歌を唄う猫の夢
定期更新ネットゲーム『Sicx Lives』の、 日記・雑記・メモ等が保管されていくのかもしれません。 昔は『False Island』のことを書いてました。
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[ -Recollection- ]
数刻を経た厳かな儀式の涯て、血文字の封印符は剥がされた。
少女はずっと、世界から隔絶されていた。
最初に見えたのは柔和な表情の老人だったけれど。
次に逢えたのは、百年を経ても変わらぬ大切な友の顔。
数刻を経た厳かな儀式の涯て、血文字の封印符は剥がされた。
少女はずっと、世界から隔絶されていた。
最初に見えたのは柔和な表情の老人だったけれど。
次に逢えたのは、百年を経ても変わらぬ大切な友の顔。
-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-
[ Alwan's Eye -Travel Side- ]
奪われた力を取り戻すため、ふれあは残留する精霊力を総動員させて動く。
精霊力とは、文字通り精霊の力。精霊が現界に存在するべく働く力。
精霊とは、万物に宿る気が人格を得て結晶した存在。
地水火風空光闇――自然の、もうひとつの形態だ。
薄いが強靭な呪力の防護膜を、引っ掛ける形で切り裂く。
壁というほどのことはない。矢継ぎ早に繰り出す連撃。
抵抗の攻撃を味気なく払い、ついに剣先を届かせた。
しかし、サンドラは攻撃を身軽にかわす。まるで軌跡が見えているかのように。
(こいつ、魔物とは違うな。…なんだ? さっきから感じるこの違和感は)
アルワンは考える。ふれあと別角度からサンドラの動きを牽制しながら、気配を探る。
神格たるアルワンを動かす原動力は信仰の力。それを大量に奪われて、彼はかなり動きが鈍い。
コタンコルカムイに寄せられる信仰心は、彼には届かない。何故なら、すでに任を解かれているから。
代わりに受ける力は、ふれあの寄せる信頼。そして、集めた宝玉の魔力。
それすらも、サンドラは奪い去った。
末期に託された霊蜂の神力がかろうじて動きを支えている。だから、瀬戸際でもアルワンは生きている。
目前の少女に殺意は感じない。だが、自分は間違いなく殺されかけていた。
「待ちなさいって言ってるのに」
サンドラは無機質に呟くと、柔らかそうな白い指先を突き出した。
掌の内に出現するは黒くうねる蛇。雷の如く空をうねり、ふれあとアルワンへ襲い掛かる。
「――って、その力は、アイツの!」
叫ぶ。脳裏に浮かぶは、変わり果てた義兄の姿。今はクロックスと名乗る道化師の幻影。
その術は知っている。
ふれあに取り付かせた古い蛇の呪い。視線を合わせた者へ襲い掛かる禍々しき古呪の毒蛇。
カムイコタンを滅ぼした時の、瞬時に死を撒き散らす妄想じみた破壊力はないけれど。
「これは、貴方たちの力よ?」
涼しげな声音で、サンドラは告げた。彼女にとって、当然のことを何気なく口にした。
だが、それでアルワンの動きは止まる。
全てを視ていた者の位置で、全てを理解する。それは、つまり。
「アルワン!」
精霊力で造り出した形ある守護剣霊を踏み台に、ふれあが空を翔る。
アルワンを庇うように、黒い蛇をはじき、切り伏せた。
彼女はサンドラの言葉を理解しない。なぜなら、自身にカムイコタンを滅ぼした記憶は無いのだから。
黒い蛇の古呪も、ふれあにとっては敵が使う技のひとつでしかなく。
「姐さん! 違う、そいつは…、たぶん…!」
アルワンは遅いと知りつつも、姉たる少女に制止を投げかけずにはいられなかった。
彼は理解した。
サンドラの本質は不明。しかし、扱う呪力はふれあとアルワンから奪った力に違いない。
薔薇の髪飾りをつけた少女は、おそらく、ふれあの内部で抑え付けられていた呪詛を、何らかの方法で一部抜き出したのだ。
その過程で、封印に力を与えていたアルワンの神力も奪い去った。
きっとそれは不可抗力。わかるのは、サンドラには古呪をどうにかする力があるということ…!
