忍者ブログ

歌を唄う猫の夢

定期更新ネットゲーム『Sicx Lives』の、 日記・雑記・メモ等が保管されていくのかもしれません。 昔は『False Island』のことを書いてました。

2024/11    10« 1  2  3  4  5  6  7  8  9  10  11  12  13  14  15  16  17  18  19  20  21  22  23  24  25  26  27  28  29  30  »12
×

[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。

[ -Recollection- ]





 世界を敵にまわしてでも、守りたい笑顔があった。





 -+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-
[ Alwan's Eye -Solution Side- ]


俺様はアルワン。理不尽な運命と戦っている、さすらいの神霊だ。
リズに付けられた鈴から始まった物語も、ようやく解決しようとしている。

目前には、激闘を終えて疲弊しながらも毅然と大地を踏みしめるパーティの3人と
恍惚の笑みを浮かべ、お互いを抱きしめる体勢で眠っちまった変な精霊が2人と
きらきらヤベェ笑みを浮かべてオーダー待ちしてる+横+ホスト-横-ウェイターがイチ、ニィ…たくさん。


ああ、もう! 落ち着かねェったらありゃしねー!


しかしコイツラ、想像以上に強くてびっくりだ。
姐さんの現時点での実力は把握してたが、3人揃うとここまで強いとは。
子供とはいえドラゴンを召喚したり、水の精霊を打ち負かせる水魔法とか…ありえねェだろ。

……まぁ、いいさ。俺様も無駄な力を使わなくて済むってもんだ。
せっかく姐さんが笑ってるんだし。もう少し……、もう少しぐらい、構わないだろう?


『そんなことより、だ』


俺様はついに犯人を追い詰めたのだった。
戦闘が始まるやいなや、空から急降下して駆けつけてきたリズを見てニヤリとする。

まさか空に逃げていたとは……。っていうか飛べたとは、流石の俺様でも気づかなかったぜ!
普段はコンパクトな羽だしな。それがまさか、伸縮自在な実物とは普通解らねェだろ。
もしかして、天使の血でも流れてやがるのかもしれねェな。ヤツら、子孫作れるのかどうか知らねェけど。


いや、だから。そんなことはどうでもいい。


俺様はいつもの二倍増しな華麗さで、リズの頭へ飛び乗った。
いつも旅をする時はコイツの頭にお世話になってるからな、慣れたもんさ。

「ひゃ!? …あれ、猫ちゃん? もう、いきなりだとビックリするじゃないー」
『ヒャッハァ! 邪魔が入ってつい後回しになっちまったが、ついに捕まえたぜ!』

そう。俺様はリズを捕まえようとしていたのだ。
朝、目覚めたら無断で結び付けられていた赤いリボンと金銀二色の鈴。コレをしてくれやがった犯人を!

「どういうことか、キッチリ解るように説明してもらおうかー? んー?」

ぺちぺちと頭を叩く。ぬいぐるみの手じゃイマイチ迫力がでねェな。
猫はどくですー!とか、ちっちェえ使い魔っつーか妖精っつーか魔石の管制人格が叫んでやがる。
シッシッと追い払うとムキになる。まったく面倒なガキだ。

「えーと、えーと…。だからね、かわいいと思ったの」
『ほォ? ……それで?』
「うん、似合うと思ったの。ほら、尻尾の鈴とお揃いなんだよ☆」
『そ・れ・で?』

視線に氷点下の気温を混ぜながらも、にっこりと聞いてやる。
そう、俺の機嫌はとてもいい。ようやく捕まえた獲物が下にいるんだから、当然だな?

「わーん、いいじゃない、かわいいんだからー!」
『良くねェし! 可愛いくねェし! 一体何回叱れば覚えるんだこのウサ耳がーッ!』
「きゃー!」

頭上を取らせたのが間違いだ。耳に程近い位置をキープして、大声で叫んでやる。
俺様の声は念波や霊波の類だから鼓膜振動はあまり必要ないんだが、聴覚を利用してる奴等にはこれが効く。
いわゆるプラシーボ効果というやつだな。……いや、よく知らねェけど。

「リズ、これ――。……何やってるの?」
「ラズちゃん、助けてーっ!」

暴れるリズを見て、ラズの奴が呆れたようにため息をついた。
ラズの肩に乗っている姐さんは、ふわぁあと眠気たっぷりの瞼をこすっている。
でけェ戦闘やった後だしな。ありゃ放っておくと寝ちまうだろうな。

「水の宝玉。ふれあは持てないから、アルワンに渡す。はい、これはリズの分」

あの大樹から落ちた水色の輝きを纏う果実は、どうやら水の宝玉というモノだったらしい。
善とも悪ともつかない、透明な霊力を感じる。
俺様には必要ないものだが、姐さんの力を安定させるには使えるかも知れねェな。

