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歌を唄う猫の夢

定期更新ネットゲーム『Sicx Lives』の、 日記・雑記・メモ等が保管されていくのかもしれません。 昔は『False Island』のことを書いてました。

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[ Third person -Travel Side- ]

「つまり、コタンコロカムイってのは村落を護る神鳥というわけだ」

 長い説明を、時折簡単な質問を挟みながら、ラズはじっと黙って聞いていた。

 冬の気配が近づいている。
 遺跡街を覆う寒々しさ。長袖を纏わなくては、体力を無駄に消費してしまうほどの気温。
 森林を色鮮やかに飾り立てる紅葉も、夜の帳では役に立たない。
 ただ、焚き火が炭を弾く音だけが、月光も射さない曇天の静寂に音を添えて。
 ふれあはいつもどおり、よく寝ている。彼女は睡眠を取らないと活動力を維持できない体質だ。
 リズも寝ている。彼女が翌朝の食事の支度をする頃に、入れ替わりでラズが睡眠を取る。
 とはいえ、先程か規則正しい寝息。身じろぎひとつしない。
 実は起きていて、聞き耳を立てているのかもしれなかった。

「厳密には一羽だけで構成される神格じゃなくて、フクロウの中でも島梟種全体を指して顕す」
「集合的無意識――因果付随する連環深層意識?」
「どちらかって言うと、コタンコロカムイという神格のプールと、フクロウ達という端末…かな」
「潜在領域のネットワーク連結の方が正確?」

 アルワンは、大きくひとつ頷いた。

「成鳥と認められた縞梟が、各方面の神の承認を受けて祭儀に望む。
 祭儀でコタンカラカムイ――偉大なる創造神より祝福を受けると、晴れて神族入りってわけだ」
「神というより、天使に近い形態に思える。いや、祖霊信仰の延長だから――ハイスピリット」
「かもな。まぁ、信仰を喰って生命を保つあたりが神に似てるだけかもしれねー」

 ラズは口元に指をあてて、何か深く考えているようだった。

 世界が変われば神の形式も異なる。
 絶対神を制定し、神そのもの、あるいは神の御子を端末として崇め奉る唯一神教。
 複数神から己の拝謁すべき一柱の存在を制定し、崇め奉る拝一神教や単一信教などだ。

 しかし、どういう形態の神教であろうとも、ひとつだけルールが存在する。
 神と呼ばれる存在は、信仰という崇拝を外部から得ることなくして存在できないというものだ。
 故に、信仰の朽ちた神は忘れられ、現界に対する影響力を失う。
 力を失った神は消滅するか、妖魔に身を落とすしかないとされている。

「でも。コタンコロカムイは現在でも信仰されている神。
 昔ほど力は扱えなくとも、実体を伴っているならば相当強力な存在力場を保有しているはず」

 ラズの疑問に、アルワンは皮肉げな口調で告げた。

「だからさ。俺様は、島梟種じゃなくて、鷲木菟種だったのさ」

 種が違う存在が、コタンコロカムイに迎えられた経緯は先ほどすでに聞いている。
 単純化すれば、養子制度のようなものだ。
 祭儀承認のシステムで仲間入りできるのだから、そういう方法で神に成ることは可能。
 しかし純潔を尊ぶ閉鎖社会で、外来種が神に成ることは難しい。ありえないと言ってもいい。

「今じゃ、島梟種は絶滅危惧種。おまけにDNA研究の結果、鷲木菟種に併合されつつあるらしいぜ?
 …笑うしかねーよな」

 過去を反芻しながら、アルワンは視線を細める。
 すでに朽ちた肉体だが、同僚から受けた忌々しい傷痕は今でも魂に刻み付けられている。
 そして、その同僚たる神から庇ってくれた兄神のことを想う。

「大獄丸って名でな。元は、大陸から流れてきたシマフクロウだった。
 カムイに承認される前から、すげー霊力を持っていてな。
 頭もよくて、頼もしくて、俺様の兄貴格で、とにかくいろんなことを教えてくれた」

 それが、と続けて舌を打つ。

「当時、北伐とかなんとかで、何度も攻めてきていた朝廷の内通者だったわけさ。
 俺達コタンコロカムイや、樋熊種が属するキムンカムイの守護結界を内側から壊した。
 おまけに、姐さんを含めて数人に、特殊な呪いを植えつけて反乱を起こさせた。
 それに乗じて、当時の征夷大将軍が東北を制圧。俺達の暮らしは踏みにじられた」

 どうでもいいことだけどな。と続けて、アルワンは押し黙った。
 感傷はあるが、同情は求めない。もう終わった、古い過去の出来事なのだ。

「大獄丸の正体は人間だった。…当時は魔術師なんて存在は知らなかったからな。
 妖物でもない人間が鳥に化け、しかも神の直感すら誤魔化せるだなんて信じられっか。
 裏切った頃には、奴はカムイの連結意識を断ち切っていた。
 だから結局、アイツが俺達を滅ぼした理由は、いまでもよくわかっちゃいねーのさ」

 ラズは考える。

 恐らく、自らの愉悦を満たすため――だ。
 魔術師は知識を求める傾向がある。興味あるものは骨の髄まで追求しなくては気がすまない性分。
 そのためなら黄金率を侵す禁術や、生命の冒涜に手を染めても構わないと思う者も存在する。

 人間なら誰しも心の奥底に抱く業なのかもしれない。
 魔術師とは、その業こそが原動力の側面を持つ。だからこそ、純然たる世界の研究者なのだ。

 それにしても。
 禁呪指定され、永久封印された術式を扱えるあの道化師は何者なのか。
 知っているようで思い出せない。不確かな記憶に、ラズはもやもやとした嫌な気分を覚える。

「俺達は別に、この島にアイツを追いかけてきたわけじゃねぇ」

 アルワンはポツリと呟いた。

「なのに何故、ここにアイツがいるんだ?」

 独白のように吐き捨てた一言。
 これもまた、単なる気まぐれだろうと――同種の存在であるラズは、視線を逸らしながら考えていた。

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