歌を唄う猫の夢
定期更新ネットゲーム『Sicx Lives』の、 日記・雑記・メモ等が保管されていくのかもしれません。 昔は『False Island』のことを書いてました。
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セルフォリーフを窮地に陥れた異変を大別するならば、『巨大化』と『暴走』の二つが挙げられる。
先刻襲撃してきた、堕性して人を襲う狩人は後者に分類される。
一方、パーティの目前に立ちはだかるハムスターは、前者の代表と言えるだろう。
先刻襲撃してきた、堕性して人を襲う狩人は後者に分類される。
一方、パーティの目前に立ちはだかるハムスターは、前者の代表と言えるだろう。
「やだ、またファン?」
+小+とうしょうか-小-
島嶼化という研究がある。
進化生物学や生物地理学に関連する学説で、生物が巨大化、あるいは矮小化する理由を説明するものだ。
島嶼地域――すなわち、孤立した島における安定と競争の二極化が招く異常進化。
外敵が少ないことから、小動物は身を隠すために小柄な体躯を維持する必要が無くなる。
また、捕食対象が少ないため、巨大動物は生命維持の適正サイズに矮小化することで環境適応する。
セルフォリーフは、遠大な視線で見れば分割世界における孤島といえよう。
だが、現状を島嶼生物学で説明するには幾つか足りないものがあった。
「最近多くてちょっと困ってるのよね。帰ってくれないかしら」
欲求や感情に従属する動物的本能ではなく、欲求や感情の抑制と克服で発展させる人間的思考。
すなわち、知性の目覚めである。
ハムスターは3匹。ほっぺをモゴモゴ蠢かせながら、お互いにべったり寄り添っている。
とても、仲が良さそうだ。
ライトブラウンとミルキーホワイトの美しいコントラストに色分けされた毛並みが、乙女の心をキュンと奪う。
「これよ!」
瞳をキラキラさせながら、凶器の傘を振りあげる年頃の少女・夢猫ぴあの。
「これが私の求めていた、ドキドキとワクワクに満ち溢れた夢と希望と浪漫の冒険の始まりなのよ!」
魔法を常識として育ってきた彼女からすれば、前述の島嶼化や脳構造などどうでもいい話だ。
ただ、そこにあるから。――それだけで、説明できる現象だからである。
-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-
仰向けになって無防備なお腹を晒すハムスター達を、ピアノは満面笑顔で抱きしめている。
「なるほど、報酬は抱きつき放題ですか」
「……そんな目で見るなよ」
淡々と口にするバジルに、ジェイが嫌そうなため息をついた。
結果から言えば、対ハムスター戦には勝利した。満身創痍の激戦の末に。
連携も不揃い、互いの足を引っ張りあう戦闘シーンは思い返せば情けないの一言だ。
とはいえ、パーティはまだ纏まったばかり。山積する課題はこれからクリアしていけばいい。
だが、ここに別の問題が立ちはだかる。
ハムスターは、スティルフの街を荒らす怪物でもなんでもなかった。
負けを覚悟するや、降伏のポーズを取って彼らは言う。
「好きに……すればいいじゃない」
ピアノは好きにした。
もふもふすることを許した彼らは、少女の撫でまわしを受けて幸せそうにアッアッと声を揺らしている。
極めて可愛らしいが例えようのない気まずい光景を、男性2人はそれぞれの想いで見つめていた。
「おかしいな。もっと殺伐かつ、危険な旅路の心構えを説明していたはずなんだが」
ジェイは、疲れ切った心で呟く。
依頼は完遂した、それはいい。
だがこの依頼、何を目的にしていたかが透けて見えた気がする。
巨大毛玉を人間に従順にさせること、いわば調教を目的としたミッションだとしたら。
「いきなりこの世界を見捨ててもいい理由にはなるかなぁ」
子供たちが大歓喜でハムスターに抱きつきまくっている光景を幻視しながら、ため息をもう一回。
ジェイはそっと隣へ視線を送る。
同意を求めたかったわけではないが、わざと声に出した独り言の反応が気になった。
「想像以上に弾性が強いようですね。
このもふもふ力を、術式の剛力ベクトル許容計算に利用できれば……」
バジルは自らの思考に夢中のようだ。何やら怪しい単語をぶつぶつ呟いている。
彼の考えも、ジェイには理解の範囲外だった。
やがて、もふもふを堪能しきったピアノが艶々な血色で戻ってきた。
「Trick or Treat?」
「なんだ?」
「All Hallows eve、よ。Halloween、知らない?」
投げて寄越すのはパラソル型のチョコレート。ジェイにバジルに渡して、自らの口にも入れる。