…ま、その辺の調整はラズに任せておけば何とかするだろ。
ラズ自身も安定してねェようだし、リズも宝玉になにか用事があるような素振りをしてた。

結局、導かれるべくして導かれる宿業。これが、運命ってヤツなのかもしれねェ。

『――よぅ、リズ。ちょっと聞きてェんだけどよ』

俺様は宝玉を見つめながら、上の空気味に尋ねた。

「んんー、なにー?」
『お前、この鈴に魔法かけてねェだろ。尻尾のにはかけたのに。……なんでだ?」

ラズの横槍で気が抜けちまったのも、ある。あの若造、計算してたとしたら大したもんだが。

「別に、意味なんて無いよ?」

リズはくすくすっと悪戯っ子な声をもらして微笑んだ。

「だから言ったでしょ? "似合うと思った"んだって♪」

―――。
あまりにストレートな物言いに、俺様としたことが毒気を抜かれちまった。
ずっと、俺様をからかうためだとか、嫌がらせの類だと憤慨して追いかけてたのによ。
コイツは本当に、俺様に似合うからって理由だけで、街で無駄な買い物してたってのさ。

なんだよこれ。
俺様ひとりが空回りかよ。冗談じゃねェぜ!

『………チッ。今回はこれぐらいで許してやるぜ』

姐さんも眠りたがってるし、無事宝玉を獲得できたご褒美も兼ねてな!
と、言葉を続けたら隣で「ぷっ」とか吹き出す音が聞こえたのでキッと睨みつけてやる。
しかし、ラズは別方向へ視線をズラしていやがった。コノヤロウ。

『いいか。もう、フザケタ真似すんじゃねェぞ?』
「はぁい☆」

いまいち信用できないんだよな、こいつの生返事は。
もう、すっかり怒る気無くした俺様は、姐さんが安眠できるように毛並みを広げた。
そこへ、うつらうつらと舟を漕いでいる姐さんが横たわる。

まったくツマンネェ結末さ。結局探偵は、犯人を許しちまうってんだからよ。
三流芝居もいいところ。こんなもの、何の感動も生みやしねェ。

薄っすら訪れてきたまどろみを掴まえながら、俺様は小さく舌打ちをした。

揺れに合わせるように、澄んだ音色を響かせる鈴みっつ。
敵を引きつけるほど大きな音ではないけれど、耳をすませば心落ち着かせる優しいメロディ。

明日はもう少し、コイツラ2人に優しくしてやろうと思った。
ちょっとだけ、だけどな。






「でも、解けない魔法がかかってるのは"鈴"じゃなくて"リボン"」
「シーッ! シーッ! シーッ!」

拍手[0回]

PR
お名前
タイトル
メール(非公開)
URL
文字色
絵文字 Vodafone絵文字 i-mode絵文字 Ezweb絵文字
コメント
パスワード   コメント編集に必要です
管理人のみ閲覧

この記事へのトラックバック

トラックバックURL:

カレンダー

10 2024/11 12
S M T W T F S
1 2
3 4 5 6 7 8 9
10 11 12 13 14 15 16
17 18 19 20 21 22 23
24 25 26 27 28 29 30

プロフィール

六命PC
セルフォリーフ:
ENo.58 夢猫ぴあの
アンジニティ:
ENo.106 梟霊アルワン

Sicx LivesのPLのひとり。
ふらふらと漂う木片。
つれづれなるまま、
書き綴ってます。

関連サイトリンク

Sicx Lives
 六命本家 .

木漏れ日に集う
 取引サイト
六命wiki
 うぃき

うさ☆ブログ(・x・)
 神検索
Linked Eye
 無双検索
六命ぐぐる
 無敵検索
未知標
 MAP,技検索

万屋 招き猫
 情報集積地
エンジェライトの情報特急便
 情報集積地
ろくめも
 付加情報特化
英雄の故郷
 合成情報特化
六命技データベース
 技情報特化
わんわんお
 敵情報特化
適当置き場
 敵出現テーブル他
手風琴弾きの譜面帳
 取得アイテムやペット

六命簡易計算機
 簡易計算機
紳士Tools
 PK,素材情報明快化
紙束通信研究所
 戦闘情報明快化

犬マユゲでした(仮)
 blog情報速達便
小さな胡桃の木の下で
 新着ニュース特急便

個人的閲覧サイト

空に堕ちるまでの朝
 ジェイ(189)さん
うたびとのきおく
 バジル(428)さん

星ト月ヲ見ル人
 ラーフィー(709)さん
車輪の跡
 ミカ(402)さん

最新コメント

[05/16 backlink service]
[11/25 ふれあ(1519)PL]
[11/23 セレナ(93)PL]
[11/22 ふれあ(1519)PL]
[11/20 カシュー(553)]
<< Back  | HOME Next >>
Copyright ©  -- 歌を唄う猫の夢 --  All Rights Reserved
Design by CriCri / Material by もずねこ / powered by NINJA TOOLS / 忍者ブログ / [PR]