歌を唄う猫の夢
定期更新ネットゲーム『Sicx Lives』の、 日記・雑記・メモ等が保管されていくのかもしれません。 昔は『False Island』のことを書いてました。
×
[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。
[ -Recollection- ]
―――貴方の神格を、剥奪いたしますわ
天の代行者は厳格を纏い、裁きを告げる。
-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-
―――貴方の神格を、剥奪いたしますわ
天の代行者は厳格を纏い、裁きを告げる。
-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-
[ Alwan's Eye -Event of "Star-spangled Night" & "X'mas Present"- Side.B ]
遠く、喧騒のざわめきを耳にする。
樹林の間隙を抜けて、一際強く沸いた哄笑。
聖なる夜のホーリータイムは、賑やかに続いていた。
時は、ふれあがモーリスより唄のプレゼントを贈られた数分前に遡る。
『――さて』
ひと息ついて、黒猫はゆっくりと振り返る。
重低音の翅音を響かせ、滞空するスズメバチに向かって。
『俺様には、あとどれぐらいの猶予が残されてるんだ』
「……すべて、解ってるとでも言うような口ぶりですわね?」
悠然とした口調に対し、呆れ顔で迎え撃つアニエス。
アルワンは肩をすくめた。
『解ってるさ。アイツを護ると決めた瞬間から、な』
濃密な大気を孕む深森は、まるで影絵の世界のようで。
視界は悪い。空気が冷えて、霧が漂いだしているからだ。
それでも黒猫とスズメバチの姿がハッキリ見えるのは、広場で点灯している巨大なクリスマスイルミネーションのせいだろう。
「確認しておきますわ。
神格"kamuy-cikap(神鳥)"、憑域守護鳥"kotan-kor-kamuy"アルワン。
……珍しい経歴ですわね。
シャーマンの霊鳥ではなく、アイヌの神鳥に成るワシミミズク種なんて初めて聴きましたわ。
しかも現在、肉体を捨てて人形に憑依中ですって?」
『ほっとけ!』
「肉体を捨てた経歴は…。ああ、神力維持が不可能になったからですわね。
"村の守り神"の原則を曲げて、一個人を"村"に定義しなおすだなんて。
――ハッキリ申し上げまして、馬鹿ですわね」
『………うるせェよ』
アニエスの周囲には、光のプレートが幾つも浮かび上がっている。
おそらく、アルワンの経歴が書かれた情報体の具現化だろう。
誰が調べた情報かは知らないが、たいした情報量だ。
「無謀な試みであるということぐらい、理解していて良さそうなものですわ。
ただでさえ、異種の鳥類ということで半分に満たない神力でしたのでしょう?
ましてや、守護対象を強制変更だなんて無謀以外の何物でもありません。
天の条理が、赦すと思いまして?」
怒涛の如く捲くし立てるスズメバチに、黒猫は不機嫌に閉口した。
よく喋る神蜂だ。
しかし一方、いちいち暴き立てることで罪状認識させようとしているのだと、気づいてもいる。
アルワンには解っていた。
"村"の護りを放棄するということは、神が人を裏切るということに等しい。
信仰は失われ、村は滅び、同属の権威は失墜する。
ワシミミズクの梟神は、ただ一人を選ぶことで、神も人も全て敵にまわしたのだ。
『別に赦されようなんざ、思ってやしねェよ。だから素直に罰は受けようとしてンだろ?
だから、とっとと言えよ。
俺様が"消される"まで、どれぐらいなんだ!』
「せっかちですわね。怒鳴る男は嫌われましてよ?」
『悪ィな。別にオマエに好かれようなんざ思っちゃいねェけどよ』
砂利を踏みにじる。
心に感慨は湧かないが、蝕みだした焦燥をこらえきることが出来ない。
『俺様は消えるまえに、やらなきゃいけねェことがあるんだよ』
ただ、ぽつりと。一言。
堪えきれない想いを、零して。
「………。私の裁量で、数日延ばすことは可能ですわ」
言外の呟きを察したのか、アニエスは目を逸らしながら嘯いた。
「でも、あの精霊を救うことは貴方には出来ませんわよ?
私の見たところ、あの子に憑いた蛇蠱は呪いというよりは……。
……いえ、ありえませんわね。
ごめんなさい、忘れてくださいな」
『そこまで言って止めんなよ。気になるじゃねェか。
既存の魔術や、ルーン時代の魔法じゃねェことは解ってる。専門家が見たからな』
「………」
『知ってるか?
