、彼は是としない。
だが、今回は完全に出し抜かれた。本来なら、彼がやらねばならぬ仕事だ。
宰相は思案する。打開の一手、増長する武官を掣肘せしめる布石の位置を。
悠久の時をかけて紡がれし天使達の遊戯は、物語が終わっても続いていくのだから――。
――ユグドラシル。
両腕を掻き抱き、苦しみに冷汗を浮かべながらも笑顔を崩さない榊。
カエダは偽葉の一枚を撫でながら、余裕をもって問う。
「なんか変なのが出てきてたわねぇ……、あら? 貴方はもうダメそうじゃない。」
「えぇ、そろそろ限界ですかね。人も減りましたがマナも……さてさて」
もう、地表に生き残る者も数が少なくなっていた。
倒れた者は皆、ジョシュアという謎の青年に導かれて消えた。故に死体はない。
偽葉も散れば消える。戦地は血飛沫の色彩に染められてはいるが、凄惨と呼ぶほどの光景ではなかった。
「マナの増加が止まったな」
ジェイが思考する。探索者たちに過剰な力を撒いていたのは榊だ。
おそらく、榊自身にもリスクが伴う行為なのだろう。限界ということか。
『Holy, Holy, Holy! Lord God Almighty♪』
メルトが楽しそうに唄っている。
一方、解き放つ弓の火力はとてつもない威力を秘めていた。
以前はリディアーヌの伴に就いていたアメリーという少女が、吹き飛ばされて散った。
だが、少女は叫ぶ。断末魔に正義を唱え。
彼女が放つマナの波動は陽気に唄うメルトを包み、叩き潰したのだ。
「疾ッ!」
凍る息を吐く翼竜に騎乗したカリアが、その隣を駆けた。
無事を確かめるためではない。そんなものは、確かめるべくもない。
少しでも前へ進む。偽葉を駆逐する。それが彼の決意だ。
カリアの剣舞がティルダを縛る。
マナの奔流を操る彼女は、まさにエキュオスだ。発狂した自己を良しとしているからこその暴虐的な力。
しかし、妖精は力を逆手に取って切り刻み、動きを封じる。
そこへ叩きつける魔竜の咆哮。ジェイが背後に従える幻獣の群れが、ティルダを一気に破壊した。
「し、死ぬかと思たですよー」
何事もなかった風味でメルトがふらふらと飛んできた。
「そこで生き延びるのがお前だよなぁ」
呆れた風に声をかけるジェイ。
無事ではない。まさしく満身創痍。折れた腕を強引につなぎ、砕けた脚を無理矢理蘇生させての戦線復帰。
用意済みの術式頼み。万策尽きれば確実に死に至る。
「……カリア!?」
妖精騎士のように。
振り返るメルトの視線の先で、カリアが倒れていた。
身体を酷使した限界が訪れている。回復術の乱用のせいか、修復の速度も遅い。
「すまない。どうやら限界みたいだ」
「……仕方ねえな、そいつは」
戦線離脱をほのめかしながら、気力のみで立ち上がり剣を構えるカリア。
心配を言葉にするわけでもなく、戦いの続行を望む姿に諦めるジェイ。
メルトは二人の為に、ささやかながら神に祈った。守護する者として、仲間として。
彼らの前には4871179枚もの葉が躍る。
――絶望は、間近に迫っていた。
「説明はあるのだろうな、カマエル卿?」
「ミカエルに聞け。本件において、貴殿も私も脇役にしか過ぎん」
赤豹と異名を結ぶ大天使は、慇懃に告げると美しい蒼翼を翻して歩み去る。
特務長官の職務は宰相の直下に付くものながら、その会話は同列の如く容赦がない。
「…私は見逃されたということか」
天界の枢軸、宰相位を担う大天使メタトロンは、カマエルの退出を見届けると、王座へもたれて深く息をついた。
大法院専横の責は最高位たる彼に還る。しかしミカエルは、ミカエルの命を受けた赤豹は彼に剣を向けなかった。
確かにメタトロン自身は、大法院の『下級天使を使い捨てにする』という行き過ぎた施策に関わってはいない。