「溜めすぎは身体に毒………だから、ね」
サンドラは表情なく、ふれあの剣先を軽やかにかわす。
「コツコツ溜めてきてよね、溜まったらまた……吸ってあげるから」
皮肉げに呟くと、少女は掌を大地へ向け、聞き慣れない呪文を唱え始める。
聞き慣れはしないが、独特の韻を踏む響き。確か、どこかで――。
「次の舞台に行かせてあげる。お仲間さんとの合流は、アフターケアよ」
突如、足場たる大地に底の見えない巨大な縦穴が口を開いた。
オオオと風が唸り声をあげ、重量の法則でふれあとアルワンの身体を吸い込んでゆく。
アルワンは力無く笑った。何から何まで手玉に取られたことに。
ふれあは不機嫌そうに睨みつけている。窮地を救われたとも気づかずに。
宙空に浮かぶサンドラは、軽く手を振った。バイバイと、送りの言葉を添えて。
――暗転。物語は次のステージへ移る。
[ Alwan's Eye -Travel Side- ]
奪われた力を取り戻すため、ふれあは残留する精霊力を総動員させて動く。
精霊力とは、文字通り精霊の力。精霊が現界に存在するべく働く力。
精霊とは、万物に宿る気が人格を得て結晶した存在。
地水火風空光闇――自然の、もうひとつの形態だ。
薄いが強靭な呪力の防護膜を、引っ掛ける形で切り裂く。
壁というほどのことはない。矢継ぎ早に繰り出す連撃。
抵抗の攻撃を味気なく払い、ついに剣先を届かせた。
しかし、サンドラは攻撃を身軽にかわす。まるで軌跡が見えているかのように。
(こいつ、魔物とは違うな。…なんだ? さっきから感じるこの違和感は)
アルワンは考える。ふれあと別角度からサンドラの動きを牽制しながら、気配を探る。
神格たるアルワンを動かす原動力は信仰の力。それを大量に奪われて、彼はかなり動きが鈍い。
コタンコルカムイに寄せられる信仰心は、彼には届かない。何故なら、すでに任を解かれているから。
代わりに受ける力は、ふれあの寄せる信頼。そして、集めた宝玉の魔力。
それすらも、サンドラは奪い去った。
末期に託された霊蜂の神力がかろうじて動きを支えている。だから、瀬戸際でもアルワンは生きている。
目前の少女に殺意は感じない。だが、自分は間違いなく殺されかけていた。
「待ちなさいって言ってるのに」
サンドラは無機質に呟くと、柔らかそうな白い指先を突き出した。
掌の内に出現するは黒くうねる蛇。雷の如く空をうねり、ふれあとアルワンへ襲い掛かる。
「――って、その力は、アイツの!」
叫ぶ。脳裏に浮かぶは、変わり果てた義兄の姿。今はクロックスと名乗る道化師の幻影。
その術は知っている。
ふれあに取り付かせた古い蛇の呪い。視線を合わせた者へ襲い掛かる禍々しき古呪の毒蛇。
カムイコタンを滅ぼした時の、瞬時に死を撒き散らす妄想じみた破壊力はないけれど。
「これは、貴方たちの力よ?」
涼しげな声音で、サンドラは告げた。彼女にとって、当然のことを何気なく口にした。
だが、それでアルワンの動きは止まる。
全てを視ていた者の位置で、全てを理解する。それは、つまり。
「アルワン!」
精霊力で造り出した形ある守護剣霊を踏み台に、ふれあが空を翔る。
アルワンを庇うように、黒い蛇をはじき、切り伏せた。
彼女はサンドラの言葉を理解しない。なぜなら、自身にカムイコタンを滅ぼした記憶は無いのだから。
黒い蛇の古呪も、ふれあにとっては敵が使う技のひとつでしかなく。
「姐さん! 違う、そいつは…、たぶん…!」
アルワンは遅いと知りつつも、姉たる少女に制止を投げかけずにはいられなかった。
彼は理解した。
サンドラの本質は不明。しかし、扱う呪力はふれあとアルワンから奪った力に違いない。
薔薇の髪飾りをつけた少女は、おそらく、ふれあの内部で抑え付けられていた呪詛を、何らかの方法で一部抜き出したのだ。
その過程で、封印に力を与えていたアルワンの神力も奪い去った。
きっとそれは不可抗力。わかるのは、サンドラには古呪をどうにかする力があるということ…!
「溜めすぎは身体に毒………だから、ね」
サンドラは表情なく、ふれあの剣先を軽やかにかわす。
「コツコツ溜めてきてよね、溜まったらまた……吸ってあげるから」
皮肉げに呟くと、少女は掌を大地へ向け、聞き慣れない呪文を唱え始める。
聞き慣れはしないが、独特の韻を踏む響き。確か、どこかで――。
「次の舞台に行かせてあげる。お仲間さんとの合流は、アフターケアよ」
突如、足場たる大地に底の見えない巨大な縦穴が口を開いた。
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アルワンは力無く笑った。何から何まで手玉に取られたことに。
ふれあは不機嫌そうに睨みつけている。窮地を救われたとも気づかずに。
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つれづれなるまま、
書き綴ってます。
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