歌を唄う猫の夢
定期更新ネットゲーム『Sicx Lives』の、 日記・雑記・メモ等が保管されていくのかもしれません。 昔は『False Island』のことを書いてました。
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「犯人はこの中にいるです!」
「いや、お前だ」
脳天を貫く一撃が、メルトを地べたに叩き伏せる。
「い、いたいです!?」
「体罰だからな、仕方がない」
「ひどいです! 児童虐待で労働基準局へ訴えてやるです!」
「児童とか、労働とか、…どこからツッこめばいいんだ」
「いや、お前だ」
脳天を貫く一撃が、メルトを地べたに叩き伏せる。
「い、いたいです!?」
「体罰だからな、仕方がない」
「ひどいです! 児童虐待で労働基準局へ訴えてやるです!」
「児童とか、労働とか、…どこからツッこめばいいんだ」
遺跡外の常宿に帰還した三人は、満身創痍の出で立ちであった。
罠を踏んだ挙句に分断、各個攻撃されるという失態。
今更ながらに、敵の能力に圧倒される。攻撃力も、知力も、魔力すらも一枚上手を行かれていた。
超常能力の持ち主であっても、傷を癒すには時間が必要で。
時の経過は敵を有利にするだけと理解しつつも、まずは健康の回復に努めることを決断した。
だが、状況はそれを許さない。
事態は常に、斜め上の方向へカッ飛んでいくことを、彼らは今更ながらに思い知る。
「……大丈夫か?」
カリアが声をかける相手は、冒険者の宿舎を提供している宿のオーナーある。
彼がドアを開き、部屋へ入ってきたところを光のハンマーで昏倒させたのが、メルトである。
「い、痛てて」
「動くな。いま、治す」
妖精の癒し。カリアがかざした掌から、金色の美しい輝きがあふれる。
「すみません、ウチのバカが侵入者と勘違いしたようで」
ジェイは視線をオーナーへ向けたまま、メルトを縄でぐるぐる巻きにしていく。
もはや手馴れてきた印象だ。
そのまま天井の梁に逆さにくくりつけ、錘をぶらさげた。
「ひうっ!? 重いですー!」
ジェイが手に猿ぐつわに利用できるハンカチを取り出した時点で、天使は口をバツの字に黙らせてぶんぶん首を横に振った。
「すみません、うちのバカが粗相しました」
「あ、ああいいんだ。いつも元気だね、キミたちは」
オーナーはにこやかに笑って挨拶をする。
彼は何故かメルトを気に入っているようで、多少のことでは怒らない。
それはそれで大問題だと、カリアあたりは思うのだが。
「今日の私はメッセンジャーなのだよ」
いつもは、部屋食を運ぶついでに冒険譚を聴きに来る物好きなオーナーが、懐から何か羊皮紙の巻物を取り出した。
ジェイが受け取り、巻物の結び目を確認して眉をひそめる。
「古代ヘブライ文字?」
アルファベットではない、ヘビがのたくった形状の言語。
死海文書等に使用されている古き文字列は、ジェイにとっては馴染のあるものだ。
――が、この場合、自分宛の文書ではないはずだ。
「これをどこで?」
「今朝、儂宛に郵便で届いたんだ。中身をこの部屋の人に届けてくれって書いてあってね」
ジェイはため息をつく。こんな回りくどい方法を使うのは、『アイツ』しかいない。
そしてこの場合、自分宛の荷物ではないことも確かだ。
「メルト、お前宛だ」
「ふぇ?」
不思議そうに首をかしげるメルトに差し出す。
つまり、天使宛の郵便物ということか。わざわざ地上の配達会社を利用して送り届けるとは、天界も俗世に染まっているものだ。
カリアはそう納得しつつ、二人へ声をかけた。
「縄を解いてやらないと、受け取れないのではないか?」
「あ」
「おぉ。カリア、頭いいです」
「………」
メルトに科せられた最終封印の解除キーは、このような形で送り届けられたのであった。
罠を踏んだ挙句に分断、各個攻撃されるという失態。
今更ながらに、敵の能力に圧倒される。攻撃力も、知力も、魔力すらも一枚上手を行かれていた。
超常能力の持ち主であっても、傷を癒すには時間が必要で。
時の経過は敵を有利にするだけと理解しつつも、まずは健康の回復に努めることを決断した。
だが、状況はそれを許さない。
事態は常に、斜め上の方向へカッ飛んでいくことを、彼らは今更ながらに思い知る。
「……大丈夫か?」
カリアが声をかける相手は、冒険者の宿舎を提供している宿のオーナーある。
彼がドアを開き、部屋へ入ってきたところを光のハンマーで昏倒させたのが、メルトである。
「い、痛てて」
「動くな。いま、治す」
妖精の癒し。カリアがかざした掌から、金色の美しい輝きがあふれる。
「すみません、ウチのバカが侵入者と勘違いしたようで」
ジェイは視線をオーナーへ向けたまま、メルトを縄でぐるぐる巻きにしていく。
もはや手馴れてきた印象だ。
そのまま天井の梁に逆さにくくりつけ、錘をぶらさげた。
「ひうっ!? 重いですー!」
ジェイが手に猿ぐつわに利用できるハンカチを取り出した時点で、天使は口をバツの字に黙らせてぶんぶん首を横に振った。
「すみません、うちのバカが粗相しました」
「あ、ああいいんだ。いつも元気だね、キミたちは」
オーナーはにこやかに笑って挨拶をする。
彼は何故かメルトを気に入っているようで、多少のことでは怒らない。
それはそれで大問題だと、カリアあたりは思うのだが。
「今日の私はメッセンジャーなのだよ」
いつもは、部屋食を運ぶついでに冒険譚を聴きに来る物好きなオーナーが、懐から何か羊皮紙の巻物を取り出した。
ジェイが受け取り、巻物の結び目を確認して眉をひそめる。
「古代ヘブライ文字?」
アルファベットではない、ヘビがのたくった形状の言語。
死海文書等に使用されている古き文字列は、ジェイにとっては馴染のあるものだ。
――が、この場合、自分宛の文書ではないはずだ。
「これをどこで?」
「今朝、儂宛に郵便で届いたんだ。中身をこの部屋の人に届けてくれって書いてあってね」
ジェイはため息をつく。こんな回りくどい方法を使うのは、『アイツ』しかいない。
そしてこの場合、自分宛の荷物ではないことも確かだ。
「メルト、お前宛だ」
「ふぇ?」
不思議そうに首をかしげるメルトに差し出す。
つまり、天使宛の郵便物ということか。わざわざ地上の配達会社を利用して送り届けるとは、天界も俗世に染まっているものだ。
カリアはそう納得しつつ、二人へ声をかけた。
「縄を解いてやらないと、受け取れないのではないか?」
「あ」
「おぉ。カリア、頭いいです」
「………」
メルトに科せられた最終封印の解除キーは、このような形で送り届けられたのであった。
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