歌を唄う猫の夢
定期更新ネットゲーム『Sicx Lives』の、 日記・雑記・メモ等が保管されていくのかもしれません。 昔は『False Island』のことを書いてました。
×
[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。
[ -Recollection- ]
時代を踏みしだき駆けよどこまでも
我等が進む先に恐れるものなど何も無い
星屑がひしめく舞台に形の無い夢を投げつけて
蜃気楼の先にかすむ未来を引きずり落とせ
-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-
時代を踏みしだき駆けよどこまでも
我等が進む先に恐れるものなど何も無い
星屑がひしめく舞台に形の無い夢を投げつけて
蜃気楼の先にかすむ未来を引きずり落とせ
-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-
[ Lythtis's Eye -Rest Side- ]
ザザ…ザァ……ッ―――。
暗い灰色に侵食された空から、水気にまみれた弾丸が降り注ぐ。
予報に無い、にわか雨。
悪態をつく者、用意良く傘を開く者、水溜りに飛沫を躍らせながら先を急ぐ者、様々に。
年季を帯びたレンガに支えられた窓枠。
雨粒に濡れて視界の歪むガラスに指を当てて、ぼんやりと街並みを見下ろす少女。
追憶。
押し寄せる過去。
忘れたくても、忘れられない情景。
忘れてはいけない、思い出。
「リズ、起きてる?」
ガチャリと扉が圧し開かれ、小さな精霊の声が聞こえてきた。
背丈の十倍以上の高さがあるドアノブを、どうやって動かしているのかは不明。
ただ、いつもなら不思議に感じる光景も、今日は心を揺るがすことはない。
振り返ることもなく、挨拶を返すこともなく、虚ろに視線を落とす。
気がつけば、肩にわずかな重みを感じる。
頬に当てられた、親指のつま先ほどの手のひら。
外気に同調しているのか、氷のように冷たい。
ふれあは何も喋らず、肩に座った。
無表情に、しかし意思の込められた視線を、リズが見ている先へ向けている。
温度差で曇り、用を成さない窓の向こう側へ。
「……お兄ちゃんを思い出してたの」
ポツリと呟いた。
語るつもりじゃなかったのに、不意に口からこぼれた。
「お兄ちゃん?」
「無理して、明るく振舞って、でも無茶していて、酷く衰弱して、……いつしか、倒れて」
つまんない話だよ、と前置きして語る。
誰かに伝えることが、過去の贖罪になるとは思えないけれど。
「枕元でずっと手を握ってた。もう二度と動かなくなるんじゃないかって、怖くて」
そんなことないのにね、と力なく笑う。
「誰だって、自分の限界を超えて疲れたら、動けなくなるに決まってるんだもの。
心配することなんかじゃないのにね。……変だよね」
器に溜まっている、自らも底を見通せない濁った水。
窓を叩きつける雨が、表面張力の抵抗を打ち破ってしまったのか。
涙なんて、見せはしないけれど。
「ラズちゃんのこと、教えにきてくれたんだよね?」
ふれあは「ん」と応えて頷いた。
「熱は引いた。呼吸も落ち着いてる。
りんくしてる異界のぷーるから流れてくる魔力が多すぎて、しょりがおいつかなくて、
ていこーがどーので体温があがってて、でも体力を犠牲にしてうんよーしてたけど
ばっくあっぷがなんとかで、…ええと、くろっくあっぷがどうとか…」
要領を得なかった。
「……って、アルワンが言ってた。もう大丈夫らしい」
正確に伝えるため、必死に言葉を覚えてきたのだろう。
ふれあの身振り手振りをまじえた大仰な説明に、リズは幾つもハテナを浮かべる。
とはいえ、恐らく本人から直接説明を受けても、理解できないに違いない。
努力型の神様や学者系の魔術師は、難しい理屈をこねないと魔法が使えないらしいから。
「そっか、ありがとね☆」
とりあえず、体調が回復してきた事が解れば問題ない。
召喚と同じで、強い力を呼び寄せるにはこっちも体力使うとか、そういう話なのだろう。
ふれあがぴょこんと飛び降りた。体重を感じさせない軽やかな動きで絨毯の上へ着地する。
大事なことは全て伝えたから、部屋へ戻ろうというのだ。
昨晩はリズが起きてずっと看病していた。今は、ふれあがラズを見守る番。
そんな彼女はトコトコと歩き、ふと小さな声をあげ、立ち止まった。
「そういえばさっきの話。倒れたのはお兄ちゃん? それとも、リズ?」
不意打ちに息をのむ。
「無理はダメ。私も泣くから」
悲しみの表情を作れない少女は、おやすみと手を振って扉の隙間を抜けていく。
窓の外は雨。
風の勢いを得て、いまや豪雨の様相を呈している。
(マイスター。どうかしたですか?)
