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歌を唄う猫の夢

定期更新ネットゲーム『Sicx Lives』の、 日記・雑記・メモ等が保管されていくのかもしれません。 昔は『False Island』のことを書いてました。

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[ -Recollection- ]


 恨みわび ほさぬ袖だに あるものを
  恋に朽ちなむ 名こそ惜しけれ 

   (後拾遺集/小倉百人一首六十五番 源頼光養女 相模)


 -+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-
[ -Someone's Memory- ]


 疾走。土煙を削り、大地を踏み砕く蹄の叩音。
 流れ去る木々。触れる暇も無く、梢にとまる鶯の鳴声も届かずに消える。
 直垂の衿元から顔だけを覗かせ、めまぐるしく変わる景色を、ただ眺めていた。

「怖いか?」

 "らいこう"はきいた。
 薄い口髭を豪快に歪ませながら、繊細な気遣いを被せて。

 首を横に振る。

 こわくない。
 "ほりかわさま"の剣稽古の方が、もっと怖い。

 やがて駿馬は、普甲峠で低い嘶きをあげて速度を緩めた。
 手綱捌きも巧みに、"らいこう"は切り立った崖のそばへ近づける。

「雲海に遮られて見えんな。だが、鬼の住処があるのは、恐らくあの辺りだ」

 朝廷の勅命。大江山を根城とする鬼盗賊、酒顛一党の討伐。
 "きんじょう"の命令に、"みなもと"は従った。

 わたしはおこっている
 "きんじょう"は、故郷を滅ぼした。アイヌを蝦夷と呼び、鬼と称し滅ぼした。
 "しゅてん"も、本当に鬼なのだろうか?

 でも、"みなもとのよりみつ"は、"たむらまろ"みたいに悩まない。
 頭がいいのに、頭は悪い。
 いつだったか、"やすまさ"が言っていた。
 
『一族を守る責務に怯えているのさ。忠実な犬を演じねば、郎党の立場が守れぬからな』

 よくわからなかった。にんげんはむずかしい。

 少し遅れて、遠く山間にこだまを巡らせていた馬の足音が近づいてきた。
 二人いる。
 背中に柄の赤い鉞を括り付けているのが、"きんとき"
 反り返りの強い梓弓を括り付けているのが、"さだみつ"

「殿! 我らを置いて先に行かれますな!」

 "さだみつ"が、かみついた。

「ふん。儂は普通に走らせただけだ。お主らが遅いだけよ」

 "らいこう"は、そっぽをむいた。

「陽姫。目ェ、まわしてねぇか? 殿の早駆けは、綱ぐらいしかついていけねーからなあ」

 "きんとき"が、わしゃわしゃとなでてきた。
 こくりと頷き、大丈夫の意を示す。

「先程、季武から"鳥"が届きました。快賢様より山伏装束の一式を借り受けられたとのこと。
 道中の空模様も怪しく危険です。一度、麓に戻りましょう」
「……。阿瑠は何故、こちらに来ない。先にお前の元へ飛ぶのは順序がおかしかろう。主は儂ぞ?」
「そりゃ、あんたが陽姫を勝手に連れ出すからでしょ」

 あるわんのばか。そんなに、わたしにあいたくないのか。

「莫迦。あいつなりに気ィ遣ってんだよ。
 とっとと仲直りしちまえ。時間がたつほど、謝りにくくなるんだぜ」

 べつにけんかしてるわけじゃない。あっちが、わからずやなだけ。

「わかってねぇのはお前だ、陽姫」

 "きんとき"の言葉に、ついと視線があがる。
 精悍な表情に大きな傷痕。足柄山で熊鬼につけられた裂傷だと彼は云う。

「過去とか、そんなのは問題じゃねーんだよ。阿瑠はただ心配してるだけなんだからな。
 ちゃんと話しあえ。納得もさせず踏みにじるだけじゃ会話になってねぇよ」

「金時の口からその言葉が出るとは驚きだ。帰ったら保昌に聞かせてやろう」
「殿! 俺、今、すっげェいいこと言ってんだから、ちゃかさないでくれよ!?」

 みんながわらっている。
 何がおかしいのか判らないから笑わない。ひとり、笑えない。

「陽姫」

 "らいこう"が、名を呼んだ。

「儂は相手が鬼であろうが人であろうが、殺して奪うぞ。それが今上帝の勅命だからだ。
 しかし、望む結果はそれに留まらぬ。
 賊退治が成功すれば、兼家様の名があがる。我らを推挙した道長殿も躍進されよう。
 摂関家の墨があれば、源氏武者の立場も安泰する」

 源頼光は雄大な自然を前に、瞳を細めて呟く。

「お前の望む正義と、儂の求める理想は、全く異なるものだ」

 躊躇いもなく告げる言葉には、強い意思の力が漲っている。
 ――それは、今の夢猫ふれあが持っていないものだ。

「大江山の盗賊が、本当の鬼かどうかはお前が確かめるがいい」
 
 雨雫が一粒、彼の頬をぬらす。
 雲を越える峠にあっても、さらに遠き空より雨は降るのか。

 少女は選ぶことを始めた。

 誰もが幸せになれる世界などなく、誰かをを幸せにする力もなく。
 意思もなく戦に参陣しようとしていた己の身を恥じながら、ずっと、ずっと悩み続けた。

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ENo.58 夢猫ぴあの
アンジニティ:
ENo.106 梟霊アルワン

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ふらふらと漂う木片。
つれづれなるまま、
書き綴ってます。

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