歌を唄う猫の夢
定期更新ネットゲーム『Sicx Lives』の、 日記・雑記・メモ等が保管されていくのかもしれません。 昔は『False Island』のことを書いてました。
×
[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。
セルフォリーフには、カメーリエ分校という巨大施設がある。
シェルハ・ウォルという名の分割世界、デーゲンリヒト国の首都に本校を持つ"魔法学校"だ。
この施設に通う者は、古今東西和洋の区別なく、あらゆる魔法の基礎と応用を学ぶことが出来る。
魔法が苦手な"魔法使い"夢猫ぴあのは、この学校に所属していた。
師曰く『離れていても勉強の手抜きはさせませんからね』 ――まったく、失礼な話ですわ。
私が浮かれて勉強をさぼるとでも思ってるのかしら。さぼってましたけど。
各地に置かれたゲートを利用すれば、学校に繋がる次元路が開く。
旅の仲間は男性ばかり。同じ部屋には泊まれないので、少女は学校付きの寮を借りている。
同ミレッティ女子寮の一角、1003号室に遊びにきていたピアノは、部屋主である雛姫の前でため息をつく。
シェルハ・ウォルという名の分割世界、デーゲンリヒト国の首都に本校を持つ"魔法学校"だ。
この施設に通う者は、古今東西和洋の区別なく、あらゆる魔法の基礎と応用を学ぶことが出来る。
魔法が苦手な"魔法使い"夢猫ぴあのは、この学校に所属していた。
師曰く『離れていても勉強の手抜きはさせませんからね』 ――まったく、失礼な話ですわ。
私が浮かれて勉強をさぼるとでも思ってるのかしら。さぼってましたけど。
各地に置かれたゲートを利用すれば、学校に繋がる次元路が開く。
旅の仲間は男性ばかり。同じ部屋には泊まれないので、少女は学校付きの寮を借りている。
同ミレッティ女子寮の一角、1003号室に遊びにきていたピアノは、部屋主である雛姫の前でため息をつく。
「ヒナキの部屋はあったかいですわね」
「そっちの部屋は、寒いの?」
「二階の端、階段傍だからかしら。なんだか底冷えしてる気がしますの」
両腕を掻き抱き、震えるポーズを取りながらピアノは続けた。
「寒い日は鍋が恋しい季節ですわね、最近は食べてないですけど」
その言葉に、雛姫は軽く小首を傾げる。
「鍋…? ぴあのちゃん、それってどんな食べ物なの?」
「…もしかしてヒナキは、鍋を食べたことがないのかしら?」
意外な質問に、思わず質問で返してしまった。
食べるより食べられる側だったりするのかしら…、と失礼なことを考えながら説明する。
師と二人きりで囲んだ鍋の経験、寝物語や小説で得た一家団欒の雰囲気。
身振り手振りを交えて、鍋の魅力をバリエーション豊かに伝えた。
夢幻鳥の少女は、ふんふんと真剣に聞き入っている。
ピアノ自身、大勢で鍋を囲んだ経験がないので、幾分想像が混じっていたかもしれない。
うまく教えることが出来たか、自室に戻ってから不安に感じもした。
しかし結果的に見れば、今日の話は彼女の興味を、とても強く惹きつけていたらしい。
数日後。雛姫は喜色満面の笑顔で告げてきた。
「ラナさんのところで、鍋パーティ、しましょう!」
-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-
ラナさんとは、成人部"ゲルブ"に所属しているラナンディア・フェルシュング先輩のことだ。
毛先にいくにつれ灰銀から黒へ変化する、不思議なグラデーションの髪を三つ編みにしているのが特徴的で、
頭上にはいつもヘッドフォンを装着している。本人曰く「これは身体の一部だよー」とのこと。
「でも、何も用意しないってわけにもいきませんわよね」
腕組みし、悩みにふけりながら市街を歩く。
通りに並ぶ果実や野菜は瑞々しく美味しそうだが、食材はだいたい手配してあると聞いていた。
何も持ってこなくていいよと言われているが、それでは心苦しくもある。
「あら、ミレーユさん?」
客入り盛況な区画から離れた露店を覗いている、白いワンピースドレスの女性を目に止めた。
ミレーユ・フェイビア。彼女自身はカメーリエ分校の生徒ではない。
だが、ラナ先輩と雛姫、両名と共に旅していることから知己を得させていただいている。
淡青色の華飾りが似合う可愛らしいお嬢様だが、背負っているのは使いこまれた黒鉄の猟銃だ。
声をかけようと近づいたが、彼女が籐籠に収めているものに気づいて足を止める。
(パン、ですか。
サイドメニューにも気配りされてるだなんて、よく気が付く方ですのね)
このまま御一緒して、買い物を手伝った気分に浸るのも具合が悪い。
くす、と挑戦的な笑みを浮かべ。
(負けてられませんわ。私も何か食材ゲットしてきませんと!)