アイツは笑ってるふりも楽しんでるふりも出来るけど、本心から喜びを感じることは出来ねェんだ。
感情が大きくなればなるほど、アイツの中の蛇蠱が全て喰っちまう』
ちらちらと降り始めた大粒の雪花。
吐く息が、白く染まる。
アルワンはアニエスから瞳を逸らさない。
解ってもらえるとは思わない。相手は高位神の代理人。融通が利かない天の使いだ。
だが、無駄だとわかっていても言いたいことがある。
スズメバチの背後にいる、何者かに向かって。
『頼むぜ。俺様は、アイツを助けたいんだ!』
―――叫ぶ。
アニエスは黙ったまま、羽音を鳴らしていた。
視線はこちらを向いているが、昆虫の複眼では気配も掴みにくい。
もしや、意識を飛ばして天に伺いでも立てているのだろうか?
やがて、彼女は口を開いた。
「私も然と判別することは出来ませんわ。
ですが、ひとつだけ言えることはあります。
それは、蛇蠱なんかじゃない。
偽装されてますけど恐らく蛇神……。ならば、神属の"穢祝"でしてよ」
遠く、喧騒のざわめきを耳にする。
樹林の間隙を抜けて、一際強く沸いた哄笑。
聖なる夜のホーリータイムは、賑やかに続いていた。
時は、ふれあがモーリスより唄のプレゼントを贈られた数分前に遡る。
『――さて』
ひと息ついて、黒猫はゆっくりと振り返る。
重低音の翅音を響かせ、滞空するスズメバチに向かって。
『俺様には、あとどれぐらいの猶予が残されてるんだ』
「……すべて、解ってるとでも言うような口ぶりですわね?」
悠然とした口調に対し、呆れ顔で迎え撃つアニエス。
アルワンは肩をすくめた。
『解ってるさ。アイツを護ると決めた瞬間から、な』
濃密な大気を孕む深森は、まるで影絵の世界のようで。
視界は悪い。空気が冷えて、霧が漂いだしているからだ。
それでも黒猫とスズメバチの姿がハッキリ見えるのは、広場で点灯している巨大なクリスマスイルミネーションのせいだろう。
「確認しておきますわ。
神格"kamuy-cikap(神鳥)"、憑域守護鳥"kotan-kor-kamuy"アルワン。
……珍しい経歴ですわね。
シャーマンの霊鳥ではなく、アイヌの神鳥に成るワシミミズク種なんて初めて聴きましたわ。
しかも現在、肉体を捨てて人形に憑依中ですって?」
『ほっとけ!』
「肉体を捨てた経歴は…。ああ、神力維持が不可能になったからですわね。
"村の守り神"の原則を曲げて、一個人を"村"に定義しなおすだなんて。
――ハッキリ申し上げまして、馬鹿ですわね」
『………うるせェよ』
アニエスの周囲には、光のプレートが幾つも浮かび上がっている。
おそらく、アルワンの経歴が書かれた情報体の具現化だろう。
誰が調べた情報かは知らないが、たいした情報量だ。
「無謀な試みであるということぐらい、理解していて良さそうなものですわ。
ただでさえ、異種の鳥類ということで半分に満たない神力でしたのでしょう?
ましてや、守護対象を強制変更だなんて無謀以外の何物でもありません。
天の条理が、赦すと思いまして?」
怒涛の如く捲くし立てるスズメバチに、黒猫は不機嫌に閉口した。
よく喋る神蜂だ。
しかし一方、いちいち暴き立てることで罪状認識させようとしているのだと、気づいてもいる。
アルワンには解っていた。
"村"の護りを放棄するということは、神が人を裏切るということに等しい。
信仰は失われ、村は滅び、同属の権威は失墜する。
ワシミミズクの梟神は、ただ一人を選ぶことで、神も人も全て敵にまわしたのだ。
『別に赦されようなんざ、思ってやしねェよ。だから素直に罰は受けようとしてンだろ?
だから、とっとと言えよ。
俺様が"消される"まで、どれぐらいなんだ!』
「せっかちですわね。怒鳴る男は嫌われましてよ?」
『悪ィな。別にオマエに好かれようなんざ思っちゃいねェけどよ』
砂利を踏みにじる。
心に感慨は湧かないが、蝕みだした焦燥をこらえきることが出来ない。
『俺様は消えるまえに、やらなきゃいけねェことがあるんだよ』
ただ、ぽつりと。一言。
堪えきれない想いを、零して。
「………。私の裁量で、数日延ばすことは可能ですわ」
言外の呟きを察したのか、アニエスは目を逸らしながら嘯いた。
「でも、あの精霊を救うことは貴方には出来ませんわよ?
