2009/03/28 (Sat) 探索77日目-日記

[ -Recollection- ]


　昏き森を抜け、辿りついた眩しき輝きは希望か、あるいは絶望か

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[ Flare's Eye -Travel Side- ]

　穴に、落ちた。


　事の起こりは、犬と猫に追いかけられたこと。

「わんわん」
「にゃーにゃー」

　かわいい鳴き声。

　人間は、小動物を見るとなでたくなるものらしい。
　私にとっては大動物だけど。自分より小さい動物なんて滅多に見ることがない。
　でも、私の目線で視認できる生物は、人間にとって見たくないものらしい。不思議。

「どうでもいいんだが、犬じゃなくて狼だぜ」

　疲れた表情でアルワンが言う。
　どうやら狼らしい。だとすると、鳴き声は「がうがう」だったろうか。

「つーか、現在進行形で襲われてるわけだが」

　回想にいちいち突っ込みはいれないでほしい。

　最近、地下二階には、危険な生物が溢れ出してきているそうだ。
　マナの乱れとか、島がどうのとか、難しいことはラズが考えてくれるから平気。
　ただ、普段は更に地下、深層で蠢く猛獣・妖獣が溢れ出してきているのは大問題。

　戦いは、お仕事。
　幼い頃は、ただ守られてただけだったのに。今では誰かを守る方に位置してる。

「姐さん！ ぼーっとしてんじゃねー！」

　うるさいなぁ、もう。
　せっかく昔の、アイヌの集落にいた時代を思い出そうとしてるのに。

　あの頃、戦士達が学んでいた戦闘技術は私には受け継がれていない。
　私を鍛えてくれたのは、堀河少納言。師匠。
　人間なのに、人間じゃない。かつて、私より背が小さかった時代もあったとか。
　小さい者が大きい者と戦う技術を、余すことなく教えてくれた。

　動機、復讐。
　教えると、リズが複雑で悲しそうな顔をした。どうしてだろう。よくわからない。

　…脱線した。
　回想録、難しい。面倒くさくなってきた。
　ええと、それで。強い敵が現れたので、いきなり襲われて困ったので戦えそうな場所に走って逃げてたところ。

　そこで、落ちた。
　まるで落とし穴のように、ずぼっと、…ずどんと？　…どーんと？

「なんでもいいじゃねーか…」

　そうだった。それはどうでもいいことだった。
　落ちて、落ちた先は、どうやら地下四階らしい。三階は突き抜けたようだ。落ちすぎ。

　はっ、オチがついた！？

「オチてねえよ！ ついでに言えば、大ピンチだー！？」

　アルワン、うるさい。
　…あれ？　もしかして、囲まれてる？

　気がつけば、硬い石畳を足場に犬…狼と、猫がたくさんいた。二階から一緒に落ちてきた？
　猫は可愛いらしいけど、私から見れば虎の小型版。猛獣の一種。
　小さい分だけ、すばしっこいし、厄介。

　仕方が無い。考えるのはやめて、戦うことにしよう――。