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歌を唄う猫の夢

定期更新ネットゲーム『Sicx Lives』の、 日記・雑記・メモ等が保管されていくのかもしれません。 昔は『False Island』のことを書いてました。

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[ A little ahead -Fragment- ]

 藍色にグラデーションを滲ませる暁の景趣に、磨きぬかれた白銀の鎧甲が閃く。
 身の丈を越える巨大な槍戟を支えに立つ麗人は、感情の抑揚もなく告げた。

「失せろ」

 反応を予測していたのか、道化師はクククと呟いた。
 白い手袋の掌中に浮かび、輪郭もおぼろにゆっくりと回転する黒い宝石。
 ちらりと見て、尋ねた。
「契約に逆らうのですか?」

 口調は慇懃だが、疑問符に好奇心が見え隠れしている。
 軽薄な男だ――美貌の騎士ランスランサーランセストは、嫌悪する。

「私は自分で見聞きしたことしか信じないし、動かされもしない。
 宝石の契約など、捧げた剣の誓約の前に塵ほどの影響も与えはしない」

 なるほど。と、道化師は無造作に石を握り締めた。
 再び手を開いた時には、すでに禍々しい宝石の姿は見えない。手品のように、消してしまった。
 しかし、彼女には何の感動も与えない。むしろ怒りが増すばかりである。

「宝玉に課せられた使命は、遵守して下さいますかな?」

 確認。問うまでもないことながら、尋ねる。
 それが、相手の不快を買う行為であることなど、彼は十分承知していた。
 エリザの声質に、かすかな濁りが混ざる。

「貴様の耳は飾りか?
 私はお前に、失せろと言ったのだ」

 道化師は笑う。

「これはこれは失礼いたしました。
 フラレ虫はとっとと退散することにいたしましょう」

 宙に指先で大きな弧を描き、恭しくも大袈裟お辞儀をひとつ。

「――良き殺し合いにならんことを」

 スッと気配が消える。
 激臭のする汚泥が消滅したかのごとく、すっきりした空気の匂いが漂ってきた。

 深呼吸をひとつ。
 独りきりを確信し、エリザはかすかに吐息をもらす。

「優れた冒険者ほど、腐った過去に縋られる……。
 何故我々は、素直な生き方を貫くことが許されぬのか」

 周囲を深い河に囲まれた丘の上。
 睥睨する地表に新たな宝玉探求者の姿を見て、彼女は愛槍を高々と構えた。


 -+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-
[ Third person -NEXT Encounter- ]

「くんくん」
「なーに、獣みてーな真似してやがる」

 突然、瞼を閉じて空気に鼻を鳴らしたリズを見て、アルワンは眉根をひそめた。

「なんだか、変な臭いがする」
「変な臭い? ぜんぜんわかんねーぞ」

 釣られて鼻腔をひくつかせてみるが、何もわからない。

「あはは、アルワンったら変なかおー☆」

 頭にバッテン印を浮かべ、どむっと地面に八つ当たりするアルワン。
 囃し立て、ぴょんと跳ねるウサギ耳の少女。いつものじゃれあい。いつもの光景。

 二人の追いかけっこを全く無視しながら、ラズはパサパサと乾いた地図を広げた。

「波風の魔法陣を右手に越えて、先に気流の魔法陣。
 川沿いに整備された遺跡街道に入ったから……」
「もうすぐ?」
「もうすぐ」

 ラズの頭の上でぱたぱたと足を揺らす小精霊に答え、風景に目を凝らす。

 朝靄がかかる川縁には、紫や黄色の色とりどりな花が群生している。
 そよ風が花びらを揺らす様はとても可愛らしく、傍らを舞う蝶々の姿も相まって、まさに風光明媚の名にふさわしい。
 周囲には魔物の気配もない。危険な遺跡の地下にしては、まるで場違いな雰囲気だ。

 だが、彼の琴線は確実に異質な魔力の存在を感じ取っている。

 ふれあは、ごろんとラズの頭の上で寝返りを打つ。
 ぼーっとしながら、まだ藍色の姿を見せる夜明け頃の空を見上げた。
 起きたばかりなので、頭がはっきりしない。

 最近は、寝ている時間が少なくなった。
 昔は、一度寝れば世界は一年経過していたりすることもあったのだが、最近は毎日規則正しく目が覚める。
 見るたびに老いて姿の変わる人間を見なくて済むのは、ホッとする。

 と、背筋を不快な電流が駆け抜けた。
 ふれあが跳ねて起き上がると同時、スキップで逃げ回っていたリズも立ち止まる。
 その背中に勢い良くぶつかって、鼻をおさえて転げまわるアルワン。

「――何か」
「来る――」

 空から、巨大な長槍が降ってきた。

 ラズの頭から一度飛び降りて、地面に大きなヒビを入れながら跳躍。剣を抜き放つ、ふれあ。
 凶悪に輝く尖刃を受け止める。だが、威力を殺しきれず弾道を逸らすのが精一杯。
 そのまま跳ねて後方へ数回転。再びラズの頭に戻る。

 その間にリズが、タロットカードをばら撒いた。
 空中に無秩序に放り投げたカードが、彼女の思考をトレースして六芒星の形を創る。
 遅れて、投槍が纏う凄まじい衝撃波が、ズドンと大きな音をたててカードの障壁を強く揺るがした。

「……タマ持ちか。実力者というわけだ。」

 固い岩盤を貫き、半分もめり込んだ槍を苦も無く抜き去る美貌の騎士がひとり。
 青い瞳、シルバーピンクのツインテール、銀の鎧。

「ならばこのエリザ、相応の力で……貴様を落とすッ!」

 薄青に輝く魔法陣を展開。
 戦闘態勢を整えながら、ラズが厳かに口にした。

「疾風、神風、花嵐――。
 様々な二ツ名があるけれど、どれも一様に美しい風の流れを指し示す。
 でも、巨大な槍が作り出す衝撃波は、まさに嵐との噂。
 それが彼女。エリザこと、ランスランサーランセスト」

 ――そう。風の宝玉の守護者。

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ふらふらと漂う木片。
つれづれなるまま、
書き綴ってます。

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