歌を唄う猫の夢
定期更新ネットゲーム『Sicx Lives』の、 日記・雑記・メモ等が保管されていくのかもしれません。 昔は『False Island』のことを書いてました。
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[ -Recollection- ]
凄烈 冷えた空気を介して震える狛音
宵闇 月光の残滓を曳いて黒扇が舞う
神の尖兵 流浪の巡検士
気高き相貌に宿る 王蜂の想い出
-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-
凄烈 冷えた空気を介して震える狛音
宵闇 月光の残滓を曳いて黒扇が舞う
神の尖兵 流浪の巡検士
気高き相貌に宿る 王蜂の想い出
-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-
[ Flare's Eye -Travel Side- ]
「煌々と冴え渡る満月の元で、今宵ご披露するは滑稽な人形劇。
運命操る赫き絲、白夢断ち切る金鋏、
踊れよ踊れ、クルクルと……。ワルツのリズムで、狂々と――」
銀剣、鞘走る。
砂埃が爆ぜ、精霊の小さな体躯が掻き消えた。
煉瓦の壁に亀裂。踏み込みの衝撃は、音速を置き去りにして。
霊気の圧力で硬度と斬味を高められたテーブルフォークが、嗤う道化師の仮面に突き刺さる。
……かの如く見え、それは、何者にも突撃を的中させてはいなかった。
ふわりと薄布が風にたなびくように、余裕を持って避けられていた。
「ククク。久しぶりですねぇ、まさか貴女がこの島にいるとは! これも因果でありましょうか?」
「うるさい。黙れ」
冷徹に言葉を投げつける。剥き出しの敵意。殺気を隠すこともなく。
フェイスマスクを被る道化師は、ピンク色の球体の上でバランスを取りながらジャグリングしていた。
素早い手さばき。空中で廻るのは、白く鈍く発光するモノ。
―――誰かの、魂。
「しかし今日は日が悪い! 貴女に殺されてあげたいのは山々ですが、まだ用事が残っていましてね」
「白々しい。私を待っていたくせに」
砂利を鳴らし、足摺りを半歩前へ。踏み込みの初動。次は、逃がさない。
この道化師を倒せば、全てが終わる。鬼ごっこより始まった過去との因縁に、全て。
「ククク。ほら、お連れさんも来たようですし。次の機会にいたしましょう?」
みしりと空間が軋む。茹卵の殻を砕く音に似ている。
道化師が胸に手を当て、慇懃に礼を尽くした。
一瞬の気配りが隙を作る。待てと声をかけるより早く、道化師の派手な衣装は空気に溶けて消えた。
『姐さん、大丈夫か!』
「……アルワン」
結界を外側から破砕して駆けつけてきたのは、大切な友人。タイミングの悪さが、少し忌々しい。
不意に、周囲に雑音が戻ってくる。
路上を行きかう人々の姿。呼び込みの威勢、交渉のやり取り、子供たちのはしゃぎ声。
遺跡外。島の周囲を覆う巨大な安息地にして、様々なキャラバンの集まる街。
少女は、むせ返る嘔吐感を堪えながら呟く。
「アイツがいた」
『詳細はあとで聞く。アイツらと合流するまでに、その荒れた気を沈めとかねェと』
「この機会は逃せない。絶対に決着、つける」
血が滲むほどの力で拳を握る。思い出した。この感情は、怒り。
だがアルワンは、悲しそうな表情を覗かせていた。
小声で呪文を唱え、少女の額に手を触れさせる。そんな挙動にも、彼女は気づかない。
『いいから。もう、寝てろ』
意識が、途切れる。
「大漁っ♪ 大漁っ♪」
大きな紙包みを胸元で抱え、ほくほく笑顔で街路を歩いてくる兎耳の女の子。
半歩遅れて、買出しメモにミスが無いか入念にチェックしている魔術師。
『よぅ。もう買い物は済んだのか?』
合流地点で待っていたのは、黒猫のぬいぐるみと背中で寝そべるコロポックル。
色鮮やかなライトアップに照らされた月時計。噴水がリズミカルに花開く。
「ふれあちゃんは、まだ寝てるのー?」
『ああ。悪ィな、買い物手伝えなくて。どうも最近は寝る間隔が長くなってていけねェ』
リスティスは、ふれあをそっと受け取ると頭の上に乗せた。
髪の毛をきゅっと握る感触。そこが、自らの定位置であると知っているかのように。
そんな姿をじっと見つめていたラピスラズリは、アルワンにだけ聞こえる声で告げた。
「心配はかけないように」
『………。ああ、解ってンよ』
ザッと踵を返す。
明日にはまた、遺跡内の探索を再開する。
次の旅は長くならないはずだ。しかし、守護者との対決という避けられぬ戦もある。
今宵はゆっり休み、明日に備えて英気を養っておかねば――。
「やあっと、見つけましたわ! 探しくたびれましてよ?」
突然、ハイトーンの甲高い声が響いてきた。
見上げれば一匹のスズメバチが、ブブブンと煩く翅を震わせて中空に静止している。