場を離れようと、身を翻す。
その一瞬――、目端に、彼女がチョコを購入していたように見えた。
チョコは………。………。鍋に合う食べ物でしたかしら……?
(あ、食後のデザートですのね。…さすがです!)
この時に気づかなかったことを、ピアノは死ぬほど後悔する。
-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-
"逃げるお肉"は、ぐしゃぐしゃになった。
仲間が「あれは霜降り肉ですよ」と評価していたから、きっと美味しいものだと思うのだが。
傘を振って肉汁を弾き飛ばしながら、「ふう」と疲れを吐息に逃がし。
やはり、食材を外界の怪物に求めるのは無理があるようだ。
しかし露店食材では、準備済みの食材とかちあうことは想像に難くない。
山菜という線も考えたが、この世界の山は一人旅に優しくなかった。
「……せ、せめてジュースか何かを持っていけばよろしいですわね!」
ラナ先輩なら、笑って「気にしないで」と言ってくれるはずだ。
鍋パーティの刻限が迫っている。これ以上、外で時間を潰すわけにはいかなかった。
割り切った足取りは軽い。
師匠が言っていた。鍋は、みんなで囲んで食べるから美味しいのだと。
独りで食事をとるのは楽だが、空腹を埋める作業にしかならない。
雲の上の世界は人が少なく、また、彼女と同世代の子供は皆無だった。
だからピアノにとって、この集いは初めての『友達とのパーティ』になるのだ。
だが―――、
+斜+
(ENo.825 ラナンディア・フェルシュングさんの日記に続く。
この日記は、ENo.1445 雛姫さん、ENo.209 ミレーユ・フェイビアさんの日記と同軸時間帯です)
-斜-
「そっちの部屋は、寒いの?」
「二階の端、階段傍だからかしら。なんだか底冷えしてる気がしますの」
両腕を掻き抱き、震えるポーズを取りながらピアノは続けた。
「寒い日は鍋が恋しい季節ですわね、最近は食べてないですけど」
その言葉に、雛姫は軽く小首を傾げる。
「鍋…? ぴあのちゃん、それってどんな食べ物なの?」
「…もしかしてヒナキは、鍋を食べたことがないのかしら?」
意外な質問に、思わず質問で返してしまった。
食べるより食べられる側だったりするのかしら…、と失礼なことを考えながら説明する。
師と二人きりで囲んだ鍋の経験、寝物語や小説で得た一家団欒の雰囲気。
身振り手振りを交えて、鍋の魅力をバリエーション豊かに伝えた。
夢幻鳥の少女は、ふんふんと真剣に聞き入っている。
ピアノ自身、大勢で鍋を囲んだ経験がないので、幾分想像が混じっていたかもしれない。
うまく教えることが出来たか、自室に戻ってから不安に感じもした。
しかし結果的に見れば、今日の話は彼女の興味を、とても強く惹きつけていたらしい。
数日後。雛姫は喜色満面の笑顔で告げてきた。
「ラナさんのところで、鍋パーティ、しましょう!」
-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-
ラナさんとは、成人部"ゲルブ"に所属しているラナンディア・フェルシュング先輩のことだ。
毛先にいくにつれ灰銀から黒へ変化する、不思議なグラデーションの髪を三つ編みにしているのが特徴的で、
頭上にはいつもヘッドフォンを装着している。本人曰く「これは身体の一部だよー」とのこと。
「でも、何も用意しないってわけにもいきませんわよね」
腕組みし、悩みにふけりながら市街を歩く。
通りに並ぶ果実や野菜は瑞々しく美味しそうだが、食材はだいたい手配してあると聞いていた。
何も持ってこなくていいよと言われているが、それでは心苦しくもある。
「あら、ミレーユさん?」
客入り盛況な区画から離れた露店を覗いている、白いワンピースドレスの女性を目に止めた。
ミレーユ・フェイビア。彼女自身はカメーリエ分校の生徒ではない。
だが、ラナ先輩と雛姫、両名と共に旅していることから知己を得させていただいている。
淡青色の華飾りが似合う可愛らしいお嬢様だが、背負っているのは使いこまれた黒鉄の猟銃だ。
声をかけようと近づいたが、彼女が籐籠に収めているものに気づいて足を止める。
(パン、ですか。
サイドメニューにも気配りされてるだなんて、よく気が付く方ですのね)
このまま御一緒して、買い物を手伝った気分に浸るのも具合が悪い。
くす、と挑戦的な笑みを浮かべ。
(負けてられませんわ。私も何か食材ゲットしてきませんと!)
場を離れようと、身を翻す。
その一瞬――、目端に、彼女がチョコを購入していたように見えた。
チョコは………。………。鍋に合う食べ物でしたかしら……?
