2011/12/09 (Fri) 焔の月 7日目＠アンジニティ日記

　山脈を抜けた東の地域に、新たな街が発見されたと噂が流れてきた。
　まったく、この世界は流言だらけだ。世界の亀裂しかり、平穏付加材料の発見報告しかり。
　俺様はこの目で見るまで、何も信じないことにしている。
　だから、旅を続けていけるのだ。

　始まりの街タルタス帰還を決めた翌日に街発見とか、もう戻るに戻れないんだよチクショウ！
　と、いう話ではない。絶対、ない。

　傷ついた翼を時折休めながら、俺様はタルタスを目指す。
　あの街の思い出は、散々たるものだらけだ。喰われかけたり、殺されかけたり。
　逃げるように飛び出したから、ろくに観光もしちゃいなかった。
　自分の目で見極めること。それが大事だって、さっき話をしたばかりなのにな。

　今日の敵はブラックタイガーだった。
　ホワイトタイガーに襲われた旅人の話を聞いていたので、俺様は油断などしない。
　だが、俺様は驚愕した。

　ブラックタイガーとは、なんと"海老"のことだったんだ！

　…いや、ほら、普通勘違いするだろ？ ホワイトがいて、ブラックだもんな？
　だって前日、あいつらアイコン持ってなかったんだぜ！？

　ブラックタイガーは、ぴちぴちと光り輝きながら俺様に告げた。

「見た目は黒いが心は純白そのものだよッ！！」

　ならなんで襲い掛かってくるんだよ！？

　俺様はやむなく応戦した。――そう、アンジニティとは戦わねば生き残れないワールドだ。
　ミミズクの鋭い嘴が奴を貫いたとき、得も言われぬ芳醇な香ばしさが襲い掛かる。

「ほら、これでいいんだろっ！ 衣もおまけで付けといたぜっ！！」

　ブラックタイガーが、天ぷらになっていた。二度揚げで衣サクサク味絶品。
　天つゆもいいが、山椒を混ぜた塩で食べるのが俺様の流儀だ。日本酒もあれば言うことはない。

　って、そういう問題じゃねぇよ！？ 倒した瞬間、海老が海老天になったカラクリを説明してけよ！？