いや、普通の蜂ではありえない。蜂が喋るということは、常識の条理に反しているのだから。
スズメバチは、自らをアニエスと名乗った。
「始めまして、神格"kamuy-cikap" 憑域守護鳥アルワン。早速ですけれど」
―――貴方の神格を、剥奪いたしますわ。
「煌々と冴え渡る満月の元で、今宵ご披露するは滑稽な人形劇。
運命操る赫き絲、白夢断ち切る金鋏、
踊れよ踊れ、クルクルと……。ワルツのリズムで、狂々と――」
銀剣、鞘走る。
砂埃が爆ぜ、精霊の小さな体躯が掻き消えた。
煉瓦の壁に亀裂。踏み込みの衝撃は、音速を置き去りにして。
霊気の圧力で硬度と斬味を高められたテーブルフォークが、嗤う道化師の仮面に突き刺さる。
……かの如く見え、それは、何者にも突撃を的中させてはいなかった。
ふわりと薄布が風にたなびくように、余裕を持って避けられていた。
「ククク。久しぶりですねぇ、まさか貴女がこの島にいるとは! これも因果でありましょうか?」
「うるさい。黙れ」
冷徹に言葉を投げつける。剥き出しの敵意。殺気を隠すこともなく。
フェイスマスクを被る道化師は、ピンク色の球体の上でバランスを取りながらジャグリングしていた。
素早い手さばき。空中で廻るのは、白く鈍く発光するモノ。
―――誰かの、魂。
「しかし今日は日が悪い! 貴女に殺されてあげたいのは山々ですが、まだ用事が残っていましてね」
「白々しい。私を待っていたくせに」
砂利を鳴らし、足摺りを半歩前へ。踏み込みの初動。次は、逃がさない。
この道化師を倒せば、全てが終わる。鬼ごっこより始まった過去との因縁に、全て。
「ククク。ほら、お連れさんも来たようですし。次の機会にいたしましょう?」
みしりと空間が軋む。茹卵の殻を砕く音に似ている。
道化師が胸に手を当て、慇懃に礼を尽くした。
一瞬の気配りが隙を作る。待てと声をかけるより早く、道化師の派手な衣装は空気に溶けて消えた。
『姐さん、大丈夫か!』
「……アルワン」
結界を外側から破砕して駆けつけてきたのは、大切な友人。タイミングの悪さが、少し忌々しい。
不意に、周囲に雑音が戻ってくる。
路上を行きかう人々の姿。呼び込みの威勢、交渉のやり取り、子供たちのはしゃぎ声。
遺跡外。島の周囲を覆う巨大な安息地にして、様々なキャラバンの集まる街。
少女は、むせ返る嘔吐感を堪えながら呟く。
「アイツがいた」
『詳細はあとで聞く。アイツらと合流するまでに、その荒れた気を沈めとかねェと』
「この機会は逃せない。絶対に決着、つける」
血が滲むほどの力で拳を握る。思い出した。この感情は、怒り。
だがアルワンは、悲しそうな表情を覗かせていた。
小声で呪文を唱え、少女の額に手を触れさせる。そんな挙動にも、彼女は気づかない。
『いいから。もう、寝てろ』
意識が、途切れる。
「大漁っ♪ 大漁っ♪」
大きな紙包みを胸元で抱え、ほくほく笑顔で街路を歩いてくる兎耳の女の子。
半歩遅れて、買出しメモにミスが無いか入念にチェックしている魔術師。
『よぅ。もう買い物は済んだのか?』
合流地点で待っていたのは、黒猫のぬいぐるみと背中で寝そべるコロポックル。
色鮮やかなライトアップに照らされた月時計。噴水がリズミカルに花開く。
「ふれあちゃんは、まだ寝てるのー?」
『ああ。悪ィな、買い物手伝えなくて。どうも最近は寝る間隔が長くなってていけねェ』
リスティスは、ふれあをそっと受け取ると頭の上に乗せた。
髪の毛をきゅっと握る感触。そこが、自らの定位置であると知っているかのように。
そんな姿をじっと見つめていたラピスラズリは、アルワンにだけ聞こえる声で告げた。
「心配はかけないように」
『………。ああ、解ってンよ』
ザッと踵を返す。
明日にはまた、遺跡内の探索を再開する。
次の旅は長くならないはずだ。しかし、守護者との対決という避けられぬ戦もある。
今宵はゆっり休み、明日に備えて英気を養っておかねば――。
「やあっと、見つけましたわ! 探しくたびれましてよ?」
突然、ハイトーンの甲高い声が響いてきた。
見上げれば一匹のスズメバチが、ブブブンと煩く翅を震わせて中空に静止している。
いや、普通の蜂ではありえない。蜂が喋るということは、常識の条理に反しているのだから。
スズメバチは、自らをアニエスと名乗った。
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―――貴方の神格を、剥奪いたしますわ。
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ENo.106 梟霊アルワン
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つれづれなるまま、
書き綴ってます。
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