私の見たところ、あの子に憑いた蛇蠱は呪いというよりは……。
……いえ、ありえませんわね。
ごめんなさい、忘れてくださいな」
『そこまで言って止めんなよ。気になるじゃねェか。
既存の魔術や、ルーン時代の魔法じゃねェことは解ってる。専門家が見たからな』
「………」
『知ってるか?
アイツは笑ってるふりも楽しんでるふりも出来るけど、本心から喜びを感じることは出来ねェんだ。
感情が大きくなればなるほど、アイツの中の蛇蠱が全て喰っちまう』
ちらちらと降り始めた大粒の雪花。
吐く息が、白く染まる。
アルワンはアニエスから瞳を逸らさない。
解ってもらえるとは思わない。相手は高位神の代理人。融通が利かない天の使いだ。
だが、無駄だとわかっていても言いたいことがある。
スズメバチの背後にいる、何者かに向かって。
『頼むぜ。俺様は、アイツを助けたいんだ!』
―――叫ぶ。
アニエスは黙ったまま、羽音を鳴らしていた。
視線はこちらを向いているが、昆虫の複眼では気配も掴みにくい。
もしや、意識を飛ばして天に伺いでも立てているのだろうか?
やがて、彼女は口を開いた。
「私も然と判別することは出来ませんわ。
ですが、ひとつだけ言えることはあります。
それは、蛇蠱なんかじゃない。
偽装されてますけど恐らく蛇神……。ならば、神属の"穢祝"でしてよ」
PR
この記事へのトラックバック
トラックバックURL:
カレンダー
10 | 2024/11 | 12 |
S | M | T | W | T | F | S |
---|---|---|---|---|---|---|
1 | 2 | |||||
3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 |
10 | 11 | 12 | 13 | 14 | 15 | 16 |
17 | 18 | 19 | 20 | 21 | 22 | 23 |
24 | 25 | 26 | 27 | 28 | 29 | 30 |
カテゴリー
最新記事
(06/05)
(02/19)
(02/19)
(02/19)
(02/19)
プロフィール
六命PC
セルフォリーフ:
ENo.58 夢猫ぴあの
アンジニティ:
ENo.106 梟霊アルワン
Sicx LivesのPLのひとり。
ふらふらと漂う木片。
つれづれなるまま、
書き綴ってます。
セルフォリーフ:
ENo.58 夢猫ぴあの
アンジニティ:
ENo.106 梟霊アルワン
Sicx LivesのPLのひとり。
ふらふらと漂う木片。
つれづれなるまま、
書き綴ってます。
関連サイトリンク
■
Sicx Lives
六命本家 .
■ 木漏れ日に集う
取引サイト
■ 六命wiki
うぃき
■ うさ☆ブログ(・x・)
神検索
■ Linked Eye
無双検索
■ 六命ぐぐる
無敵検索
■ 未知標
MAP,技検索
■ 万屋 招き猫
情報集積地
■ エンジェライトの情報特急便
情報集積地
■ ろくめも
付加情報特化
■ 英雄の故郷
合成情報特化
■ 六命技データベース
技情報特化
■ わんわんお
敵情報特化
■ 適当置き場
敵出現テーブル他
■ 手風琴弾きの譜面帳
取得アイテムやペット
■ 六命簡易計算機
簡易計算機
■ 紳士Tools
PK,素材情報明快化
■ 紙束通信研究所
戦闘情報明快化
■ 犬マユゲでした(仮)
blog情報速達便
■ 小さな胡桃の木の下で
新着ニュース特急便
六命本家 .
■ 木漏れ日に集う
取引サイト
■ 六命wiki
うぃき
■ うさ☆ブログ(・x・)
神検索
■ Linked Eye
無双検索
■ 六命ぐぐる
無敵検索
■ 未知標
MAP,技検索
■ 万屋 招き猫
情報集積地
■ エンジェライトの情報特急便
情報集積地
■ ろくめも
付加情報特化
■ 英雄の故郷
合成情報特化
■ 六命技データベース
技情報特化
■ わんわんお
敵情報特化
■ 適当置き場
敵出現テーブル他
■ 手風琴弾きの譜面帳
取得アイテムやペット
■ 六命簡易計算機
簡易計算機
■ 紳士Tools
PK,素材情報明快化
■ 紙束通信研究所
戦闘情報明快化
■ 犬マユゲでした(仮)
blog情報速達便
■ 小さな胡桃の木の下で
新着ニュース特急便
最新コメント
[05/16 backlink service]
[11/25 ふれあ(1519)PL]
[11/23 セレナ(93)PL]
[11/22 ふれあ(1519)PL]
[11/20 カシュー(553)]