歌を唄う猫の夢
定期更新ネットゲーム『Sicx Lives』の、 日記・雑記・メモ等が保管されていくのかもしれません。 昔は『False Island』のことを書いてました。
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[ -Recollection- ]
炎が渦巻いていた。
炭化し、崩れ落ちた陣立て。死体の姿はあれど、人の姿は見当たらない。
旗幟は業火の勢いを後押しするだけの可燃物。
長い歳月を丹精こめて縫い上げた絨毯も、伝統と共に灰と化し。
炎が渦巻いていた。
炭化し、崩れ落ちた陣立て。死体の姿はあれど、人の姿は見当たらない。
旗幟は業火の勢いを後押しするだけの可燃物。
長い歳月を丹精こめて縫い上げた絨毯も、伝統と共に灰と化し。
黒い影が走る。
また一人、アイヌ紋様の毛帽子を被る戦士が命を失った。
ぐしゃりと、ありえない異音を立て、膝から崩れ落ちる。
原因をもたらしているのは、掌ほどに収まる一人の少女。
彼女は歩いているだけだ。
何が起きているのかもわからず、ただ自分を抱きしめてくれる優しい人を求めているだけ。
振り返る先にいた、齢十歳にも満たぬ子供が死んだ。
少女と視線があった瞬間、ごぼりと口から血の泡を吐いて気道を詰まらせたのだ。
突然生まれた死は、もはや少女を動揺させるには至らない。
見た人間は死ぬという現実を理解することなく、ただ歩き続ける。
私を助けて。
その言葉だけを呟きながら、気配はあれど生命の見当たらない館を彷徨っている。
-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-
宵闇の果てより、一羽のミミズクは睥睨する。
無力な自分に、ただ、沈鬱に心を落としながら。
壊れていく友を、愛すべき友を遠く見守る。
出来るならば、今すぐ近寄って抱きしめてやりたいとさえ思う。
されど、それは出来ない。
なぜなら、『喧嘩中』、だからだ。
きっかけは些細な言い争い。
どちらが悪いというわけでもなく、価値観の違いがもたらした口喧嘩。
いつもなら、2・3日ほど間をあけて落ち着いたところで彼が折れる。
少女も、ミミズクが近くに居ないことを寂しがるため、すんなりと鞘は戻る。
なのに、
何が起きたのか、わからないまま喧嘩は続いている。
ミミズクが突きつけた言葉に、激昂して叫んだ少女に睨みつけられて、彼は気絶した。
もちろん、こんな状況は初めてといっていい。
豪傑ならば、睨んだだけで敵を気絶させることは容易いとは聞く。
だが、そのようなことはアイヌ軍総大将、"大墓公"阿弖利為さえも出来はせぬ。
恐らく、彼が気絶したことに驚嘆して、少女は助けを求めに行ったのだろう。
そのまま多くの同胞、精霊・人間の命を、ただ見るだけで奪っていったのだろう。
――虐殺は、まだ続いている。
-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-
悪神"ウェンカムイ"が憑いた、と称する。
無惨に砕け散った悪路王の幻想は、暴走の道を歩みつつあった
十万もの征夷朝廷軍を見事な手際と策略で撃退し、内外に勇名を馳せた男。
大墓地域の公王にして、仇名に悪路王を戴いた将軍。
押し寄せる新たな征夷軍。剛勇で名の知れた"征夷大将軍" 坂上田村麻呂。
彼を打ち破れば、余勢を駆って朝廷を侵略、アイヌ千年王国を築くことも夢ではない。
だが、泡は弾けた。
叶わぬもの、掴めぬもの、越えられぬ理想の先にあるのが夢ならば。
死者の堤で築かれた成す術もない現実は、まさしく悪夢であったに違いない。
すべては、ウェンカムイに憑かれた少女の魔眼によるものだ。
視た者全てを死に導く、悪魔の御業。
心強ければ即死は免れようが、少女を斬首しようと試みて自らの首を絶つ者がいた。
狂気に取り付かれ、仲間数人を巻き添えにして腹を裂いた者がいた。
死は死を招き、死をもたらす。
もはや、アイヌの軍勢は崩壊したに等しい。
「覚悟は定まりましたかな?」
フクロウの言葉に、阿弖利為は重々しく頷く。
と、いうよりも、もはやそれ以外に起死回生の道など残されていなかったのだ。
ましてやコタンコロカムイのお告げであれば、決意せざるを得ない。
「私に加護はあるのだな?」
尋ねる。肯定は頷きで返ってきた。
事態の元凶であるコロポックル。失った兵士およそ一万の数ほど首を絞めても足らぬ。
されど、真の元凶は少女に悪神を依りつけた朝廷の呪術師によるところ。
ならば、殺すのではなく、返す。
同じ苦しみを、同じ恨みを、同じ絶望を、一兵残らず味合わせてやるまいぞ。
本来なら紅の虹彩を持つ彼の瞳が、翠色の浄眼に輝いている。
阿弖利為は人の瞳を棄て、フクロウに差し出した、神の加護に護られた翠瞳を嵌めたのだ。
彼は往く。アイヌの王として、最後の誇りを果たすために。
すなわち、精霊の少女を生きたまた捉え、更なる災厄に換えるために。
-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-
フクロウは、低い声で嗤った。
精霊の少女に容れた死色の黒蛇は、乱れた失望とともに開花し、思惑どおりに発動した。
鍵として選んだのは、少女の幼馴染にして彼の弟。心構えも中途に神に成った愚か者。
アイヌ王に植えた翠眼で黒蛇を封じる。もちろん馬鹿な王は狂気に憑かれ自殺するだろうが。
次に狙うは、百万の軍勢を内地に要する朝廷か。
あるいは、更なる軍勢で割拠する、隣の大陸の住民を破滅させてみるか。