(あ、食後のデザートですのね。…さすがです!)
この時に気づかなかったことを、ピアノは死ぬほど後悔する。
-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-
"逃げるお肉"は、ぐしゃぐしゃになった。
仲間が「あれは霜降り肉ですよ」と評価していたから、きっと美味しいものだと思うのだが。
傘を振って肉汁を弾き飛ばしながら、「ふう」と疲れを吐息に逃がし。
やはり、食材を外界の怪物に求めるのは無理があるようだ。
しかし露店食材では、準備済みの食材とかちあうことは想像に難くない。
山菜という線も考えたが、この世界の山は一人旅に優しくなかった。
「……せ、せめてジュースか何かを持っていけばよろしいですわね!」
ラナ先輩なら、笑って「気にしないで」と言ってくれるはずだ。
鍋パーティの刻限が迫っている。これ以上、外で時間を潰すわけにはいかなかった。
割り切った足取りは軽い。
師匠が言っていた。鍋は、みんなで囲んで食べるから美味しいのだと。
独りで食事をとるのは楽だが、空腹を埋める作業にしかならない。
雲の上の世界は人が少なく、また、彼女と同世代の子供は皆無だった。
だからピアノにとって、この集いは初めての『友達とのパーティ』になるのだ。
だが―――、
+斜+
(ENo.825 ラナンディア・フェルシュングさんの日記に続く。
この日記は、ENo.1445 雛姫さん、ENo.209 ミレーユ・フェイビアさんの日記と同軸時間帯です)
-斜-
PR
この記事へのトラックバック
トラックバックURL:
カレンダー
10 | 2024/11 | 12 |
S | M | T | W | T | F | S |
---|---|---|---|---|---|---|
1 | 2 | |||||
3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 |
10 | 11 | 12 | 13 | 14 | 15 | 16 |
17 | 18 | 19 | 20 | 21 | 22 | 23 |
24 | 25 | 26 | 27 | 28 | 29 | 30 |
カテゴリー
最新記事
(06/05)
(02/19)
(02/19)
(02/19)
(02/19)
プロフィール
六命PC
セルフォリーフ:
ENo.58 夢猫ぴあの
アンジニティ:
ENo.106 梟霊アルワン
Sicx LivesのPLのひとり。
ふらふらと漂う木片。
つれづれなるまま、
書き綴ってます。
セルフォリーフ:
ENo.58 夢猫ぴあの
アンジニティ:
ENo.106 梟霊アルワン
Sicx LivesのPLのひとり。
ふらふらと漂う木片。
つれづれなるまま、
書き綴ってます。
関連サイトリンク
■
Sicx Lives
六命本家 .
■ 木漏れ日に集う
取引サイト
■ 六命wiki
うぃき
■ うさ☆ブログ(・x・)
神検索
■ Linked Eye
無双検索
■ 六命ぐぐる
無敵検索
■ 未知標
MAP,技検索
■ 万屋 招き猫
情報集積地
■ エンジェライトの情報特急便
情報集積地
■ ろくめも
付加情報特化
■ 英雄の故郷
合成情報特化
■ 六命技データベース
技情報特化
■ わんわんお
敵情報特化
■ 適当置き場
敵出現テーブル他
■ 手風琴弾きの譜面帳
取得アイテムやペット
■ 六命簡易計算機
簡易計算機
■ 紳士Tools
PK,素材情報明快化
■ 紙束通信研究所
戦闘情報明快化
■ 犬マユゲでした(仮)
blog情報速達便
■ 小さな胡桃の木の下で
新着ニュース特急便
六命本家 .
■ 木漏れ日に集う
取引サイト
■ 六命wiki
うぃき
■ うさ☆ブログ(・x・)
神検索
■ Linked Eye
無双検索
■ 六命ぐぐる
無敵検索
■ 未知標
MAP,技検索
■ 万屋 招き猫
情報集積地
■ エンジェライトの情報特急便
情報集積地
■ ろくめも
付加情報特化
■ 英雄の故郷
合成情報特化
■ 六命技データベース
技情報特化
■ わんわんお
敵情報特化
■ 適当置き場
敵出現テーブル他
■ 手風琴弾きの譜面帳
取得アイテムやペット
■ 六命簡易計算機
簡易計算機
■ 紳士Tools
PK,素材情報明快化
■ 紙束通信研究所
戦闘情報明快化
■ 犬マユゲでした(仮)
blog情報速達便
■ 小さな胡桃の木の下で
新着ニュース特急便
最新コメント
[05/16 backlink service]
[11/25 ふれあ(1519)PL]
[11/23 セレナ(93)PL]
[11/22 ふれあ(1519)PL]
[11/20 カシュー(553)]