2009/04/18 (Sat) 探索80日目-日記

[ -Recollection- ]


　生きるということが幸せとは限らない

　しかし、

　死ぬことが幸せだとは誰も証明できない

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[ Flare's Eye -Travel Side- ]

　石牢と名付けられた奇異なる魔法陣を抜け、地下4階の奥地へ探索の途を広げる。
　そういえば、先の遺跡外では奇妙な噂を耳にした。

　曰く『島は終末に近づいている』…と。

　このふざけた島の主催者が発見された、という意味だろうか？
　あるいは、昨今のマナ異常を受け、島が崩壊していくという意味だろうか？

「なんかね、制御装置が破壊されちゃったんだってー。それも、２つも」

　リズがのんびりと応える。
　こういう、ぼんやりとして取り留めない噂集めはリズの得意とするところ。
　最近は辻占いのようなことも行っているらしいし、その過程で手に入れた情報なのだろう。

「ビアスト。島周辺のマナを招き、固定滞留させる制御を行う装置らしい。
　まだ、マナの流れは狂っていないようだけど…」

　裏づけを取るのはラズの仕事。感覚と実際の両面を補完できることが、この仲間の強み。
　分類するならば、ふれあも感覚寄りでアルワンは実際寄り。ちょうど２人づつ分配されている。

「マナが狂ってねーってことは、まだ時間が残されてるってことだろ？」

　アルワンがふわーっと大きな欠伸を浮かべながら呟いた。

「ビアストの傍に潜んでいた男の言を信じるならば、島の魔法が解ける前に出来る"他の手段"がある」
「他の手段？」

　ラズの言葉に、ふれあは首を傾げながら問いかけた。

「わかった！ その男がらすぼすだ！」
「そんな話はしてねーっ！？」

　リズのボケに即座にツッコミを入れるアルワン。このやり取りも、だいぶ慣れてきた。
　慌てて飛び回る彼女の使い魔の姿も、すでにパーティの風物詩と化している。
　
「島の地図は、もうほとんど完成してる。
　明日か、明後日になれば何かが起きる。それぐらいまで迫ってる」
「何かって？」

　重ねる問いかけに、魔術師は瞳の奥に光を閃かせた。

「――女神。あるいは隠者。島に秘められた最大の謎が明らかにされる」

　ただならぬ雰囲気を感じ取ったのか、一行は軽口を叩くこともなく押し黙る。
　
「島が無くなっちゃったら…。…どうなっちゃうのかな、私達」

　ぽつりと、少女はツインテールの金髪を揺らしながら呟いた。
　その言葉に答えられる者は誰もいない。

　だが、

「誰も欠けない。欠けさせない」

　ふれあは、告げた。解答どころか会話も成り立っているとは言いがたいのだけど。
　小精霊の言葉に、彼ら全員の足取りが軽くなったことだけは確かだった。