死色の黒蛇は魔眼の形態で、視認する者に狂気を撒いて破滅に導いた。
十年がかりで編んだ禁呪指定の魔法を産むことで、彼の実験は成功したのだ。
フクロウは、もはやフクロウの姿ではなかった。
墨染めの袈裟を纏う法師の様相にして、道化の仮面を被るという異様な風体。
それはまぎれもなく、"人"であったのだった。
また一人、アイヌ紋様の毛帽子を被る戦士が命を失った。
ぐしゃりと、ありえない異音を立て、膝から崩れ落ちる。
原因をもたらしているのは、掌ほどに収まる一人の少女。
彼女は歩いているだけだ。
何が起きているのかもわからず、ただ自分を抱きしめてくれる優しい人を求めているだけ。
振り返る先にいた、齢十歳にも満たぬ子供が死んだ。
少女と視線があった瞬間、ごぼりと口から血の泡を吐いて気道を詰まらせたのだ。
突然生まれた死は、もはや少女を動揺させるには至らない。
見た人間は死ぬという現実を理解することなく、ただ歩き続ける。
私を助けて。
その言葉だけを呟きながら、気配はあれど生命の見当たらない館を彷徨っている。
-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-
宵闇の果てより、一羽のミミズクは睥睨する。
無力な自分に、ただ、沈鬱に心を落としながら。
壊れていく友を、愛すべき友を遠く見守る。
出来るならば、今すぐ近寄って抱きしめてやりたいとさえ思う。
されど、それは出来ない。
なぜなら、『喧嘩中』、だからだ。
きっかけは些細な言い争い。
どちらが悪いというわけでもなく、価値観の違いがもたらした口喧嘩。
いつもなら、2・3日ほど間をあけて落ち着いたところで彼が折れる。
少女も、ミミズクが近くに居ないことを寂しがるため、すんなりと鞘は戻る。
なのに、
何が起きたのか、わからないまま喧嘩は続いている。
ミミズクが突きつけた言葉に、激昂して叫んだ少女に睨みつけられて、彼は気絶した。
もちろん、こんな状況は初めてといっていい。
豪傑ならば、睨んだだけで敵を気絶させることは容易いとは聞く。
だが、そのようなことはアイヌ軍総大将、"大墓公"阿弖利為さえも出来はせぬ。
恐らく、彼が気絶したことに驚嘆して、少女は助けを求めに行ったのだろう。
そのまま多くの同胞、精霊・人間の命を、ただ見るだけで奪っていったのだろう。
――虐殺は、まだ続いている。
-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-
悪神"ウェンカムイ"が憑いた、と称する。
無惨に砕け散った悪路王の幻想は、暴走の道を歩みつつあった
十万もの征夷朝廷軍を見事な手際と策略で撃退し、内外に勇名を馳せた男。
大墓地域の公王にして、仇名に悪路王を戴いた将軍。
押し寄せる新たな征夷軍。剛勇で名の知れた"征夷大将軍" 坂上田村麻呂。
彼を打ち破れば、余勢を駆って朝廷を侵略、アイヌ千年王国を築くことも夢ではない。
だが、泡は弾けた。
叶わぬもの、掴めぬもの、越えられぬ理想の先にあるのが夢ならば。
死者の堤で築かれた成す術もない現実は、まさしく悪夢であったに違いない。
すべては、ウェンカムイに憑かれた少女の魔眼によるものだ。
視た者全てを死に導く、悪魔の御業。
心強ければ即死は免れようが、少女を斬首しようと試みて自らの首を絶つ者がいた。
狂気に取り付かれ、仲間数人を巻き添えにして腹を裂いた者がいた。
死は死を招き、死をもたらす。
もはや、アイヌの軍勢は崩壊したに等しい。
「覚悟は定まりましたかな?」
フクロウの言葉に、阿弖利為は重々しく頷く。
と、いうよりも、もはやそれ以外に起死回生の道など残されていなかったのだ。
ましてやコタンコロカムイのお告げであれば、決意せざるを得ない。
「私に加護はあるのだな?」
尋ねる。肯定は頷きで返ってきた。
事態の元凶であるコロポックル。失った兵士およそ一万の数ほど首を絞めても足らぬ。
されど、真の元凶は少女に悪神を依りつけた朝廷の呪術師によるところ。
ならば、殺すのではなく、返す。
同じ苦しみを、同じ恨みを、同じ絶望を、一兵残らず味合わせてやるまいぞ。
本来なら紅の虹彩を持つ彼の瞳が、翠色の浄眼に輝いている。
阿弖利為は人の瞳を棄て、フクロウに差し出した、神の加護に護られた翠瞳を嵌めたのだ。
彼は往く。アイヌの王として、最後の誇りを果たすために。
すなわち、精霊の少女を生きたまた捉え、更なる災厄に換えるために。
-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-
フクロウは、低い声で嗤った。
精霊の少女に容れた死色の黒蛇は、乱れた失望とともに開花し、思惑どおりに発動した。
鍵として選んだのは、少女の幼馴染にして彼の弟。心構えも中途に神に成った愚か者。
アイヌ王に植えた翠眼で黒蛇を封じる。もちろん馬鹿な王は狂気に憑かれ自殺するだろうが。
次に狙うは、百万の軍勢を内地に要する朝廷か。
あるいは、更なる軍勢で割拠する、隣の大陸の住民を破滅させてみるか。
死色の黒蛇は魔眼の形態で、視認する者に狂気を撒いて破滅に導いた。
十年がかりで編んだ禁呪指定の魔法を産むことで、彼の実験は成功したのだ。
フクロウは、もはやフクロウの姿ではなかった。
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ふらふらと漂う木片。
つれづれなるまま、
書き綴ってます。
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