心に繋がる声。買い物に出していた妖精が、主の情操の乱れを察知して尋ねてきた。
オーバーフロー。
溢れた水は、寄り添いやすい壁を支えに流れてゆく。
薄暗い部屋の中、もう一人の少女は密やかに微笑んだ。
(雨、ひどいでしょ? 今から迎えにいくから、そこで待っててねー)
(ええっ!? もう、お休みになられるのでは!)
(いいの。――なんだか、外を歩きたい気分なの☆)
スキップを踏むように。
薄く透き通る空色の傘を持って、リズは精霊の少女を追いかけるように扉を押した。
ザザ…ザァ……ッ―――。
暗い灰色に侵食された空から、水気にまみれた弾丸が降り注ぐ。
予報に無い、にわか雨。
悪態をつく者、用意良く傘を開く者、水溜りに飛沫を躍らせながら先を急ぐ者、様々に。
年季を帯びたレンガに支えられた窓枠。
雨粒に濡れて視界の歪むガラスに指を当てて、ぼんやりと街並みを見下ろす少女。
追憶。
押し寄せる過去。
忘れたくても、忘れられない情景。
忘れてはいけない、思い出。
「リズ、起きてる?」
ガチャリと扉が圧し開かれ、小さな精霊の声が聞こえてきた。
背丈の十倍以上の高さがあるドアノブを、どうやって動かしているのかは不明。
ただ、いつもなら不思議に感じる光景も、今日は心を揺るがすことはない。
振り返ることもなく、挨拶を返すこともなく、虚ろに視線を落とす。
気がつけば、肩にわずかな重みを感じる。
頬に当てられた、親指のつま先ほどの手のひら。
外気に同調しているのか、氷のように冷たい。
ふれあは何も喋らず、肩に座った。
無表情に、しかし意思の込められた視線を、リズが見ている先へ向けている。
温度差で曇り、用を成さない窓の向こう側へ。
「……お兄ちゃんを思い出してたの」
ポツリと呟いた。
語るつもりじゃなかったのに、不意に口からこぼれた。
「お兄ちゃん?」
「無理して、明るく振舞って、でも無茶していて、酷く衰弱して、……いつしか、倒れて」
つまんない話だよ、と前置きして語る。
誰かに伝えることが、過去の贖罪になるとは思えないけれど。
「枕元でずっと手を握ってた。もう二度と動かなくなるんじゃないかって、怖くて」
そんなことないのにね、と力なく笑う。
「誰だって、自分の限界を超えて疲れたら、動けなくなるに決まってるんだもの。
心配することなんかじゃないのにね。……変だよね」
器に溜まっている、自らも底を見通せない濁った水。
窓を叩きつける雨が、表面張力の抵抗を打ち破ってしまったのか。
涙なんて、見せはしないけれど。
「ラズちゃんのこと、教えにきてくれたんだよね?」
ふれあは「ん」と応えて頷いた。
「熱は引いた。呼吸も落ち着いてる。
りんくしてる異界のぷーるから流れてくる魔力が多すぎて、しょりがおいつかなくて、
ていこーがどーので体温があがってて、でも体力を犠牲にしてうんよーしてたけど
ばっくあっぷがなんとかで、…ええと、くろっくあっぷがどうとか…」
要領を得なかった。
「……って、アルワンが言ってた。もう大丈夫らしい」
正確に伝えるため、必死に言葉を覚えてきたのだろう。
ふれあの身振り手振りをまじえた大仰な説明に、リズは幾つもハテナを浮かべる。
とはいえ、恐らく本人から直接説明を受けても、理解できないに違いない。
努力型の神様や学者系の魔術師は、難しい理屈をこねないと魔法が使えないらしいから。
「そっか、ありがとね☆」
とりあえず、体調が回復してきた事が解れば問題ない。
召喚と同じで、強い力を呼び寄せるにはこっちも体力使うとか、そういう話なのだろう。
ふれあがぴょこんと飛び降りた。体重を感じさせない軽やかな動きで絨毯の上へ着地する。
大事なことは全て伝えたから、部屋へ戻ろうというのだ。
昨晩はリズが起きてずっと看病していた。今は、ふれあがラズを見守る番。
そんな彼女はトコトコと歩き、ふと小さな声をあげ、立ち止まった。
「そういえばさっきの話。倒れたのはお兄ちゃん? それとも、リズ?」
不意打ちに息をのむ。
「無理はダメ。私も泣くから」
悲しみの表情を作れない少女は、おやすみと手を振って扉の隙間を抜けていく。
窓の外は雨。
風の勢いを得て、いまや豪雨の様相を呈している。
(マイスター。どうかしたですか?)