それでも監督不行き届きには違いなく、大法院の暴走を赦していたのは彼に他ならなかった。
「借りを作ったか」
創造神に王座を任されし熾天使の王は呟く。
天界は本件を持って浄化された――わけではない。
暗部の一翼が粛清され、天軍総司令の発言力が増すという状況に切り替わったに過ぎない。
文官と武官の天秤が片方に傾くことを、彼は是としない。
だが、今回は完全に出し抜かれた。本来なら、彼がやらねばならぬ仕事だ。
宰相は思案する。打開の一手、増長する武官を掣肘せしめる布石の位置を。
悠久の時をかけて紡がれし天使達の遊戯は、物語が終わっても続いていくのだから――。
――ユグドラシル。
両腕を掻き抱き、苦しみに冷汗を浮かべながらも笑顔を崩さない榊。
カエダは偽葉の一枚を撫でながら、余裕をもって問う。
「なんか変なのが出てきてたわねぇ……、あら? 貴方はもうダメそうじゃない。」
「えぇ、そろそろ限界ですかね。人も減りましたがマナも……さてさて」
もう、地表に生き残る者も数が少なくなっていた。
倒れた者は皆、ジョシュアという謎の青年に導かれて消えた。故に死体はない。
偽葉も散れば消える。戦地は血飛沫の色彩に染められてはいるが、凄惨と呼ぶほどの光景ではなかった。
「マナの増加が止まったな」
ジェイが思考する。探索者たちに過剰な力を撒いていたのは榊だ。
おそらく、榊自身にもリスクが伴う行為なのだろう。限界ということか。
『Holy, Holy, Holy! Lord God Almighty♪』
メルトが楽しそうに唄っている。
一方、解き放つ弓の火力はとてつもない威力を秘めていた。
以前はリディアーヌの伴に就いていたアメリーという少女が、吹き飛ばされて散った。
だが、少女は叫ぶ。断末魔に正義を唱え。
彼女が放つマナの波動は陽気に唄うメルトを包み、叩き潰したのだ。
「疾ッ!」
凍る息を吐く翼竜に騎乗したカリアが、その隣を駆けた。
無事を確かめるためではない。そんなものは、確かめるべくもない。
少しでも前へ進む。偽葉を駆逐する。それが彼の決意だ。
カリアの剣舞がティルダを縛る。
マナの奔流を操る彼女は、まさにエキュオスだ。発狂した自己を良しとしているからこその暴虐的な力。
しかし、妖精は力を逆手に取って切り刻み、動きを封じる。
そこへ叩きつける魔竜の咆哮。ジェイが背後に従える幻獣の群れが、ティルダを一気に破壊した。
「し、死ぬかと思たですよー」
何事もなかった風味でメルトがふらふらと飛んできた。
「そこで生き延びるのがお前だよなぁ」
呆れた風に声をかけるジェイ。
無事ではない。まさしく満身創痍。折れた腕を強引につなぎ、砕けた脚を無理矢理蘇生させての戦線復帰。
用意済みの術式頼み。万策尽きれば確実に死に至る。
「……カリア!?」
妖精騎士のように。
振り返るメルトの視線の先で、カリアが倒れていた。
身体を酷使した限界が訪れている。回復術の乱用のせいか、修復の速度も遅い。
「すまない。どうやら限界みたいだ」
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戦線離脱をほのめかしながら、気力のみで立ち上がり剣を構えるカリア。
心配を言葉にするわけでもなく、戦いの続行を望む姿に諦めるジェイ。
メルトは二人の為に、ささやかながら神に祈った。守護する者として、仲間として。
彼らの前には4871179枚もの葉が躍る。
――絶望は、間近に迫っていた。
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つれづれなるまま、
書き綴ってます。
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