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歌を唄う猫の夢

定期更新ネットゲーム『Sicx Lives』の、 日記・雑記・メモ等が保管されていくのかもしれません。 昔は『False Island』のことを書いてました。

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 …フィィィ――――ン。

 静かに響く極低の機械音。
 螺旋階段を覆う円筒形の壁は、表皮と違って木肌柄のカモフラージュさえ無い。
 天を突く巨大な広葉樹は、生命宿る常磐木ではなかった。
 樹木に酷似した階段。塔を昇るが如く、螺旋に設えられた偽装階梯。
 誰が何のために建てたのか、何のために隠したのか、知るものはここにいない。

「長ェな…」

 体力的に余裕の無いジェイが、軽く弱音をはいた。
 見れば妖精も天使も、ぱたぱた羽根をはばたかせて軽やかに飛んでいる。
 階段を踏むことで足腰に負担をかけることもなく、重力に疲れを覚えることもない。
 彼らに言わせれば、飛ぶのだって大変ですーとかにゃーとかいうのだろう。
 だが、ジェイは歩くより楽であることを知っている。想像ではなく、本能として。

「空気の質が変わってきたにゃ」

 カリアが鎧を軋ませながら言った。
 樹塔内部に澱んでいる陰鬱な内気に、外界に通じた新鮮な大気が混ざり始めている。

「…うわー。なんだかとってもイヤな気配がしてるです?」

 メルトが顔をしかめながら呟く。
 こういう時、この駄天使の直感は正解に近いことが多い。
 天界と潜在識性がアストラルリンクされているのだと、ジェイは知っている。

 ――神の狗とは、こういうことだ。

 高次元存在によって常時管理下におかれ、行動・意識・思想が制限開放されている。
 自己意識も顕現しているが、重要な判断局面において天使という存在におよそ自由などない。
 上位存在である"神"に絶対服従と絶対愛情をそそぐ、哀れなマリオネッタ。

 だが、この天使は違う。

 ――天界からの指令など、よく我慢していられるものだ。

 観ていればわかる。メルトは大量生産品のキューピッド属などではない。
 天使とは、ある使命に向けて単一の心意調整をされているもの。
 興味のあることへふらふらと、欲望のまま動き回れる天使などありえない。
 複数の使命を並行処理し、自由裁量の権限が与えられているスペシャル・カスタマイズ。

 まるで大天使クラスの存在であるかのように。

 視線をうつす。
 白銀の鎧を被る妖精もまた、尋常な妖精種ではない。
 そもそも彼に関しては、竜を従える格を備えている時点で推測はついていたのだが。
 本人から聞いたのは、竜騎兵でありながら騎士叙勲は受けていないという経緯。

 ありえないことだ。

 妖精界であれど、騎士の性質からして叙勲を得ていなければ従士の位しか名乗れはしまい。
 なのに、フリーランスの傭兵として騎士を名乗るということは、それだけの栄誉と名声を持つということ。
 あるいは、騎士という言葉で縛らなければならない"何か"を抱えているということ。

「……ま、いいけどな」

 そう考える自分がそもそも、まっとうな存在ではない。
 理由ありの三人が連れ行きとなり、互いの目的も話さぬまま旅路を急ぐ。
 こんなふざけた采配を、天使ならば神の采配、妖精ならば運命の導きと答えるだろうか。

 階段は不意に途切れ、硬質な床面を大地に広げる。
 小さな水溜りを幾つか抱えた広大な地形は、巨大樹の内部を昇ってきた先としては理解しがたい地表だった。
 生い茂っていた葉は、枝は、いったい何処へいってしまったのだろうか。

「魔法陣、みつけたですー!」

 一足先に、空へ舞いあがったメルトが西の方角を指差して叫んだ。

「煙草の臭いはそっちじゃない。東に続いてるにゃ」
「……急ぎたいのは山々だがな」

 隣で浮遊しているカリアに苦笑を返す。
 あの時は怒りに我を忘れて力を使いすぎた。疲弊している状態で進んでも、次に勝てるとは限らない。
 何しろ、相手もまた常識を超えた怪人であるのだから。

「今回は、魔法陣を踏んで遺跡外へ帰還しておきたい。
 カリアの武器も、新調しなくっちゃな」

 見れば妖精の腰に刷いた短剣は、刃こぼれして細かい傷を幾つも身に受けている。
 武器をエーテル凝縮に頼るメルトはともかく、ジェイの装備も先刻の戦闘でかなり疲弊していた。

「ベストな洗濯をしよう」

 旅の終わりは確実に近づいている。
 うそぶいて笑えるのは、自分が、あるいは自分達がまだこの旅路を名残惜しんでいる証拠なのかもしれなかった。

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