心に繋がる声。買い物に出していた妖精が、主の情操の乱れを察知して尋ねてきた。
オーバーフロー。
溢れた水は、寄り添いやすい壁を支えに流れてゆく。
薄暗い部屋の中、もう一人の少女は密やかに微笑んだ。
(雨、ひどいでしょ? 今から迎えにいくから、そこで待っててねー)
(ええっ!? もう、お休みになられるのでは!)
(いいの。――なんだか、外を歩きたい気分なの☆)
スキップを踏むように。
薄く透き通る空色の傘を持って、リズは精霊の少女を追いかけるように扉を押した。
PR
この記事へのトラックバック
トラックバックURL:
カレンダー
10 | 2024/11 | 12 |
S | M | T | W | T | F | S |
---|---|---|---|---|---|---|
1 | 2 | |||||
3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 |
10 | 11 | 12 | 13 | 14 | 15 | 16 |
17 | 18 | 19 | 20 | 21 | 22 | 23 |
24 | 25 | 26 | 27 | 28 | 29 | 30 |
カテゴリー
最新記事
(06/05)
(02/19)
(02/19)
(02/19)
(02/19)
プロフィール
六命PC
セルフォリーフ:
ENo.58 夢猫ぴあの
アンジニティ:
ENo.106 梟霊アルワン
Sicx LivesのPLのひとり。
ふらふらと漂う木片。
つれづれなるまま、
書き綴ってます。
セルフォリーフ:
ENo.58 夢猫ぴあの
アンジニティ:
ENo.106 梟霊アルワン
Sicx LivesのPLのひとり。
ふらふらと漂う木片。
つれづれなるまま、
書き綴ってます。
関連サイトリンク
■
Sicx Lives
六命本家 .
■ 木漏れ日に集う
取引サイト
■ 六命wiki
うぃき
■ うさ☆ブログ(・x・)
神検索
■ Linked Eye
無双検索
■ 六命ぐぐる
無敵検索
■ 未知標
MAP,技検索
■ 万屋 招き猫
情報集積地
■ エンジェライトの情報特急便
情報集積地
■ ろくめも
付加情報特化
■ 英雄の故郷
合成情報特化
■ 六命技データベース
技情報特化
■ わんわんお
敵情報特化
■ 適当置き場
敵出現テーブル他
■ 手風琴弾きの譜面帳
取得アイテムやペット
■ 六命簡易計算機
簡易計算機
■ 紳士Tools
PK,素材情報明快化
■ 紙束通信研究所
戦闘情報明快化
■ 犬マユゲでした(仮)
blog情報速達便
■ 小さな胡桃の木の下で
新着ニュース特急便
六命本家 .
■ 木漏れ日に集う
取引サイト
■ 六命wiki
うぃき
■ うさ☆ブログ(・x・)
神検索
■ Linked Eye
無双検索
■ 六命ぐぐる
無敵検索
■ 未知標
MAP,技検索
■ 万屋 招き猫
情報集積地
■ エンジェライトの情報特急便
情報集積地
■ ろくめも
付加情報特化
■ 英雄の故郷
合成情報特化
■ 六命技データベース
技情報特化
■ わんわんお
敵情報特化
■ 適当置き場
敵出現テーブル他
■ 手風琴弾きの譜面帳
取得アイテムやペット
■ 六命簡易計算機
簡易計算機
■ 紳士Tools
PK,素材情報明快化
■ 紙束通信研究所
戦闘情報明快化
■ 犬マユゲでした(仮)
blog情報速達便
■ 小さな胡桃の木の下で
新着ニュース特急便
最新コメント
[05/16 backlink service]
[11/25 ふれあ(1519)PL]
[11/23 セレナ(93)PL]
[11/22 ふれあ(1519)PL]
[11/20 カシュー(553)]