2009/03/12 (Thu) 探索76日目-日記

[ -Recollection- ]


　いつか、どこかへ、つながる、みち。

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[ Flare's Eye -Travel Side- ]

　右手に草原、左手に森林。全身が金色の女の人は、その左手側から現れた。
　ゆらゆらとよろめく姿は、さながら酔っ払いの体にも見え。

「……敵？」

　呟く。応えは下から聞こえてきた。

「たぶん、違うよ。敵意…かな。そういった緊張感がないもの」

　ふれあを頭上に乗せたリズが、それでも緊張感を解かずに呟いた。
　ラズが、ずいと一歩を踏み出して尋ねる。

「何か用？」

　質問を投げかけられて初めて気づいたのか、女の人が俯いていた顔を持ち上げた。
　金髪から覗くのは、金色の瞳。まるで黄金で出来た人形みたい。

「あ…。貴方は…あの……。」

　女の人は、不安定な心持ちながらにっこりと微笑んでお辞儀をした。

「ありがとう」

　意味がわからない。彼女とは、はじめて逢ったはずだ。
　自分だけが逢っていないのかと仲間に視線を送るも、皆、怪訝な表情のまま。

　女の子は、背に翻した金色の翼を器用に折りたたみ、三枚の羽根を抜き取った。
　それを、ラズに渡す。

「これが…この前のぶん」

　再び、微笑を浮かべて。

「この前に心当たりが無い」
「ねぇ、この前っていつのこと？」

　ラズの背から覗き込むように、リズが問いを発した。
　しかし、光の翼を持つ少女はまともに答えようとしてくれない。

「またお世話に…なるかも。その時は、ごめんなさい」

　バサリと翼を広げ。
　空気の流れを感じさせることもなく、ふわりと空へ浮かぶ。
　ばいばい、と軽く手をふって――

「いっちゃった」

　飛び去っていってしまった。

「なんだったんだろ…。ね、何もらったの？」
「羽根。…強い魔力の凝縮を感じる」

　危険はないと判断したのか、ラズは自分の分をより分けてリズに、ふれあに一枚づつ手渡す。

「きれい」
「うん、綺麗だねー！ 昔の私の羽根も、こんな風に光ってたなー」
「…なんか意味深な言葉を聞いたような」

　アルワンが羽根に鼻を近づけながら眉根をひそめていたが、よくわからなかった。

　結局彼女は誰だったのだろう。また逢う機会が訪れるような言葉を口走っていたようだが――。