「いいじゃない、子供の夢。
壊れかけた世界だからこそ、狂った楽しみも出来るってものだわ」
少女のウィンクに、バジルがかすかな微笑みを見せた。
不貞腐れた態度を取っていたジェイも、口元を柔らかく釣り上げる。
「ようこそ、というべきですか?」
「ええ。――私の名前は夢猫ぴあの。最高の魔法使い……の、弟子よ」
よろしく。その一言が、旅の始まりを告げる。
+小+とうしょうか-小-
島嶼化という研究がある。
進化生物学や生物地理学に関連する学説で、生物が巨大化、あるいは矮小化する理由を説明するものだ。
島嶼地域――すなわち、孤立した島における安定と競争の二極化が招く異常進化。
外敵が少ないことから、小動物は身を隠すために小柄な体躯を維持する必要が無くなる。
また、捕食対象が少ないため、巨大動物は生命維持の適正サイズに矮小化することで環境適応する。
セルフォリーフは、遠大な視線で見れば分割世界における孤島といえよう。
だが、現状を島嶼生物学で説明するには幾つか足りないものがあった。
「最近多くてちょっと困ってるのよね。帰ってくれないかしら」
欲求や感情に従属する動物的本能ではなく、欲求や感情の抑制と克服で発展させる人間的思考。
すなわち、知性の目覚めである。
ハムスターは3匹。ほっぺをモゴモゴ蠢かせながら、お互いにべったり寄り添っている。
とても、仲が良さそうだ。
ライトブラウンとミルキーホワイトの美しいコントラストに色分けされた毛並みが、乙女の心をキュンと奪う。
「これよ!」
瞳をキラキラさせながら、凶器の傘を振りあげる年頃の少女・夢猫ぴあの。
「これが私の求めていた、ドキドキとワクワクに満ち溢れた夢と希望と浪漫の冒険の始まりなのよ!」
魔法を常識として育ってきた彼女からすれば、前述の島嶼化や脳構造などどうでもいい話だ。
ただ、そこにあるから。――それだけで、説明できる現象だからである。
-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-
仰向けになって無防備なお腹を晒すハムスター達を、ピアノは満面笑顔で抱きしめている。
「なるほど、報酬は抱きつき放題ですか」
「……そんな目で見るなよ」
淡々と口にするバジルに、ジェイが嫌そうなため息をついた。
結果から言えば、対ハムスター戦には勝利した。満身創痍の激戦の末に。
連携も不揃い、互いの足を引っ張りあう戦闘シーンは思い返せば情けないの一言だ。
とはいえ、パーティはまだ纏まったばかり。山積する課題はこれからクリアしていけばいい。
だが、ここに別の問題が立ちはだかる。
ハムスターは、スティルフの街を荒らす怪物でもなんでもなかった。
負けを覚悟するや、降伏のポーズを取って彼らは言う。
「好きに……すればいいじゃない」
ピアノは好きにした。
もふもふすることを許した彼らは、少女の撫でまわしを受けて幸せそうにアッアッと声を揺らしている。
極めて可愛らしいが例えようのない気まずい光景を、男性2人はそれぞれの想いで見つめていた。
「おかしいな。もっと殺伐かつ、危険な旅路の心構えを説明していたはずなんだが」
ジェイは、疲れ切った心で呟く。
依頼は完遂した、それはいい。
だがこの依頼、何を目的にしていたかが透けて見えた気がする。
巨大毛玉を人間に従順にさせること、いわば調教を目的としたミッションだとしたら。
「いきなりこの世界を見捨ててもいい理由にはなるかなぁ」
子供たちが大歓喜でハムスターに抱きつきまくっている光景を幻視しながら、ため息をもう一回。
ジェイはそっと隣へ視線を送る。
同意を求めたかったわけではないが、わざと声に出した独り言の反応が気になった。
「想像以上に弾性が強いようですね。
このもふもふ力を、術式の剛力ベクトル許容計算に利用できれば……」
バジルは自らの思考に夢中のようだ。何やら怪しい単語をぶつぶつ呟いている。
彼の考えも、ジェイには理解の範囲外だった。
やがて、もふもふを堪能しきったピアノが艶々な血色で戻ってきた。
「Trick or Treat?」
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ENo.106 梟霊アルワン
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ふらふらと漂う木片。
つれづれなるまま、
書き綴ってます。
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